フラット35の利用者統計によれば、全国平均の注文住宅建設費は3,353万円となっています。また、平均延床面積は38.78坪で、平均家族構成は4人弱となっています。
この統計数字からすると、4,000万円の建設予算があれば、上の平均的な注文住宅以上のものが建てられそうです。
では、その予算で建てられる注文住宅とは、どのような規模・内容のものでしょうか。気になりますよね。
4,000万円という大きな買い物をするのですから、しっかり勉強しておきましょう。
本記事では、上で紹介した注文住宅の統計数字を参考にしながら、施工事例を比較・紹介していきます。これから注文住宅を計画される方は参考にしてください。
注文住宅で建設費4,000万円は豪華?
上で紹介した平均建設費を平均延床面積(坪)で割ると、
3,353万円 / 38.78坪 = 86.46万円/坪
となります。
この坪単価はハウスメーカーでもハイグレードな部類に入り、高級あるいは豪華な住宅と言えるでしょう。
しかし、注文住宅を建てる場合に忘れてはいけないものに付帯工事費があります。ハウスメーカーの公開されている坪単価には、この付帯工事費は含まれていないのです。
付帯工事の内容は、ハウスメーカーや工務店、そして土地によって異なりますが、一般的には屋外の電気・ガス・給排水の工事があります。
これらがないと、住宅としては使えませんよね。また、冷暖房工事や照明器具、そして玄関アプローチやカーポートなども必要でしょう。
それらの費用は一般的に、建設費の20%前後と言われています。
つまり、フラット35利用者の平均建設費3,353万円では、670万円ほどが付帯工事費になります。
そして、残りの2,683万円が本体工事費で、坪単価では69.18万円となります。この数字は、ハウスメーカーではミドルクラスの範囲に入るでしょう。
同様に、建設予算4,000万円では、付帯工事費は800万円で本体工事費は3,200万円となります。
これにフラット35利用者の平均延床面積を適用すると、坪単価は82.51万円で、ハイクラスの範囲にはいります。ますます期待できそうですね。
参考までに、全国で事業展開しているタマホームのベストセラー商品「大安心の家」の坪単価は40万円台(本体住宅部分)とされています。
この商品は自由設計で、長期優良住宅対応の住宅性能となっています。また、耐震性能も最高等級3の高性能なものです。
この仕様の倍ほどのコストをかけられるのですから、どれほど豪華な注文住宅とできるか想像できないほどですね。
以下から、もう少しチェックしていきましょう。
実際に建てられている注文住宅の相場
地 域 | 建設費(万円) | 延床面積:㎡(坪) | 坪単価(万円) | 家族数(人) |
全 国 | 3,353.5 | 128.2(38.78) | 86.47 | 3.7 |
首都圏 | 3,627.0 | 127.0(38.41) | 94.42 | 3.8 |
近畿圏 | 3,408.1 | 126.9(38.38) | 88.79 | 3.6 |
東海圏 | 3,437.2 | 130.1(39.35) | 87.34 | 3.6 |
その他 | 3,193.0 | 128.5(38.87) | 82.14 | 3.7 |
フラット35利用者調査より引用
この表から判ることは、家の大きさは全国ほとんど変わりませんが、地域によって建設費が比較的大きく変化していることです。
首都圏の94.42万円/坪が最高額で、地域によって6〜12万円ほどの差があるのです。
いずれにしても、これから注文住宅を建てようと計画している方にとって、とても参考になる情報ではないでしょうか。
ただ、ここで表されている建設費には、住宅を自立・完結させるための付帯工事費が含まれています。
以下から、建設費4,000万円の具体的な事例を紹介していきます。どのような、規模や内容になっているのでしょうか。参考にしてください。
新築注文住宅4,000万円の事例
フラット35利用者の平均的な注文住宅の建設費よりも、700万円前後高い住宅では、それをどのような費用に使われているのでしょうか。チェックしてみましょう。
東京都:自然を取り込む都市の家
場所 | 東京都世田谷区 |
延べ床面積 | 187.42m² |
敷地面積 | 214.03m² |
コスト | 4,000万円~ |
形態 | 一般住宅 |
耐震等級 | 耐震等級3 |
竣工日 | 2018年08月 |
写真から判るように急勾配の傾斜地に建てられているため、前面道路の高い位置に合わせて地面の一部をかさ上げしています。そのため、車庫部分は半地下状態になります。
正面に見えるコンクリート壁は、坂上の住宅地や道路からの視線を防ぐためのもので、下部は擁壁(ようへき:土留)ですが上部は目隠し用の壁です。
この住宅のコストには、土のかさ上げや擁壁・目隠し壁、そして車庫なども含まれていると推測され、一般的な付帯工事費よりもコストアップになっていると思われます。
では、この住宅の間取りや内装がどのようなものなのか、見学していきましょう。
間取り・内装
前面道路から外観を見た時の右側に位置しているリビングです。上部を吹き抜けとして、無垢(むく)のフローリング床と板張りの勾配天井がアクセントになっています。
こだわりを感じるのは、吹き抜けから続く2層分の窓と無垢のフローリング床です。
素敵で贅沢な空間ですが、豪華さを感じるものではありません。住空間の質と快適性にこだわった住宅と言えるでしょう。
2階に設けられた浴室で、大判のタイルでシンプルに仕上げられています。
なお、浴室とは思えない大きな窓も、2階にあることと目隠しルーバーでプライバシーの心配は感じられません。
いずれにしても、ユニットバスに見られる飾り棚やカウンターのないシンプルさで、豪華な華やかさはありませんが、高級感のある浴室です。
出典:https://www.terajima.co.jp
浴室と同じ大判のタイルを床・壁に貼った洗面所です。上浴室同様に、全体にスモーキー色で統一しています。面白い味わいですね。
この注文住宅の敷地形状の特殊性などを考慮すると、付帯工事費は高額になると思われます。
一方、延坪は全国平均よりも大幅に大きいため坪単価は下がっているでしょう。
それらのプラス・マイナスを考慮しても、この注文住宅の建設坪単価70万円は比較的安いように感じます。
住空間の質と高級感のある仕上げにこだわりながらも、コストを抑えることに成功している例ですね。
3階建てビルトインガレージの注文住宅
場所 | 群馬県前橋市 |
延べ床面積 | 189.95m² |
敷地面積 | 144.59m² |
コスト | 4,000万円~ |
形態 | 一般住宅 |
竣工日 | 2017年11月 |
この住宅では、主な居住空間を2階と3階にしており、1階の大きいインナーガレージが印象的な3階建ての木造住宅です。
この住宅の屋外の付帯工事としては、特別なものがなく、前面のアプローチタイルが少し広いくらいでしょう。
間取り・内装
完全にオープンなアイランドタイプのキッチンです。無垢のフローリング床、飾り棚、ダイニングテーブルと、自然木が多用されています。
このようなオープンキッチンは、調理や後片付けを家族一緒に行え、会話も弾むものです。しかし、匂いや蒸気が部屋に拡散する恐れもあります。
ですから、調理器上部に設けるレンジフードは、できるだけそれらを排出する高機能なものを選ぶことをおすすめします。
リビングとダイニング・キッチンの全景です。リビング前のバルコニーには目隠し用の壁がありますから、プライバシーの問題はありません。
出典:http://www.icocochi-house.com
バルコニー側からリビングを眺めた写真です。バルコニーの道路側の手すり格子からは夜景が楽しめそうですね。
また、3階のバルコニーと2階のバルコニーとで会話ができそう配置になっており、面白いアイデアだと思います。
この住宅も、内外の仕様や設備にこだわりを感じるものの、豪華さを感じるものではなく、施主の生活スタイルを表現した内容となっています。
フラット35の平均建設費との差額は、そのまま延床面積の差に使われているように感じます。
中庭がつなぐ二世帯住宅
場所 | 東京都世田谷区 |
延べ床面積 | 144.95m²(43.84坪) |
敷地面積 | 142.42m²(43.08坪) |
コスト | 4,000万円~(91.24万円〜/坪) |
形態 | 一般住宅(木造) |
耐震等級 | 耐震等級3 |
竣工日 | 2018年11月 |
非常にシンプルでオシャレではありますが、豪華な印象はありません。外観からは見えませんが、正面の右奥に各世帯の住居部分で囲まれた中庭があります。
間取り・内装
2階子世帯用のリビング・ダイニングです。左側の掃き出し窓の先にはバルコニーがあります。ダイニングテーブルの自然木の一枚板が素敵ですね。
ステンレスのキッチン・ワークトップと大型のキッチン・フードはグレードが高いものです。また、奥に見えるオーダーメイドの階段とも合わせて、こだわりを感じます。
出典:https://www.terajima.co.jp
ウッドデッキで仕上げられたバルコニーの向こう側に中庭があり、桜の木が見えます。明るいプライベートな屋外空間と中庭とのつながりがいいですね。
この東京エリアに建てられた注文住宅は、フラット35利用者の同エリアの平均坪単価とほぼ同等で、住設備機器費がダブルになることを考慮すれば、コストパフォーマンスの高い方でしょう。
以上、注文住宅の3実例を紹介してきました。それぞれに魅力があり、こだわり部分には高品質や高級なものが使用されています。
しかし、突き抜けるような豪華なものではなく、施主の希望と生活スタイルを反映したバランスのとれたもののように思います。
つまり、注文住宅ユーザーは華やかな豪華さよりも、広く快適で高品質な住空間やキッチンやサニタリー部分にこだわることを選んでいるのです。これは、正しい選択です。
注文住宅を予算4,000万円で建てる注意点
注文住宅の建設には建物本体以外にも、電気・ガス・屋外給排水などの付帯工事が必要です。そして、それらは建設費の20%程度が必要と言われています。
ですから、建設予算を4,000万円とした場合、800万円が付帯工事費で、3,200万円が本体工事費となります。
ただし、事例にもあったように敷地が特殊な場合、あるいは地盤改良工事や既存建物の解体などが必要な場合には、その分の付帯工事費も必要になります。
注文住宅を建てる時には、この付帯工事費を忘れないようにしてください。
以下からは、建設費4,000万円の予算内で注文住宅を建てる時の注意点を紹介していきます。
こだわりすぎると予算4000万円を超えてしまう
冒頭で建設予算が4,000万円あれば、かなり豪華な注文住宅を建てられそうだとお伝えしました。
しかし、オプションにこだわると値段はすぐ高くなってしまうので注意しましょう。
たとえば、以下のようにこだわりたい部分はあるのでしょうか。
- ウッドデッキ
- 地下室
- ソーラーパネル
- アイランドキッチン
挙げるときりがないですが、人それぞれこだわりたいオプションや設備はたくさんあるのではないでしょうか。
土地がすでにある方は4,000万円あればこだわることは可能ですが、土地がない方の場合は土地代がかかります。4,000万円では、十分に設備にこだわることはできません。
住宅の設備はとても高く、キッチンも高いものだと本体だけで数百万円という価格になってしまいます。
こだわりたい気持ちもわかりますが、こだわりすぎると値段が高くなってしまうためオプションを選ぶ際はよく考えて選ぶようにしてください。
価格を比較して業者を選ぶ
上の図は、同じ規模・仕様の注文住宅を建てた場合の見積り比較の一例です。図からも判るように、最低額と最高額の差は1,400万円にもなります。
これが本記事の4,000万円の注文住宅となれば、その差額は一層大きくなると推測できます。
仮に、同じ見積り差額が出るとするならば、同じ内容でも4,000万円と2,600万円の見積りが出てくるのです。
言い換えれば、相見積りをしなければ、2,600万円相当の住宅を4,000万円で買ってしまうこともあるのです。相見積りの重要性が判りますよね。
なお、相見積りでは価格優先ですが、最優先とするのはすすめられません。
安さだけで選ぶのではなく、見積り内容に施主のこだわりが反映されているのかも検討しておくことが必要です。安さを重視して業者を選ぶと、建売のような家になってしまうからです。
住宅の広さや仕様は分かりやすいものですが、こだわりは見積りや仕様では判りにくいものなのです。
広さや性能、そして快適性などは住宅の基本的な部分です。
しかし、注文住宅では施主の生活スタイルのこだわりが重要な要素になります。こだわりのない住宅なら建売住宅と変わりませんからね。
上で紹介した事例では、大きな吹き抜けと窓のあるリビング、高級感のある浴室、複数台のインナーガレージと自然木を多用したオープンキッチン、さらにはウッドデッキバルコニーと桜の木が象徴的な中庭、などのこだわりがありました。
これら以外にもユーザーごとにそれぞれのこだわりがあると思います。
いずれにしても、見積り内容と共に、生活スタイルのこだわりがどれくらい反映されているのか、十二分に説明を受け理解するようにしましょう。
では、どのように相見積りを取ればよいのでしょうか。以下で紹介します。
一括資料請求サービスを上手に活用する
相見積りを取るためのハウスメーカー選びには、一括資料請求サービスが便利です。
これは、インターネット上で土地所在地や家族構成、敷地の大きさ、予算、そして施主の希望(こだわり)などを入力すると、それらの条件に対応できるハウスメーカーや工務店を紹介してくれる無料のサービスです。
建設費予算4,000万円は、冒頭のフラット35の利用者平均と比べても高額です。そのため、対応できるハウスメーカーや工務店も大小数多くあり、いくつもの紹介があると思います。
つまり、ユーザーには選択眼が求められるのです。
ですから、まずは一括試料請求サービスを利用して資料集めの時間やエネルギーを省略し、業者選びに時間とエネルギーを掛けるようにしましょう。
一括資料請求サービスの利用時には、施主のこだわりを十分に伝えられないかもしれません。
その場合、紹介された業者との打合せの中で、改めて生活スタイルやこだわりを十分に伝えるようにしてください。
そして、見積り額とのバランスを考慮しながらから、施主のこだわりを理解し、見積りや仕様に反映している業者を選ぶようにしてください。
まとめ
注文住宅の建設予算を4,000万円とした場合、その金額は注文住宅の全国平均を大きく上回ります。土地がない方は、平均的な価格です。
したがって、平均的な延床面積(40坪前後)であれば、豪華な家とすることも可能でしょう。
しかし、豪華であることはそれほど重要ではありません。むしろ、十分な広さと快適性や高品質の住宅とすること、そして的を絞ったこだわりにコストを掛けるべきです。
なお、注文住宅の予算で注意しなければならないものに、付帯工事費があります。
これは、屋外の電気・ガスや給排水などの工事費で、一般的には建設費の20%ほどが必要と言われています。
建設予算が4,000万円であれば、800万円が付帯工事費で3,200万円が住宅の本体工事費となるのです。
このように注文住宅では、広さ・品質・こだわり、そして付帯工事費を含めて建設予算内に納めなければなりません。
そのため、注文住宅では相見積りを取るのが鉄則で、それには無料の一括資料請求サービスの利用が便利でおすすめです。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料