ツーバイフォー工法は、1974年に日本でも使える建築工法としてオープン化され、40年程前から国内でも徐々に建築されるようになりました。
ツーバイフォー工法は北米の木造住宅の90%以上を占め、世界中に普及している工法です。
地震や台風などの災害に強いといわれ、阪神淡路大震災の際には、基礎から離れて倒壊したツーバイフォー住宅が建物の形に歪みがないまま倒れていたという話もあります。
また、高気密・高断熱の家ができることで注目され、急速的に普及した工法です。
ツーバイフォー工法とはいったいどの様な構造なのでしょうか。そしてどのような欠点やメリット、デメリットがあるのでしょうか。詳しくご説明します。
ツーバイフォー工法とは?
ツーバイフォー工法とは、アメリカ、カナダでは最も一般的な工法で、アメリカではプラットフォーム工法と呼ばれています。
ツーバイフォー工法(2×4工法)は日本独自の呼称で、使用する構造材が2インチ×4インチの木材で構成されることから(実際に使用される木材は38mm×89mmなので1.5インチ×3.5インチになります)このように呼ばれる様になりました。
建築的には日本の「在来軸組工法」と区別する上で「枠組壁工法」といいます。
軸組工法のように「柱」や「梁」で建物を支えるのではなく、構造用製材でつくった枠組みに構造用合板を張り付けた「パネル」で床・壁・屋根を構成して建物を支える6面体構造です。
そのため、横の揺れなどに強く地震に強い特徴があります。
そしてツーバイフォー工法は、材料の寸法や釘、金物等が規格化された非常に合理的な工法で、施工の際にも日本の伝統工法や軸組工法のような難しい技術が必要ありません。
そのため、大工の腕の差による品質のバラツキや施工ミスが少なくなる傾向があります。これにより、安くて品質の高い家を造ることができるのです。
ツーバイフォー工法のメリット・魅力
ツーバイフォー工法のメリットとして次の5点があります。
- 地震や台風などの外力に強い
- 気密性、断熱性、防音性が高い
- 防火性能が高い
- 品質が安定している
- 工期短縮が比較的容易
ツーバイフォーには、このようなメリットがあります。それでは、順番にご紹介していきます。
地震や台風などの外力に強い
水平構面と垂直構面による6面体のダイヤフラムによって、モノコックを構成して建物を支えます。
地震で加わる力や台風などの風圧力を面で分散させることができるため、耐震性に優れ、台風にも強いのが特徴です。
気密性、断熱性、防音性が高い
面構造なので部材相互の密接度が高く、気密性能、断熱性能、防音性能を高めることが容易にできます。
高気密・高断熱化することにより、省エネ対策になります。
防火性能が高い
部材相互の密接度の高さは、火の回りを遅らせることを可能にし、防火面でも効果的です。
またツーバイフォー住宅は、天井と壁の内側を全て石膏ボードで耐火被覆し、各室防火を図る省令準耐火構造のため、火災保険が安くなります。
品質が安定している
マニュアルに従い、決まった本数の釘や金物を使用してパネルを製作し、現場で組み立てていく作業です。
施工が簡単で熟練工を必要とせず、品質が安定しています。
また材料も規格化されているので、安定供給が可能です。施工会社によって品質の差が少ないので、家を建てる側は安心できますよね。
工期短縮が比較的容易
工場などである程度パネル化した状態で現場に搬入することもできるので、工期の短縮が比較的容易にできます。
また一方では手組み作業も可能なので、前面道路にレッカー車が入れない都市部の狭小地での施工性にも優れています。
以上のようにツーバイフォー工法のメリットは数多くあります。
外力に対して抜群の強さを発揮すると共に、標準的に気密性、断熱性、防音性、防火性などの住宅に必要な基本性能が高いことが魅力になっています。
また大工の腕の差によって、仕上がりの良し悪しが在来軸組工法ほど左右されないので、大工を選べないハウスメーカーで家を建てる場合には大きなメリットになると思います。
ツーバイフォー工法のデメリット・欠点
一方、ツーバイフォー工法もメリットばかりではありません。次のようなデメリットもあるので、注意する必要があります。
- プランニングに制約が多く、間取りの自由度が低い
- 腐食のリスクが高い
- 工事中の降雨対策が必要
- 将来の間取り変更リフォームが困難
- 木の長所を活かしにくい
- 建物の延命が難しい
- 対応できる住宅会社、工務店が少ない
メリットだけではなく、デメリットもきちんと理解しておきましょう。
プランニングに制約が多く、間取りの自由度が低い
壁の量や壁の配置が構造上重要になるので、軸組工法よりも比較的大きな空間が作りやすい反面、開口幅などが制限され、間取りの自由度は劣ります。
外壁隅角部に窓を設置したり、壁一面に大きな窓を設置したりすることなどはできず、プランニングにも制約が多くなります。
また、天井裏の隙間が軸組工法に比べて狭くなるため、配管の経路など設計する上での注意が必要になります。
腐食のリスクが高い
気密性が高い反面、高湿度の環境下にある場合や雨漏りが発生した場合には、湿気が抜けにくく、カビの発生や木材の腐食につながる恐れがあります。
湿気や内部結露に注意すると共に、雨漏りで構造材が濡れてしまった場合には、十分に乾燥させる必要があります。
工事中の降雨対策が必要
下から順番に組み立てていく工法なので、1階の床と壁、2階の床と壁の組み立てが終了しないと屋根を架けることができないため、その間に雨が降ると床や構造材が濡れてしまうことになります。
床に撥水材を塗布する、雨養生シートを張るなど、工事中の降雨対策が欠かせません。
将来の間取り変更リフォームが困難
竣工後のリフォームによる間取り変更や間仕切り壁の撤去の際には、壁量計算や耐力壁の配置の検討などが必要になり、基本的に増改築には不向きです。
将来、壁の撤去や移動、窓・ドアの新設などのリフォームは困難になります。
木の長所を活かしにくい
パネルで面を構成するので木材を露出させたデザインを施すのが難しく、木の調湿効果や癒し効果を期待することができません。
建物の延命が難しい
建物全体の寿命は、構造体が釘や接合金物類の寿命に依存することになるので、延命対策が難しくなります。
また歴史が浅いため、建物の寿命については未知数です。
対応できる住宅会社、工務店が少ない
ツーバイフォー工法には独自の基準があるため、在来軸組工法住宅の施工実績が豊富でも、ツーバイフォー工法に対応できるとは限りません。
建築できる会社が限られてしまうのが現状です。
ツーバイフォー工法は徹底的な構造解析から生み出された工法で、構造理論が確立しているため信頼度が高い工法です。
ただその反面、設計・施工の際には様々な基準(指針)があります。
壁量計算や耐力壁の配置の検討の他、釘やビス、金物、構造用製材の種類から釘やビスの打ち込み間隔に至るまで、マニュアルに従って忠実に設計・施工を行うことが不可欠です。
これらの基準を守って建築すれば、頑丈で防火性能、断熱・気密性能に優れた住宅になります。
しかし、ツーバイフォー工法に不慣れな業者に依頼すると欠陥住宅になってしまう恐れがあります。
特に間取り変更等のリフォームを行う際には、ツーバイフォー工法を熟知した業者に依頼することが重要です。
ツーバイフォー工法で家を建てたい場合は、ハウスメーカーや工務店に事前にツーバイフォー工法で家が建てられるか確認するようにしましょう。
まとめ
ツーバイフォー工法は、アメリカの西部開拓時代に大量の住宅需要が発生して熟練の大工が足りず、木材の確保も困難になる中で、人手さえ確保できれば素人でも住宅が建築できるようにと開発された工法だといわれています。
この工法によって、日本の在来軸組工法のような熟練の大工を必要とする仕口や継ぎ手の加工が不要になりました。
そのため、家を建てるコストを減らしたり、工期を短くできたりするメリットがあります。
在来軸組工法と比較されることが多いと思いますが、どちらの工法にもそれぞれメリットとデメリットが存在します。
構造的な制約が少なく、空間の自由度の高さや、将来の増改築のしやすさを求めるのであれば、ツーバイフォー工法はあまり向いていません。
しかし、耐震性や省エネ性、防火性などの面ではツーバイフォー工法がおすすめです。
工法や構造自体に優劣があるわけではなく、建築主の要望と照らし合わせた上で検討することが大切です。ハウスメーカーや工務店と相談して、あなたに合った工法で家を建設しましょう。
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