2階建てなどの住宅とは異なり、平屋であると家自体のサイズを大きくしなければ、居住スペースを広く確保するのが難しいです。
そして、平屋でのデッドスペースとなりがちな屋根裏に中二階を設置すれば、その分だけ居住スペースを広めに取りやすくなります。
ただし、中二階のある平屋には、メリットだけでなくデメリットや注意点もあるため、実際の建築事例なども踏まえつつ、住宅プランを検討することが大切です。
そこでこちらのページでは、平屋に中二階を作るメリット・デメリット、注意点、建築事例をそれぞれご紹介していきます。
中二階とはどういうものか
中二階(ちゅうにかい)とは、「住宅に設ける本来の階の途中に床を設置して作った階」のことです。
平屋に中二階を設置する場合であると、「通常通りの2階建てにはしないが、通常の2階建てより低い位置に床を設置して、1階部分よりも上の階を作る」といったイメージになります。
平屋の住宅であると、居住スペースを増やしたい場合、基本的には建物自体を横に大きくする必要があります。
そのため、平屋は2階建て以上の住宅に比べて、居住スペースを広く確保するのが難しいケースが多いです。
平屋に中二階を設置し、中二階を居住スペースや収納空間などとして利用することで、居住スペースの確保が難しい平屋でも、居住スペースや収納空間を広く確保することが可能です。
平屋に中二階を設置するメリット
平屋に中二階を設置するメリットとして、以下のようなものがあげられます。
- 2階建ての階段よりも段差が低くて上り下りしやすい
- デッドスペースを有効活用できる
- 土地の面積を広げずに居住スペースを広くできる
- 階段部分を収納スペースにすることも可能
これらのメリットについて、1つずつ順番にご紹介していきます。
2階建ての階段よりも段数が少なくて上り下りしやすい
平屋に設置した中二階の場合、2階建ての2階部分に比べて長い階段にはなりません。
そのため、平屋に設置した中二階の方が、2階建ての2階部分に比べて階段の段数が少なくなり、階段を楽に上り下りしやすいです。
このことから、中二階を設置した平屋の方が、2階建て以上の住宅に比べ、足腰が弱くなりがちな高齢になってからでも快適に生活しやすいと言えるでしょう。
デッドスペースを有効活用できる
平屋に中二階を設置することで、1階部分から屋根裏までのデッドスペースを有効活用することが可能です。
中二階の設置によって使えるようになったスペースには、単純に収納スペースとして使うだけでなく、小さい子供用の子供部屋としても活用できます。
また、普通の2階と同じように、洋室や和室などの居住スペースを設けることも可能です。
2階建てなどに比べて、居住スペースを広く取るのが難しい平屋では、中二階の設置によるデッドスペースの有効活用は大きなメリットになるでしょう。
土地の面積を広げずに居住スペースを広くできる
平屋に中二階の設置した場合、中二階を設けないケースに比べて、同じ面積の土地でも居住スペースを広くすることが可能です。
そのため、あまり広くない土地に平屋を建てるなど、建物自体を大きくすることが難しい場合、限られたスペースの中で居住スペースを広くとれるのも、中二階の魅力だと言えます。
階段部分を収納スペースにすることも可能
中二階に向かう階段をリビングの内側に建てる場合などでは、中二階に上がる階段の下側を収納スペースとして使うことも可能です。
階段の下側はデッドスペースになりやすく、その部分を食品や日用品などをストックする場所として使えば、その分だけ居住スペースを広めに確保できます。
平屋に中二階を設置するデメリット
平屋に中二階を設置することには、メリットだけでなくデメリットもあるため、設置を検討する際には注意が必要です。
平屋に中二階を設置する際のデメリットとして、以下のものがあげられます。
- 建築費用が高くなる
- 固定資産税が高くなる
- 通常の平屋に比べてバリアフリーから遠ざかる
これらのデメリットについて、1つずつ順番に確認しておきましょう。
建築費用が高くなる
平屋に中二階を設置する場合、その分だけ材料費や施工の手間が増えます。
そのため、中二階を設置する分だけ、結果的に住宅本体を建てるのにかかる費用が高くなります。
このことから、中二階のある平屋の建築を検討する場合、その分だけ予算を多めに準備しておくことが大切です。
固定資産税が高くなる
平屋に中二階を設置した場合、設置しないケースに比べて床面積が広くなります。
そして、国に納める固定資産税は、床面積を家の資産価値と見なして計算するので、中二階のない平屋よりも固定資産税が増えることになります。
中二階のある平屋を建てようと考えている場合、毎年かかる固定資産税が増えてしまうことも考慮しながら検討するようにしましょう。
通常の平屋に比べてバリアフリーから遠ざかる
中二階を設置する平屋の場合、中二階を設けない通常の平屋とは異なり、住宅内に階段を設置することになります。
そのため、通常の平屋のように、「階段がないことで、高齢になっても階段の上り下りに悩まされずに済む」というわけにはいきません。
ただ、中二階の階段は2階建ての階段よりもかなり短く、わずか数段で上り下りができます。
このことから、「高齢になってからでも、中二階の階段くらいなら大丈夫」という場合には、階段をあまり気にせずに、中二階のある平屋を検討してみても良いでしょう。
平屋に中二階を設置する際の注意点
平屋に中二階を設置することには、メリットもデメリットもあります。
ただ、後悔・失敗をせずに、平屋に中二階を設置する際には、以下の2点に注意するべきです。
- 断熱や空調に配慮する
- 中二階の設計・施工に慣れている業者を選ぶ
平屋付きの中二階を建てる際に失敗・後悔しないため、これらの注意点について1つずつ確認しておきましょう。
断熱や空調に配慮する
室内の空気のうち、暖かい空気は上の方に行き、冷たい空気は下の方に行きます。
住宅内に中二階を設置する場合、たとえ中二階のスペースがそれほど大きくなかったとしても、中二階の断熱や空調には配慮するべきです。
その理由は、中二階の部分も考えて断熱・空調を整えないと、「夏場に中二階の部分に行くと、暑すぎてスペースが使いにくい」といった状況になる恐れがあるからです。
そうならないためには、「中二階の各部屋に通風用の窓を設置する」「中二階の空調に合った性能を備えたエアコンを中二階にする」といった対策をとる必要があります。
中二階の設計・施工に慣れている業者を選ぶ
中二階のある平屋の場合、中二階を設けない普通の平屋に比べ、間取りが複雑になります。
さらに、中二階がある平屋であると、中二階部分の空調・採光・プライバシーなどに細かく気を配って設計する必要があります。
これらのことから、中二階のある平屋を建築する場合には、「中二階のある平屋や住宅を建てた経験のある設計士・建築士」に依頼することが重要です。
また、依頼する建築会社を探す際にも、「中二階付きの平屋や住宅を建てた実績のある業者」を選ぶことが大切です。
そうすることで、自分や家族の希望を採り入れつつ、後悔や失敗のない中二階付きの平屋を建てることができます。
中二階のある平屋の建築事例
実際に中二階のある平屋を建てる際の参考イメージとしていただくため、こちらでは「中二階のある平屋の建築事例」を2件ご紹介します。
中二階のある平屋の建築プランを立てる際に役立てていただければ幸いです。
本体価格1,999万円中二階付き平屋:延床面積110.13㎡
出典:スーモ
出典:スーモ
本体価格帯 | 1,500万円~1,999万円 |
延床面積 | 110.13㎡ |
敷地面積 | 340.50㎡ |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2015年11月 |
商品名 | 遮熱の家 |
住宅本体の中央部分に、中二階を設置した平屋です。
住宅本体が長方形の形をしていて、屋根自体の形もシンプルな切妻屋根(きりづまやね:三角形の屋根)となっています。
これによって、材料費と施工の手間が抑えられ、1,999万円での建築が可能となっています。
なるべく費用を抑えつつ、中二階のある平屋を建てたい場合、こちらの平屋を参考にしてみてはいかがでしょうか。
本体価格1,999万円中二階付き平屋:延床面積110.13㎡の間取り
1階
出典:スーモ
中二階
出典:スーモ
中二階には和室と押入れが設けられており、来客時の客間などとして利用できます。
また、キッチンの天井は勾配天井(斜めの角度がついている天井)になっていて、空間に開放感を持たせています。
クローゼットを含む洋室が3部屋ありますので、3~4人家族で住むのにおすすめの中二階付き平屋です。
本体価格2,999万円中二階付き平屋:139.48㎡
出典:スーモ
出典:スーモ
本体価格帯 | 2,500万円~2,999万円 |
延床面積 | 139.48㎡ |
敷地面積 | 385.35㎡ |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2016年12月 |
濡れ縁(ぬれえん:雨戸の外側などに設置した縁側)が設けられた中二階付き平屋です。
窓の部分には、気密性と断熱性に優れる「トリプル断熱ガラス樹脂サッシ」が付いており、冬場でもほとんどエアコンに頼ることなく、快適に過ごすことができます。
住宅本体の建築・購入に2,999万円の予算をあてられる場合、こちらのように、機能性に優れている中二階付き平屋を建てることも可能です。
本体価格2,999万円中二階付き平屋:139.48㎡の間取り
1階
出典:スーモ
中二階
出典:スーモ
中二階の部分には、洋室、書斎、ロフト2つが設けられており、居住スペースと収納空間の両方を広く確保しています。
LDKの上部には、中二階に接する位置で吹き抜けが設けられ、非常に開放的になっているうえに、中二階にいる家族とコミュニケーションを取ることも可能です。
また、1階部分と中二階とで、収納スペースに接している洋室が合計3部屋ありますので、こちらも3~4人家族で過ごすのにおすすめの中二階付き平屋となっています。
まとめ
中二階付きの平屋を建てる場合には、「建物を大きくしなくても、居住スペースや収納空間を増やせる」「階段部分を収納場所に利用できる」といったメリットが得られます。
ただ、平屋に中二階を設ける場合、その分だけ建築費用と固定資産税が増えますので、予算や今後の納税負担のことまで考えたうえで、中二階の設置を検討するのが大切です。
そして、中二階付きの平屋を設置する場合には、中二階付き平屋の建築経験が多めの設計士や建設会社に依頼することで、後悔や失敗を避けつつ理想的な中二階付き平屋が建てられるようになります。
今回ご紹介した内容をぜひ参考にしていただき、便利で快適に過ごせる中二階付き平屋を計画していってください。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
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