同じ延床面積であれば、平屋住宅は2階建て住宅に比べて、平面的に拡がります。当然ですね。
一方、敷地100坪の広さは、住宅地としてかなり大きい方に入ります。ですから、一般的な延床面積(30〜40坪)の平屋住宅でも、敷地内に自由に配置することが可能です。
では、どのような配置が良いのでしょうか。また残った空地は、どのようにすれば良いのでしょうか。
本記事では、比較的めぐまれた広さの敷地100坪でも、どのようなところに注意しなければならないのか、外構を中心にして紹介していきます。
なお、地域によっては厳しい建築制限を設けている場合があります。合わせて、紹介しますので参考にしてください。
100坪の平屋は建ぺい率や容積率に注意する
100坪という大きな敷地で平屋住宅を建てる場合、「建ぺい率」「容積率」について知っておきましょう。
これは敷地に定められている法律で、敷地における建物の建築面積や建物の大きさを定めるものです。
100坪の大きな敷地があるといっても、必ずしも大きな家を建てられるわけではないのです。大きな敷地で家を建てる方は、この2つの法律のことを勉強しておきましょう。
建築制限:建ぺい率とは?
建ぺい率とは、都市計画法ならびに建築基準法で定められた建築制限の一つです。
建物を真上から見た時の投影面積(建築面積)と敷地面積との割合上限が決められているのです。
具体的には、建築面積/敷地面積を%で表したもので、住宅地としては、60%とされている地域が一般的です。
しかし、閑静な住宅地ではもっとも厳しい30%としている地域もあります。
仮に30%とするなら、敷地面積が100坪でも真上から見た面積が30坪の建物しか建てられないのです。
なお、建築面積で注意する点として、屋根付きのカーポートも建築面積に含まれると言うことです。
柱間隔や屋根の高さなどから、緩和されるケースもありますが、全く含まれないと言うことはありません。
カーポートの建築面積はわずかなものですが、わずかでも面積オーバーすれば、何らかの計画変更を求められますので、注意してください。
建築制限:容積率とは?
積率も、上記同様の法律で定められた建築制限の一つです。
各階の床面積合計(延床面積)と敷地面積との割合上限を示したもので、延床面積/敷地面積を%で表しています。
住宅地としては、150%や200%が一般的ですが、厳しい地域では50%や60%と言うところもあります。
なお、建ぺい率や容積率、そしてその他の建築制限も地域の行政で教えてもらえますので、事前に確認しておきましょう。
敷地が大きいからと油断して、後からプラン変更しなければならないのは避けたいですよね。
100坪は大きい!庭にこだわろう!
例えば、敷地100坪の土地に建築面積40坪の平屋を建てても、まだ60坪の空地ができます。あと1件くらいは十分に建てられる広さです。
では、残った広い空地をどのように利用すれば良いのでしょうか。
せっかくの大きい敷地ですから、その良さを活かして魅力的な外構とするアイディアを以下で紹介していきます。合わせて注意点も紹介しますので参考にしてください。
家の配置に注意する
敷地の広さが100坪であれば、どのようにでも建物を配置でき、よほどの悪条件が重らない限り、採光・通風は特に問題にはならないでしょう。
しかし、方位と全面道路の位置を無視することは出来ません。
その時に、キーポイントとなるのは玄関位置と前面道路からアプローチをどのように計画するかです。
なぜなら、玄関位置によって、居室のレイアウトが決まるからです。
また、アプローチはその家と外部をつなげる重要な役割を果たしており、オーナーの生活スタイルや個性が現れる場所でもあります。
前面道路の方位別に、建物や居室の配置例、そしてアプローチ例を以下で紹介していきます。
東玄関(反転して西玄関)
上図は、前面道路が東側の場合ですが、西側の場合は左右反転して活用できます。
東(西)玄関の場合では、リビングを含めて各居室を南側に配置しやすくなります。
前面道路側をどのような外構とするかにもよりますが、駐車スペースを道路側に配置することから、東(西)側もしくは南側に駐車用のスペースが必要になります。
その際、庭とカースペースとの境界部分の工夫が必要で、プライバシーや防犯を重要視する場合は、塀や柵が一般的です。
なお、境界部分をオープンにする場合でも、植木や花壇などで一定の区割りをしておく方がいいでしょう。
いずれの場合も、駐車スペースをコンクリートで覆うのではなく、芝生類も混じえた床とすることをおすすめします。
南玄関
南側道路では、必然的に駐車スペースやアプローチに敷地南側のかなりのスペースを取られてしまいます。
また、そのスペースがプライバシー的にオープンになるため、居室を配置しにくくなる面があります。
このように南側道路では、庭を含めて道路側の全面がオープンになってしまうことから、プライバシーと防犯には何らかの配慮が必要です。
出来るだけオープンな外構とする場合でも、敷地の前を行き交う人や車からの視線を遮るものが全くない状態はおすすめできません。
リビングや居室の中まで見られるのでは落ち着きませんよね。
塀などで全面をさえぎる必要はありませんが、植木や生け垣などで、垣間見える程度には視線をさえぎる必要があるでしょう。
北玄関
出典:https://www.misawa.co.jp/kodate/guide/hiraya/plan.php
一般的に、北向きの敷地は好まれません。
これは、南側隣地の建物で陽当りが悪くなることや、家相上で北向き玄関が悪いとされていることなどが影響したものです。
しかし、北玄関となることで、各居室を南側に配置しやすくなる良さがあります。
また、敷地の広さが100坪にもなると、南側に十分な広さの庭を設けることができるため、隣地建物の影も日差しをさえぎるほどではないでしょう。
むしろ、プライバシーを気にせずに、庭だけのまとまったスペースを確保できるメリットがあります。
駐車場はどうするのか
出典:http://sanpou.biz/site/一般住宅駐車場スタンプコンクリート
現在の戸建てで、駐車場のない住宅はありません。それだけでなく、2台駐車も標準になりつつあります。
ですから、広い敷地を活かして、できれば来客用にもう1台の駐車スペースが欲しいですね。
その場合、一時的な駐車ですから、アプローチ部分をまたぐような形でもかまいません。
来客者が、路上駐車や近隣の有料駐車場を利用しなければならないようでは、気軽に訪問することが次第に難しくなります。
おしゃれなエクステリア事例
広い敷地では、どのような外構も可能である反面、まとまりのない散漫な庭になる可能性があります。
ですから、希望する庭のイメージを持つと共に、シンボルとなる植木やエクステリアなどを上手に利用することが必要です。
おしゃれな外構の要となるシンボルや計画の参考例を紹介しますので参考にしてください。
参考例1:枕木を利用したアプローチ
出典:https://coniwa.net/2018/04/13/exterior-construction/
玄関アプローチに、枕木を利用する例は多く見かけますが、その中でも上の写真は、とても参考になる良い例です。
アプローチ床と門柱代わりの柱壁のデザインが上手ですね。また、柱壁に小さくつけた棚や飾り物にオーナーの人柄が感じられます。
なお、このアプローチ回りが、よりオシャレに見える要素には、植木の種類が多いことやレイアウトの工夫があります。これも、大いに参考になりますね。
それら以外に学べることは、門扉をつけなくても門柱を付けることで、無断で侵入することを抑制する効果があることです。
いずれにしても、この枕木の門柱が、シンボルとなってアプローチ回りの空間にまとまりを与えていると共に、とても優しい味わいを出しています。
参考例2:垣根のないオープンな庭
出典:https://harima-ie.com/constDetail.php?id=2435
上段の写真でも分かるように、近隣が2階建ての住宅地の中にある平屋住宅です。
特徴的なのは、道路より少し高くなっている境界部分をコンクリートやブロックで土留するのではなく、なだらかな傾斜をつけて芝生仕上げとしていることです。
また、柵も全面ではなく、一部のみとなっています。防犯上で問題はないかと心配かもしれませんね。
しかし、一部でも柵があることで、立ち入り禁止の意図は伝わります。また、ひと目の多い道路側ですから、オープンだからと簡単に立ち入れるものではありません。
それでも非常に開かれた庭だといえるでしょう。
ウッドデッキのテラスも道路側に向けられており、オーナーの来訪者を迎え入れる姿勢が見られます。
参考例3:中庭を重視した平屋住宅
出典:https://www.mokkotsu.com/contents/dream/nakaniwa/
中庭は厳密にはエクステリアには入りませんが、広い敷地であれば、そして平屋ならではの魅力的な中庭が可能になりますので紹介します。
上の写真でも分かるように、平屋の中庭では天空が近く、直射光や間接光を含めて終日明るいプライベート空間になります。
その中庭に向けて開放した居室を計画すれば、中庭で遊ぶ子供の姿だけでなく、家のどこにいても家族が見える住宅とすることができます。
敷地が100坪に建つ平屋の事例を紹介
都会なら、2・3件ほどが建つ100坪の敷地で、どのような平屋が建てられているのか、気になりますよね。
建物を含めて、どのような外構になっているのかを紹介します。
事例1:生活スタイルが感じられるオシャレな庭
詳細な情報はありませんが、建物や庭などから100坪前後の敷地だろうと推測します。
全体的におしゃれで、オーナーのイメージどおりに育て上げられた印象の平屋住宅と庭です。
外観と庭
住宅地として開発された地域の一角にある平屋で、新築後の数年が経過していると思われ、庭の緑化が進み完成された庭になっています。
境界フェンスは、軽微なもので視覚的には隣地の庭まで含めることができ、室内から見る庭は実際よりも広く感じられるでしょう。
庭のエクステリア
正面のエクステリアの門は、庭への出入り専用のもので、おしゃれなデザインです。
リビング前の木製格子やパラソルを含めて、全体に熟成された完成度と大人のオシャレ感のある庭になっています。
そして、それらを映し出している芝生の緑の効果が大きく、優しく穏やかな印象もあります。
LDK
出典:https://direct.misawa.co.jp/ziturei/owner1/index.html
床をフローリングとせず、カーペットとしているため、全体に優しい印象があります。全体に大人の雰囲気ですね。
庭の外構センスとよく合ったインテリアで、オーナーのこだわりを感じます。
事例2:10年先が楽しみな植木の庭
敷地面積 | 352.69㎡(106.68坪) |
延床面積 | 116.65㎡(35.28坪) |
間取り | 3LDK+納戸 |
少し急勾配の片流れ屋根のシンプルな外観の平屋住宅です。外構としては、石・タイルを中心に、要所要所に植木が配置されています。
植木は低木と中木が植えられていますが、まだ日にちが浅く、少し散漫な印象を受けます。
芝生類を併用していれば、早い段階で緑化が進み、ブラックとブラウンでデザインされた外観も映えるはずです。
完成後間もないころの写真のようですが、5年先10先には枝も葉も繁って本来の魅力的な庭になるでしょう。
LDKとウッドデッキ
奥にあるキッチンからリビングまでを一直線に開放した空間です。
リビング右側のマドは、主寝室の室内窓でコミュニケーションが図れるとともに、中庭を眺めることもできるようになっています。
無垢のフローリング、天井の自然木、そしてウッドデッキ(縁側)の張り方向を揃えているため、とても広く感じられますね。
玄関
約3帖大の玄関土間と2帖大のシューズクロークはゆったりしたものです。
なお、玄関ホールとシューズクロークの床の段差をなくしているところに、オーナーの希望・工夫が感じられます。
主寝室
出典:https://house.ocn.ne.jp/new-ikkodate/detail/90568924.html
主寝室のリビング側に設けられたカウンターで、書斎や休憩に使えそうですね。
室内窓は、個室で自分の時間を過ごす時も、家族に気配りできる配慮で、家族の絆を大事にしている様子が伺えます。
事例3:段々畑を利用したL字型の平屋住宅
敷地面積 | 478.88㎡(144.86坪) |
延床面積 | 121.46㎡(36.74坪) |
間取り | 夫婦+子供2人 |
この平屋住宅は、元々は段々畑だったところに建てたとのことで、田園の中に、一見すると住宅らしくない白い建物は良く目立つことでしょう。
延床面積は36.74坪ですが、それ以上の大きさに見えます。
写真で見えている2方向の外壁はL字型の2辺で、後ろには大きな庭があります。
広場のような庭
建物をL字型にして道路側に背を向け、反対側の庭に居室を全開放した平屋です。
それにしても、広い庭ですね。また、段々畑の高低差を利用した廊下状のウッドテラスなど、まるで保育園のようです。
畑の中に造られた住宅ですから、近所に子供の遊べる公園はないでしょう。ですから、二人の子供にはとても大事な広場だと思います。
友達も競って遊びにくるのではないでしょうか。
中央のシンボルツリーは、まだ小さいですが、子供の成長に合わせて大きくなり、やがては木陰をつくり子供たちにとって忘れられない庭になります。
そして、そこに両親の想いや願いが込められているように感じます。
とにかく、うらやましいくらいの庭です。
リビング
出典:https://www.sumailab.net/selectk/works/works4/
庭側に屋根のあるウッドデッキがあるため、居室内にダイレクトに日差しが入ることは少なく、真夏でも比較的涼しいことでしょう。
敷地100坪に建てる平屋と外構のコスト
平屋を新築する場合、建物コストは当然ですが、屋外の付帯工事や外構工事のコストにも注意しなければなりません。
ここで言う付帯工事とは、ガス・電気や給排水の屋外工事を指します。敷地が広いと、建物から屋外へ、そして道路に排水する配管経路が長くなり、コストが上がります。
また道路から引き込む給水管や電気・ガス(都市ガスの場合)も同様に長くなります。
外構工事においても、アプローチ、植栽、境界フェンス類などで標準的な広さの敷地よりもコストがかかります。
では、それらのコストをどのように抑えるか、業者選びについて紹介していきましょう。
外構工事が高い場合はハウスメーカーに依頼しない
ハウスメーカーに新築を依頼した時、多くは建物完成後の外構計画も提案してくれます。
しかし、ハウスメーカーは外構工事の専業者ではないため、近隣の外構業者に下請けに出します。
多くは、外構計画をハウスメーカーが行い、工事を下請けに出すのが一般的です。中には、外構設計までを下請けに出している場合もあります。
いずれの場合も、外構工事業者に直接発注するよりもハウスメーカーの経費が余分にかかり割高となります。
ですから、高いと思った時は、外構専業者をいくつか選び、建物の相見積りと同様に、価格と内容を比較・検討して業者を選ぶようにしてください。
ローコスト住宅メーカーに依頼する
新築する際には、外構工事費用も含めて総額を予測しておくようにしてください。そのためには、間取り計画と共に、外構も計画しておく必要があります。
そして予算が合わない時は、まずはローコスト住宅メーカーに依頼することを考えてください。
土地の購入価格では、多少の値交渉は可能でも大きな値引きは期待できません。しかし、住宅価格については、同じ延床面積や仕様でも住宅会社によって大きく異なります。
たとえば、ローコスト住宅メーカーであれば、外構工事費用を浮かせることも可能なほどです。
ですから予算が厳しい時は、ローコスト住宅メーカーを、そして外構専業者を選ぶことをおすすめします。
相見積もりをとり価格を比較する
地域の建設会社や工務店、ローコスト住宅メーカー、そして大手住宅メーカーと様々な住宅会社があります。
建設会社や工務店では、全ての業種ではありませんが、自社で大工さん等を社員として抱えています。
他方のハウスメーカーでは、職人を抱えることはしておらず、それぞれの業種に応じて下請けに出しているのです。
下請けに出せば出すほど、下請け業者と発注者の利益を含めた経費が重複し、コストアップの要因になります。
また、ハウスメーカーでは広告宣伝や研究費のコストがかかり、価格に反映されています。
これらのことから、同じ延床面積・仕様でありながら、住宅会社によっては上表のように大きく見積額が変わります。
上表では最高額と最低額では、1,400万円の差があり、その他の見積り額でも数百万円の差額になっています。外構の規模・内容にもよりますが、外構工事が出来る金額です。
ですから、新築に際しては、ローコスト住宅メーカーを含めて相見積りを取ることをおすすめします。
そして、見積内容の説明を受けて納得のいく業者選びとしてください。合わせて、外構工事は専業者に依頼することもおすすめします。
まとめ
広い敷地に平屋を建てる場合、建物以外の空地をどのような外構にするかで、建物の魅力も大きく変わってきます。
たとえば、100坪の土地に40坪の平屋を建て、あとは更地のままでは、住宅としては魅力が半減してしまいます。
広い庭は憧れですが、思いつくままに植栽などの外構を行うと、まとまりのない庭になる可能性があります。
従って、アプローチや庭などを計画する際には、どのような外構にするかのイメージを持っておくことが重要です。
そして、イメージに合わせて、ポイントとなるシンボルツリーやエクステリアを上手に利用してください。
なお、新築に際しては、相見積りを取ることが基本で、上手に比較検討すれば、外構費用を浮かせることも可能です。
しかし、新築工事や外構工事の相見積りを個人がそれぞれの業者から取るのは、大変な時間とエネルギーが必要になります。
それを解決するためには、インターネット上の一括資料請求サービスの活用がおすすめです。無料のサービスですから、気がねなく利用しましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料