積水ハウスの注文住宅1戸あたりの平均売上高(請負金額)は、2017年の3,807万円から2021年の4,265万円と、年々上昇してきています。(Financial Factbookより)
その間の上昇率は約12%で、年に3%ほど上がっている計算になります。買うなら早い方がいい、と言えるかもしれませんね。
そんな中で、全ての費用を含んだマイホームの総予算4,000万円で、積水ハウスの注文住宅では、どれくらいのものを建てることができるのでしょうか?
本記事では、2021年の積水ハウスのFinancial FactBook(経営内容報告書)、および同年の国交省の住宅市場動向調査を参考に、総予算4,000万円で建てられる積水ハウスの注文住宅の規模や予算内訳などについて述べていきます。ぜひ参考にしてくださいね。
全国の注文住宅の平均像
まず、全国の注文住宅ユーザーの平均的な年収、建築資金、頭金比率、延床面積、などを紹介しておきましょう。(国交省統計)
世帯平均年収と世帯主年齢:711万円(平均年齢40歳)
上の表では、注文住宅取得者の世帯主平均年齢が40歳となっていますが、最多年齢層は30歳代というのが特徴です。
なお、表の一次取得者とは、初めて住宅を取得する人のことで、同じ国交省統計による注文住宅の一次取得者比率は79.9%と大半を占めています。ですから、ここでは一次取得者を中心に述べていきます。
上の表では、40歳未満の平均世帯年収が711万円で、40歳代では853万円となっています。いずれも、年収600〜800万円未満が最多を占めていることが分かります。
以上から、注文住宅ユーザーの全国平均像は、年齢が30〜40歳代で年収が600〜800万円未満といえるでしょう。
住宅建築資金と頭金比率:建築資金=3,489万円、頭金比率=23.6%
表の住宅建築資金は、調査書上で建築に必要な費用を全て含むと定義されていますから、後述する積水ハウスの売上高とほぼ同じ内容でしょう。
全国平均の3,489万円は、積水ハウスの4,265万円よりも776万円も安く、やはり積水ハウスは高いですね。
全国平均の頭金比率は23.6%で、積水ハウスFinancial FactBookによる頭金比率の推移25〜30%よりも少し低い比率となっています。
ただし、いずれの頭金比率も、土地有りと無しを含めた数字ですから、新たに土地を購入した場合の建築工事資金に対する頭金比率は下がるだろうと推測できます。国交省統計の一次取得者で、土地を購入して注文住宅を建てた場合の平均頭金比率は、17.3%となっています。
頭金比率の大小は本記事のテーマでは有りませんので、詳しくは述べませんが、頭金比率の低い、あるいは無しの注文住宅ユーザーも多くいます。問題は、十分なリスク管理の上での実行可能な返済計画さえあれば、マイホームを手に入れることができるのです。
以上で紹介した注文住宅の全国平均像は、下記で紹介する積水ハウスの注文住宅の平均像とは直接的には連動しません。ですが、積水ハウスの注文住宅がどのようなポジションにあるかの参考になるのではないでしょうか。
積水ハウスの注文住宅の平均像
冒頭で、積水ハウスの注文住宅の1戸当たりの平均売上高を紹介しましたが、その中身を少し確認してみましょう。
平均延床面積:135.04㎡
積水ハウスの2021年の注文住宅の平均延床面積は、135.04(40.83坪)です。国交省の同年の全国平均が、新築で120.2㎡(36.30坪)、建替えでは118.5㎡(35.8坪)となっていますから、4.5坪〜5坪ほど大きくなっていますね。
平均売上高(請負契約金額):4,265万円/戸
注文住宅の売上高には、本体の建築工事の他には、屋外給排水や外構工事などが含まれていますが、ローン手数料や登記費用などの諸費用は含めないのが一般的です。ですから、実際には建築総費用に諸費用の100万円前後をプラスした額が、マイホームの取得に必要な総予算となります。
坪当たりの売上高:104万円/坪
上記の平均延床面積と平均売上高から、売上単価は104万円/坪(税抜)となります。積水ハウスの本体価格のボリュームゾーンは、80万円台/坪(税抜)ですが、売上高の104万円/坪との差額は何でしょうか。
差額の内容は、ユーザー選択による各仕上げのグレードアップ、設備の追加、そして地盤改良、屋外給排水、外構工事が坪単価に含まれているからです。
屋外給排水や地盤改良は、住宅メーカーを問わず必要なもので、大きく変わるものではありません。また、外構工事を全くなくすこともできないでしょう。
いずれにしても、積水ハウスの注文住宅の売上高104万円/坪は、事実として大いに参考になる数字です。マイホーム総予算を4,000万円として諸費用を100万円とするなら、( 4,000 – 100 )/ 104 / 1.1 = 34.1坪が積水ハウスの注文住宅で建てられる広さとなります。式中の1.1は消費税率です。
総予算に含まれるもの
マイホーム予算が4,000万円あっても、全てを建物に使えるわけではありません。屋外給排水や外構工事、そして融資手続きなどに必要な諸費用を残しておかなければなりません。
住宅メーカーの見積書は、各社によって分類や内容の記載方法が異なりますが、大きく分けて以下の3つの項目に分けられます。
本体建築工事費
基礎と上部構造、そして各仕上げ材と各設備が含まれており、それぞれの施工費を含めたものです。
積水ハウスの注文住宅は商品によって概要やコンセプトは決められていますが、詳細な仕様は邸別で一つ一つを選ぶスタイルをとっています。そのため、選んだグレードや追加した設備などで、本体の建築工事費が大きく上下します。
グレードアップで多いのが水回り設備で、追加としては床暖や太陽光発電関係になります。
別途費用(地盤補強、屋外給排水、外構工事、他)
地域や敷地によって異なりますが、地盤改良工事で30〜50万円前後、屋外給排水工事で100〜150万円が標準的なところでしょう。アプローチや植栽などの外構工事も内容で大きく異なりますが、200〜300万円ほどは予算に組み入れたいところです。ですから、合計すると、300〜450万円が目安となります。
その他諸費用(融資手数料、印紙・登記、火災保険、他)
これは、住宅メーカーによって大きく金額が異るものではありません。融資や登記などに必要な費用で、標準的には100万円前後になります。
先に、マイホームの総予算を4,000万円に納めるには、単純計算では延床面積が34坪になると述べましたが、合わせてグレードアップや追加設備、そして外構工事も控えめにしておく必要がありますね。
積水ハウスの注文住宅ユーザー例
上記で注文住宅の全国と積水ハウスの平均像、そしてマイホーム予算を4,000万円に納める方法について述べましたが、参考に積水ハウス実ユーザー情報を見てみましょう。
ユーザーA:マイホーム総額=4,207万円
積水ハウス:里楽
- 本体工事:3,323万円(シャーウッド、平屋、33坪)
- 別途工事:510万円(地盤改良、屋外給排水、外構)
- 値引き :90万円
- 小計 :3,743万円(税抜き建築総単価=113.4万円/坪)
- 消費税 :374万円(税込み建築総単価=124.8万円/坪)
- 諸費用 :90万円
- 総額 :4,207万円(総予算に対する単価=127.5万円/坪)
本体工事の3,323万円には、陶器瓦、ベルバーン外壁、リビングフロアの無垢挽き板、床暖、水回り設備のグレードアップ、そして太陽光発電システム関係が含まれています。
このユーザーの水回り設備のグレードアップ追加費用は、合計で255万円にもなっており、坪単価を7.7万円も引き上げる要因となっています。
値引きの90万円は控えめですね。もう少し交渉できたのではないでしょうか。値引きをもう少し頑張って、水回りのグレードアップを控えめにしていれば、総額で4,000万円に納まっていたでしょう。
ユーザーB:マイホーム総額=4,144万円
積水ハウス:ザ・グラヴィス
- 本体工事:3,407万円(ザ・グラヴィス、2階建て34.03坪)
- 別途費用:365万円(地盤改良、屋外給排水、外構、他)
- 値引き :150万円
- 小計 :3,622万円(税抜き建築総単価=106.4万円/坪)
- 消費税 :362万円( 税込み建築総単価=117.1万円/坪)
- 諸費用 :160万円(推定)
- 総額 :4,144万円(総予算に対する単価=1221.77万円/坪)
本体工事には、水回り設備のグレードアップ、床暖房、2階床の無垢挽き板、太陽光発電システム関係が含まれています。建築総単価の106.44万円は、積水ハウスの平均売上単価に近いもので、延床面積も先に試算した数字となっています。
このユーザーは、合わせて土地も購入しているため、諸費用の融資手数料は住宅分として1/2で試算しました。
ユーザーC:マイホーム総額=4,002万円
積水ハウス:イズ・ロイエ
- 本体工事:3,354万円(イズ・ロイエ+E、38坪)
- 別途工事:320万円(地盤改良、屋外給排水)
- 値引き :109万円
- 小計 :3,565万円(税抜き建築総単価=93.8万円/坪)
- 消費税 :357万円(税込み建築総単価=103.2万円/坪)
- 諸費用 :80万円
- 総額 :4,002万円(総予算に対する単価=105.3万円/坪)
このユーザーの本体工事には、太陽光発電システム関係、照明器具、エアコン、そして通常の天井高を2.7mに変更する費用(180万円)が含まれています。延床面積が他のユーザー例よりも大きくなっていますが、なぜか外構費用が発生していないため、4,000万円で納まっています。
以上、ユーザーによって本体工事のグレードアップの内容は様々ですが、太陽光発電システムは必須のようですね。そして、消費税と諸費用を除いた建築工事費の坪当たり単価は、やはり100万円前後になるようです。それにしても、改めて消費税が大きいと感じます。
積水ハウスの注文住宅バリエーションと価格帯
掲載元:積水ハウス
マイホーム予算を組む上で、本体建築工事費にどれくらい必要かの判断材料に、積水ハウスの商品別の標準的な本体価格を紹介しておきましょう。
鉄骨構造
- 90万円〜/坪:イズ・ステージ
- 80〜90万円/坪:ビー・サイエ+e
- 70〜80万円/坪:イズ・ロイエ、ビーモード
- 70〜90万円/坪:平屋の季、ビエナ
木構造
- 100万円〜/坪:グラヴィス ステージ
- 80〜90万円/坪:グラヴィス ヴィラ、ザ・ヴィラ
- 70〜90万円/坪:グラヴィス ベルサ
- 70〜80万円/坪:里楽(平屋)、モデラーレ
- 80〜100万円/坪:マキシオ(3階建て)
積水ハウスの住宅商品は、概要やコンセプトは決められていますが、各仕上げや設備の仕様は、一つ一つを選んでいく邸別注文住宅を特徴としています。したがって、上記価格(税抜き)はあくまでも参考としてください。
まとめ
積水ハウスの注文住宅1戸当たりの本体工事費と別途工事費を合わせた総建築費の平均は4,265万円で、平均延床面積は40.85坪となっています。坪当たりでは104.4万円/坪となります。
積水ハウスの本体価格のボリュームゾーンは80万円台/坪ですから、10〜20万円/坪ほどの差額が出ています。これはあくまでも平均値ですが、これからマイホームを計画する上では参考になる数字です。
差額が出る理由は、各仕様のグレードアップや太陽光発電などの追加、そして地盤補強や屋外給排水などの別途工事が主なものです。
先に述べた104.4万円/坪は税抜きで、税込みでは114.8万円/坪となります。従って、積水ハウスの注文住宅を総予算4,000万円で建てるには、諸費用の100万円を除いた3,900万円/114.8万円で、約34坪ほどの延床面積が目安になります。
本記事では積水ハウスを参考にしましたが、住宅メーカーの本体坪単価と建築総予算の坪単価の差は、住宅メーカーにほぼ共通することです。ですから、マイホームの予算計画に際しては、本体の坪単価にプラス10〜20万円としておく方がいいでしょう。そして、消費税を忘れないようにしてくださいね。
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