住宅の新築や購入に際して、各ハウスメーカーの標準的な仕様がどれくらいのグレードなのか、気になりますよね。
もちろん、グレードは価格である程度決まります。
しかし、ハウスメーカーがブランドやシリーズをいくつも持っている場合、何が標準グレードなのかがわかりづらいものです。
一方、ハウスメーカーの建売住宅では、メーカーの考える仕様やグレードが反映されています。
そこで、本記事では各ハウスメーカーの売れ筋商品や建売住宅を参考にして、各社のグレードをチェックしていきます。
これから住宅の新築や購入を検討している方のために、前半にグレードの高い、つまり比較的高額なハウスメーカーを紹介していきます。
そして、後半にはグレードは低めでもコストパフォーマンスの高い、ローコストハウスメーカーを紹介していきますので参考にしてください。
グレードの高いハウスメーカーランキング
建設する地域や家族構成、さらにはライフスタイルによって、住宅に望む仕様やグレードは異なりますよね。
ここでは、一般的に坪単価が高いハウスメーカーのランキングをご紹介していきます。
- ヘーベルハウス
- 住友林業
- 積水ハウス
- パナホーム
- セキスイハイム
- ダイワハウス
- トヨタホーム
- ミサワホーム
- 三井ホーム
上記ハウスメーカー9社の特徴や推奨している仕様を紹介していきますので、ユーザーが望む住宅に適したハウスメーカー選びの参考にしてください。
ヘーベルハウス
ヘーベルハウスには、質実剛健のイメージがあります。
これには、骨組を鉄骨造とし、外壁や床下地に軽量気泡コンクリート(ALC)を採用していることが影響しているでしょう。
事実、建築途中の骨組みが見える状態のヘーベルハウスは、とても骨太で頑丈にみえます。
同社には、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2商品があり、いずれにも採用されているALCは、防火・耐火と防音に効果的なものです。
この鉄骨造とALCの組合せは、都市に多い防火・準防火地域でも建設可能な性能をもっています。
また、同社の住宅には2世代・3世代へと引き継げる耐久性があり、セールスポイントにもなっています。
耐久性に関してはトップクラスのグレードといえるでしょう。
オリコンの顧客満足度ランキングで、ヘーベルハウスのランクは上に挙げたメーカーの中では総合トップで、住宅性能や設備・内装でもトップクラスになっています。
選んで間違いのないハウスメーカーでしょう。なお、同社の標準的な本体価格は、70〜90万円/坪となっています。
住友林業(株)
住友林業は、木にこだわった住宅造りを目指しているハウスメーカーで、木造住宅メーカーの最大手です。
WEB情報では、同社の注文住宅の平均販売価格は、80万円台/坪になっています。
その内容は販売価格にふさわしく、デザインや品質、そして性能などの各グレードは、大手ハウスメーカーの中でもトップクラスのものです。
なお、同社の建売住宅を見てみると、長期優良住宅が標準です。
装備関係では、リビング・ダイニングの床暖房、食洗機、電動シャッター、スマートキーなどを標準装備しているものがほとんどです。
中には、電気自動車用の専用コンセントを装備したものもあります。
これらが同社の考える標準的な仕様とするなら、一般的な使用では十分な内容で、ハイグレードな住宅ですよね。
住友林業の主力は在来木造住宅ですが、木造でありながら筋交いなどの耐力壁を必要としないビッグフレーム構造(BF)も商品化しています。
また、ツーバイフォー(面で家を建てる組み立て式の家)商品も持っていますので、木造住宅の全てに対応していると言えますよね。
積水ハウス
ご存知のとおり、積水ハウスは着工戸数でトップのハウスメーカーです。
同社の住宅構造は、軽量鉄骨構造、構造用集成材と接合金物を使用した在来木構造の2種類があります。
積水ハウスの注文住宅の平均販売価格は、80万円前後/坪となっており、長期優良住宅を標準としています。
顧客満足度ランキングでは、総合、住宅性能、設備・内装などでベストスリーにランクインしています。
ハイグレードな住宅を提供しているハウスメーカーです。価格は高いため、高いお金を払っても良い家を建てたい方におすすめです。
パナホーム(パナソニックホームズ株式会社)
パナホームの注文住宅の平均販売価格は、70万円前後/坪で大手ハウスメーカーの中では平均的なものです。
同社にも軽量鉄骨構造と木構造の2商品がありますが、鉄骨構造の住宅を主力としています。
いずれも長期優良住宅基準をクリアしていますので、性能的は十分なものでしょう。
パナホームは、家電製品から住宅建材まで、幅広く事業展開しているパナソニックグループの1社で、総合力を生かしてIOT(Interneto Of Things)住宅に力を入れています。
IOT住宅とは、パソコンやスマホだけでなく、家電製品などもインターネットにつなげ、より快適な住生活を目指したものです。
顧客満足度で特筆するような項目はありませんが、パナホームは価格に見合ったグレードといえます。
セキスイハイム
セキスイハイムは、鉄骨のユニット住宅で有名なハウスメーカーです。同社の住宅は、どちらかと言うとボックス形状の外観イメージが強くありました。
しかし、最近は三角屋根の採用も増えており、木造住宅との区別がつきにくくなっています。
同社は、住宅のほとんどを工場生産しており、精度の高い住宅を提供しています。
住宅各部材の精度が高いというのは、机上で設計された性能・品質がほぼそのとおり住宅に反映されると言うことですから、安心感がありますよね。
同社の注文住宅の販売価格は、70万円台後半/坪になっており、価格的にはミドルクラスより少し上になります。
住宅性能、設備仕様ともにトップクラスのもので、ハイグレードなハウスメーカーです。
ダイワハウス:大和ハウス
大和ハウスの住宅着工戸数は、積水ハウスの次に多いハウスメーカーです。
同社の住宅構造にも軽量鉄骨構造と木構造があり、いずれもXevo(ジーヴォ)ブランドで商品化されています。
顧客満足度ランキングでは、全般にベスト10の下位に位置しています。
一方、平均販売価格は75万円/坪で、上に挙げたグレードの高いハウスメーカーの中では中間に位置しています。ですから、厳しい評価ですね。
しかし、深い庇の外観や内外の仕上げなどを含めたデザインには高級感があり、グレードの高いものです。
また、住宅性能は大手ハウスメーカーらしく高いレベルにあり問題はありません。
トヨタホーム
トヨタホームの住宅コンセプトは、「世界から信頼されるトヨタクオリティーを住まいに」としています。では、住宅のグレードはどうでしょうか。
住宅構造は、軽量鉄骨造と重量鉄骨造で、鉄を知り尽くしたトヨタですから安心ですね。
いずれの構造も耐震性能は最高等級3としており、その他の基本性能も標準以上のものです。
同社の販売価格帯は、50〜70万円/坪となっており、上に挙げた9社の中では少し下になりますが、平均的な住宅と比べた場合はグレードの高い方に入るでしょう。
ミサワホーム
ミサワホームは、センスのよい個性的なデザインで有名です。
同社の住宅構造は、工場生産の木質パネル構造で、工場生産による精度や均質化された品質、そして木質の良さを兼ね備えた高性能な住宅を誇っています。
同社の住宅の信頼性や性能は、1956年から始まった日本の南極観測隊の宿泊施設に採用され、現在も継続採用されていることに現れています。
また、住宅における制震装置を開発・採用した先駆者でもあり、開発技術力にも高いものを持っています。
ミサワホームの平均販売価格は、70万円前後/坪と大手ハウスメーカーの中では中間になります。
しかし、同社のセンスの良さや住宅性能は、価格よりもワンランク上のグレードを感じさせます。
三井ホーム
三井ホームの住宅構造はツーバイフォーで、外周部に2×6材、間仕切り壁には2×4材が使用されています。
同社には、他のツーバイフォーメーカーにはないオリジナルの構造・建築部材が多くあります。以下に代表的なものを紹介しておきます。
DSP(ダブルシールドパネル)
断熱材を構造用パネルでサンドイッチしたもので、断熱性と構造耐力に優れており、屋根の下地材に使用されます。
BSW(ブロック・アンド・シームレスウォール)
対衝撃性、耐火性、遮音性、そして防水性に優れた外壁下地材です。
MS(マットスラブ)
通常のベタ基礎よりも鉄筋量を増やしたものです。
これらを採用した住宅(プレミアムモノコック)では、長期優良住宅の審査基準の5分野の7項目で最高等級を確保しています。
また、高気密・高断熱住宅に必須の24時間管理の健康空調システム(Smart Breeze)も用意されています。
このように性能の高い同社の住宅の平均販売価格は85万円/坪ほどで、大手ハウスメーカーの中でもトップクラスです。
住宅性能や仕上げ材、そして設備機器など、いずれもハイクラスのものが採用されており、三井ホームの住宅は間違いなく高いグレードといえるでしょう。
ローコストハウスメーカーランキング
ローコスト住宅の定義はありませんが、一般的には30〜50万円/坪と言われています。
上記で、グレードの高いハウスメーカーを紹介しましたが、ローコストといわれるハウスメーカーのグレード内容はどのようなものでしょうか。
以下に紹介していきます。
- タマホーム
- レオハウス
- アキュラホーム(VC)
- アイフルホーム(FC)
- ユニバーサルホーム(FC)
- クレバリーホーム(FC)
- アエラホーム(VC)
- アイダ設計
- ロイヤルハウス(FC)
上記で、FCとはフランチャイズ・チェーンのことで、本部の全面的なバックアップを受け、加盟店は地域の独占販売権を与えられます。
VCは、ボランタリー・チェーンといい、各加盟店は経済的に独立しており、それらがグループを作って資材の一括購入などのメリットを受けます。
また本部は、商品開発などを行い加盟店に提供します。
ですから、FCやVCでは加盟店の特色が現れることもあります。詳細は、以下の紹介を参考に、地域のFCやVCの加盟店の情報も確認してください。
タマホーム
平成10年に九州からスタートしたタマホームは、現在では年間に1万棟を超える東証1部上場の大企業になっています。
当初は、驚異の25.8万円/坪の販売坪単価で売り出していましたが、現在では35〜45万円/坪となっているようです。
しかし、それでも十分に安い価格帯ですね。
タマホームの住宅は木造軸組構造で、その多くは長期優良住宅対応となっています。内容は、耐震性能の最高等級3、省エネ性能の最高等級4を基本としています。
同社のベストセラー商品の「大安心の家」では、上記の長期優良住宅の他に、24時間喚起システム、オール電化(エコキュート共)などを標準としています。
内外観や水回り設備は、ごく一般的なものですが、自動洗浄型のレンジフード、ビルトイン浄水器、浴室換気暖房乾燥機、フルオート便座などと、一般的な使用では過不足のないものでしょう。
これらが、上記の価格帯で実現できるのですから、価格以上のグレードだと思います。
レオハウス
レオハウスは、顧客満足度の金額納得感で上位に位置しており、一時は3年連続1位となっていたほどコストパフォーマンスの高い住宅を提供しています。
また、同社のゼロエネルギー住宅(ZEH)は、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジーで優秀賞を3年連続で受賞している実績もあります。省エネやソーラ・システムが得意のようですね。
レオハウスの内外の仕様や設備のグレードは、ほぼタマホームと同様で、販売価格帯も、25.8〜45万円/坪と少し重なる部分があります。
同社の住宅も、価格以上のグレードといえるでしょう。
アキュラホーム
アキュラホームの販売価格は、35〜50万円/坪となっており、ローコストハウスメーカーの中では少し高めの設定です。
しかし、顧客満足度の価格の納得感ではレオハウス同様に上位に位置していますから、価格に見合った、あるいはそれ以上のグレードと評価されているのでしょう。
住宅性能では、耐震性能を最高等級の3とし、他の項目でも長期優良住宅対応としています。
同社の家づくりの姿勢は、グッドデザイン賞やキッズデザイン賞の受賞に現れています。
外観や内装のデザインは、グレードを最も感じられる部分ですから、デザイン力が優れているというのは重要なことです。
アイフルホーム
アイフルホームの住宅には、中核となるセシボ商品があり、「極:きわみ」・「零:ゼロ」・「爽:そう」の3種類があります。
いずれにも共通しているのが、耐震等級3としていることで、「極」と「零」にはソーラ・システムを標準で装備されています。
「極」には、樹脂サッシや高断熱パネルの採用などで「零」よりも上の省エネ性能としています。
また、「極」と「零」には、熱交換機能付きの第一種換気システムを採用し、「爽」には第三種換気システムが採用されています。
第一種換気とは、機械(換気扇)で吸気・排気共に強制的に行うもので、第一種換気とは、排気のみ機械で行い、自然吸気を行うものです。
これらの販売価格は、「極」で48万円/坪、「零」で約41.5万円/坪、「爽」では29.8万円/坪となっています。
さらに、外壁に採用されているサイディングには、セルフクリーニング機能付きのフッ素コートを「極」に、「零」では変色・退色性能に優れたプラチナコートを標準仕様としています。
以上を考慮すると、いずれも非常にコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。価格以上のグレードを感じます。
ユニバーサルホーム
ユニバーサルホームの特徴は、地熱床システムで、玄関と浴室を除いた1階の床の全てを床暖房としていることです。
床全面をコンクリート土間として、内部に温水パイプを配置するタイプでコンクリート床は土に接しています。
ですから、冬暖かく夏涼しいと言う評価がある反面、温まるまでの時間がかかりすぎる、温度調節が難しい、さらにランニングコストが高いなどの評価もあります。
さらに、コンクリート土間に直接床仕上げ材を敷くため歩行感が硬い、という評価もあります。これらは、モデルハウスや資料請求などで確認しておくほうがいいでしょう。
その他の特徴としては、外壁にALC(軽量気泡コンクリート)を採用していることで、一般的なサイディングに比べて厚みによる重厚感があります。
ユニバーサルホームの販売価格は、40〜50万円/坪とのことですが、地熱床システムのコストが大きく影響しているように感じます。
なお、同社の外観デザインは、バランスよく上手にまとめられています。
クレバリーホーム
クレバリーホームの平均販売価格は、WEB情報では30〜50万円/坪となっています。
同社の最大の特徴は外壁にタイルを標準で採用していることで、ローコスト住宅で、タイルを標準としている唯一のメーカーと言ってもいいでしょう。
高級感のあるタイルの外壁は、汚れにくく耐久性も高いものですから、魅力的です。外観グレードはワンランクアップするでしょう。
また、同社では断熱性能にも力を入れており、アルミと樹脂の複合断熱サッシを標準としています。
同社の住宅は在来軸組構造で、柱や梁に構造用集成材を使用し専用の接合金物を採用しているものです。
この組合せは、部材の品質や安全性の向上だけでなく、施工精度の向上にもつながるもので、多くのハウスメーカーにも採用されています。
アエラホーム
アエラホームのこだわりは、健康、快適、省エネ、そして安全・安心としています。商品構成には、「プレスト」「クラージュ」「コスパス」が代表的なものです。
プレストは、屋根と外壁の断熱材を外張式とした上で、屋根と外壁をアルミ箔で包み込み、超高気密・超高断熱を特色としています。
クラージュは、プレストの住宅性能に長期優良住宅対応とし、同社の全熱交換型の換気システムのエアリアを付けたものです。
コスパスは、長期優良住宅仕様を低コストで実現したもので、断熱材は壁内充填方式となります。
アエラホームのHPでは、プレストの販売価格は39.8万円/坪となっており、換気システムのエアリアをつけたもので、42.8万円/坪となっていました。
外観や住宅設備は一般的なものですが、長期優良住宅で高気密・高断熱の住宅が上記の価格で実現できるのですから、お得感があります。価格以上のグレードといえるでしょう。
アイダ設計
数あるローコストハウスメーカーの中でも、アイダ設計はもっとも安いメーカーのひとつです。
同社のHP上には、28坪4LDKが888万円と言う情報もあります。これは、坪単価では32万円弱になりますから驚きですね。
住宅性能の特徴はありませんが、震度7の耐震実験を行いクリアしていることから特に問題はないでしょう。
システムキッチンなどの住設備機器も一般的なものですが、最新のものが採用されています。
とにかく、この安さです。ハイグレードの住宅を望まなければおすすめです。
ロイヤルハウス
同社は、7年連続グッドデザイン賞を受賞しており、垢抜けたデザインを特徴としていますが、技術開発にも積極的なハウスメーカーです。
ロイヤルハウスの平均販売価格は、40〜50万円ほどと言われています。
また、同社のHP上では、キャンペーン価格ですが、延床面積29.64坪で本体価格が1,385万円となっていました。坪単価に換算すると46.7万円になります。
木造軸組構造に改良を加えた同社のロイヤルSSS(スリーエス)構法の住宅は、長期優良住宅基準に対応したもので、十分な内容です。
ローコストハウスメーカーの中では上に位置しますが、内外観のデザインセンスや性能を考慮すれば十分に納得のいくものでしょう。
まとめ
住宅のグレードは、ほぼ販売価格に影響されます。つまり、グレードは高級の程度とも言い換えられます。
坪単価が高いメーカーはグレードが高く、安いメーカーは低くなると言うことで、当然ですね。
ただ結局のところ、ユーザーの満足度は、その価格に見合った性能や高級感になっているかどうかで評価が変わります。
ハウスメーカーの坪単価やグレードについてわからない方は、ここで紹介した内容を参考にして業者を選んでください。
予算に余裕があれば本記事で紹介したグレードの高いハウスメーカーの中から、そして厳しい場合はローコストハウスメーカーの中から選びましょう。
ハウスメーカー選びに際して、実際の建物を見ると共に本記事の紹介を参考にしていただければ幸いです。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料