地鎮祭では、お供え物をします。神社・神棚にお供えする飲食物を神饌(しんせん)といいます。
ただ、どのようなものをお供え物するのかわからない方は多く見られます。間違えてしまわないようにきちんと理解しておきましょう。
具体的には、以下のものが挙げられます。
- 米
- 酒
- お餅
- 海魚
- 川魚
- 野鳥
- 水鳥
- 海菜
- 野菜
- 菓子
- 塩
- 水
上記の他には、地域の名産や神社にゆかりのある食べ物をお供えする場合もあります。
出典:http://memujinja.jp/sinsen/index.html
上の図で、山の物(幸)に卵などとなっていますが、一般的にはキノコやタケノコを指します。
しかし、山間で採れる果物や野鳥・卵なども山の幸としている場合もあり、厳格な定義はありません。
施主が準備するお供え物
地鎮祭も神事の一つですから、上記同様のお供え物になります。しかし、冒頭で挙げた全てのお供え物を用意するのは大変ですね。
引用:https://e-sumaile.net/
一般的な地鎮祭では、冒頭で挙げたお供え物を、米、お酒、山の幸、海の幸、野菜、塩、水と分類して、それぞれに相当するものをお供えしましょう。
地鎮祭のお供え物は、基本的に施主が用意します。
ただ、神社・神主によっては、お供え物まで用意してくれる場合があります。事前に神主と相談して、どこまで施主が用意するのかを確認しておきましょう。
地鎮祭のお供え物について簡単に説明しておきます。
お米
お供えするお米は、1合ほどを用意します。かつては、洗米とするのが一般的でしたが、現在では洗う必要はありません。
これは、かつては肥料に糞尿を使っていたことから洗って清める意味があったのです。しかし、現在ではそのような肥料を使っていませんよね。
なお、お米を洗う場合は、前日に洗い水切りして乾燥させたものを用意しておきましょう。
お米は、神様に作り方を教えられたもので、神聖な食べ物とされています。そのため、感謝の意を込めてお供えします。用意したお米は、神社側で用意した大きめの平瓦(ひらか)に盛られます。
清酒
お供えするお酒は清酒を用意しましょう。お酒は、神社側で用意した瓶子(へいし)に入れられますが、神社側で前もって入れてくる場合もあります。
お酒は、神の神聖な飲み物とされており、お供えしたお酒には神聖な霊力が宿るとされています。そして、神聖な霊力が宿ったお酒を地鎮祭後に分け与えられ、ご加護を受けるのです。
山の幸
引用:http://hirohatahachimangu.com/sta21217/index.html
果物は、「りんご」や「みかん」などの、できれば季節のものを用意しましょう。
山の幸では、キノコやタケノコを思い浮かべますが、季節によっては用意できないものもあり、一般的には果物などで代用されています。
海の幸
引用:http://hirohatahachimangu.com/sta21217/index.html
魚(頭と尾がついたもの)、するめ、昆布、などが一般的です。祭事ですから、語呂合わせに鯛(=おめでたい)とする場合もありますが、こだわる必要はありません。
野菜
引用:http://hirohatahachimangu.com/sta21217/index.html
トマトやナスなどの地上にできるもの、そして大根や芋などの地下にできるものの両方を用意します。
塩
1合ほど用意しておけばいいでしょう。一部を平瓦(ひらか)に入れ替えて供えられます。また、塩は敷地を清めるために使用します。
水
1合(180cc)ほど用意します。ペットボトルのミネラルウォーターでいいでしょう。水は水器(すいき)に入れて供えられます。
初穂料(はつほりょうやお車代
初穂料(はつほりょう)とは、神主に対する謝礼金で、お車代と合わせて2〜3万円が相場です。なお、謝礼金を玉串料(たまぐしりょう)とする場合もあります。
なお、謝礼金はご祝儀用ののし袋に入れて、初穂料あるいは玉串料と書いて神主にお渡しします。
地鎮祭の初穂料については、「地鎮祭の玉串料・初穂料はいくら?のし袋の知っておきたいマナー」の記事を合わせて読むようにしてください。
施工業者や神社が準備してくれるもの
引用:https://urbanhome-tt.com/7570/
お供え物は基本的に施主が用意するものですが、それ以外のものは、神社や施工業者が用意してくれます。
祭壇・八足案
祭壇(写真奥の3段)や八足案(はっそくあん:手前の台)などの神事に使う用品は神社側で用意されるのが一般的です。現在ではレンタルすることもできますが、神社にお任せした方がいいでしょう。
八足案は祭壇の一種で、八脚案(はっきゃくあん)、神饌台(しんせんだい)ともいいます。
祭壇にはこれらの他に、三方(さんぼう)なども必要ですから、祭壇周りの用品は一式を神社側にお願いする方が無難です。
なお、祭壇は北側を背にして南向きになるように設置します。
竹
地鎮祭時に四方に建てられる竹は「斎み竹(いみだけ)」と言われ、土地の不浄を防ぎ、清めるために使われます。神様を迎える清浄な場所です。
竹は青竹で、高さは3メートル前後の先端を切っていないものになります。このような竹を施主が用意するのは難しいため、一般的には施工業者が用意します。
しめ縄と紙垂(しで)
四方に立てた青竹の間をしめ縄でつなぎ、縄には紙垂(しで)をつけます。いみ竹同様に、清浄な場所を表しています。
しめ縄は、丑寅の方向(北東)の位置にある竹の部分から時計回りにつないでいき、紙垂は1辺に4垂れずつ付けます。
なお、しめ縄や紙垂も施工業者が用意しますが、紙垂は神社側で用意することもあります。
砂・鍬(くわ)・鋤(すき)
引用:http://koba-i.co.jp/blog/2432.html
砂は、鍬入れ(くわいれ)の儀を行う場合に使用するもので、斎砂(いみすな)あるいは盛砂(もりすな)といいます。
祭壇の近くに高さ40cmほどの円錐形に盛ります。
これも施工業者が用意しますが、最近の個人住宅の地鎮祭では鍬入れの儀を省略している場合も多くあります。
鍬入れの儀を行う場合は、それに使う鍬や鋤も施工業者側で用意するのが一般的です。
玉串(たまぐし)
引用:http://www.sanretsu.jp/shoukou/shinnshiki.html
玉串とは小さな榊(さかき)の枝に紙垂をつけたもので、清き誠の心を神前に捧げる意味があります。神社側が用意します。
なお、玉串を神主から受け取り祭壇に捧げる時には作法があります。
上の図を参考にしてください。また受け取った時に一礼(一拝)し、祭壇に捧げた後に、二礼(二拝)、二拍手、一礼(一拝)することも忘れないようにしましょう。
鎮め物(しずめもの)
これは、地霊をなごめ鎮めるために捧げるもので、神社側より施主に授けられます。
授けられた鎮め物は、工事の安全を願い、建物の中央付近の地面に鎮めます。
一般的には、基礎の地面を掘り下げた段階で地中に埋めますので、現場管理者にあずけて鎮めてもらうようにしましょう。
地鎮祭のお供え物のお酒について
清酒には、以下のようにグレードがあります。
- 特撰(とくせん)
- 上撰(じょうせん)
- 佳撰(かせん)
これは、以前の特級、1級、2級に該当していますが、お供えのグレードとしては、上撰が妥当なところでしょう。
お酒の本数
お供えのお酒は2本用意するのが基本です。これは1本を神様へ、1本は神様から分け与えられた御神酒(おみき)として頂くためのものです。
しかし、お供えのお酒は、施主だけでなく施工業者もお供えしますので、実際には1本の場合もあります。
お酒ののし
神様にお供えするお酒は「奉献酒(ほうけんしゅ)」と言い、神様より分け与えられ霊力が宿ったお酒を「御神酒(おみき)」といいます。
ですから、お供えするお酒ののし紙の上部には、「奉献」もしくは「奉献酒」と書くのが正解です。
ただし、地域によっては「御神酒」と書くこともあるようですから、購入するお酒屋さんで確認しておくといいでしょう。
いずれの場合も、のし紙の下側にはお供えする人の氏名や会社名を書きます。
お酒の銘柄
お供えするお酒の銘柄には特に決まりはありませんが、祭事ですから、縁起のよい名前のものを選びましょう。
地鎮祭のお酒については、「地鎮祭のお酒・奉献酒(ほうけんしゅ):相場や種類、マナーについて」の記事で解説しています。合わせて読むようにしてみてください。
お供え物のお供え方
海の幸、山の幸などのお供えは、神社側で用意した三方に載せます。
お酒は、化粧箱、もしくは縄で結んだ形(2本の場合)でお供えします。いずれの場合も上で説明したようにのし紙を付けます。
お供え物を用意するには
生涯に1度か2度あるかどうかの地鎮祭です。
馴れないお供え物を用意するにも、色々と迷うことが多いものです。そのような時に、セットとして用意してくれる通販はあるのでしょうか。調べてみました。
地鎮祭 お供え物 セット 通販
通販、そしてインターネット時代にふさわしく、色々な通販会社で地鎮祭用のお供えものが用意されています。
しかし、お供えセットでは、ほとんどが果物セットやお酒となっています。
一方、地鎮祭の祭壇や竹などの用品・用具を含めたセットをレンタルしているところでは、山の幸や海の幸などのお供え物一式を用意してくれるコースがあります。
どこまで、レンタルするかは神社の都合もあるでしょうが、一切をレンタルでまかなうのも選択肢かもしれません。事前に神社と相談されておくことをお勧めします。
地鎮祭のお供え物のその後
神様にお供えした物は、誰が持ち帰るのでしょうか。
お酒は、御神酒として参加した人たちでいただくと上で書きましたが、海の幸や山の幸などは、どうするのでしょうか。紹介していきます。
地鎮祭のお供え物の魚や野菜や果物食べるのか
結論から言うと、もちろん食べます。お酒と同様に、一度お供えしたものは神聖なものですから、神様の加護を受ける意味でもきちんといただきましょう。
本来、地鎮祭後には直会(なおらい)と言う食事の宴を行い、お供え物を参加者がいただきます。
しかし、車社会になってお酒をふるまう直会は省略することが多くなっています。そのため、直会でいただくお供え物を持ち帰って食べても、問題はありません。
問題となるのは、「誰が持ち帰るか」、でしょう。これは、地域、神社、そして誰がお供え物を用意したかなどで、様々なケースがあります。
基本的には、お供え物を用意した(費用を出した)方、つまり一般的には施主が持ち帰るのが正しいです。
しかし、神事で神聖になったお供え物の霊力を参加者で分け合うと言うのが、一番理解しやすいのではないでしょうか。
地鎮祭のお供え物は処分してもいいのか
せっかくの神聖なお供え物を処分してしまうのは賛成できません。しかし、中には魚などの生物で、傷みやすいものもあります。
そのようなときは、そのまま捨てるのではなく、紙に包み清めの意味で塩をまいてから捨てるといいでしょう。
まとめ
地鎮祭のお供え物には、米、酒、山の幸、海の幸、地表・地下の野菜、などがあります。山の幸や海の幸には厳格なルールがある分けではなく、地域や季節によって相応のものを選べばいいでしょう。
注意する点は、お酒には「奉献」あるいは「奉献酒」と書いたのし紙をつけること、そしてお供えする人の氏名や会社名を忘れないことです。
魚をお供えする時には、頭と尾がついているものを選びましょう。干物でもよいとされています。
神主への謝礼には「初穂料」や「玉串料」と書いたのし袋に入れてお渡しするのが礼儀です。その際の謝礼金には、お車代も含めるようにします。
一般的には、2〜3万円が謝礼金の相場です。
ただし、神社によってはお供え物の一部を用意してくれるところもありますので、その場合は5万円ほどになります。
地鎮祭後に、お供えしたお酒などのお供え物を誰が持ち帰るかは、地域や神社、そして誰がその費用を支払ったかによります。基本は支払った人の采配によりますが、事前に神主と相談しておく方がいいでしょう。
重要なのは、地の神様にその土地を使うことの許可をもらい、工事の安全を願うためにお供えすると言うことです。
そして、神聖な霊力を宿したお供え物を参加者で分け合い、ご加護を受けると言うことにあります。
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