一時期、平屋建ては子世代が自立・独立した親世代用として扱われるケースがほとんどでした。
しかし、最近は若い子育て世代にも支持されて、次第に増えてきています。
理由としては、個室を2階に設けると家族の孤立化が進みやすいためワンフロアでコミニュケーションを図りやすくしたい、と言うのがあるようです。
また、将来の高齢化を意識してバリアフリーの障害となる階段を無くしておきたいと言うのもあります。面白いのは、若い世代には、「平屋はオシャレ」と言うイメージもあるようです。
国交省の建築着工統計では、平成24年の平屋の割合が6.8%だったのに対して、平成29年には9.2%にまで増えています。
これは人工比率における高齢者の増加要因もありますが、30・40代の17%ほどが平屋を理想の住まいとしていることも影響しています。(住環境研究所のH28年統計資料)
本記事では、予算を2,000万円ほどとして、どのような平屋を建てられるのか、事例を挙げて検証してみましょう。
2,000万円の平屋:将来使わなくなる2階は不要
延床面積 | 103.09m2 |
---|---|
敷地面積 | 374.00m2 |
工法 | 木造軸組 (パナソニック耐震住宅工法テクノストラクチャー) |
竣工 | 2015年9月 |
将来2階は使わなくなる、との先見からこの住宅の施主は平屋にしたそうです。まさに、将来を見据えた選択ですね。
間取りや延床面積の規模は、標準的な家族数(夫婦+子供2人)が生活出来る範囲にあると思います。
ですから、子育て時代からシニア時代までの生活スタイルに対応可能な住宅といえるでしょう。
ウッドデッキはリビング・ダイニングに、右側は主寝室につながっています。ウッドデッキ上部の軒の出は深く、少々の雨の時でも使えそうです。
これらのウッドデッキの利用目的を、どのように想定されたかは判りませんが、可能ならもう少し大きくして、2つのウッドデッキを繋げたほうが、利用幅が広がりますよね。
まだ庭が整備がされていないようですが、植栽や芝生で緑化が進めば、広い敷地が魅力的になり、建物も映えるようになるでしょう。
内装・イメージ
小上がりの畳コーナーはLDKに対してフルオープンの位置と形状になっています。キッチン、和室、リビングのどこにいても家族の姿が見える工夫ですね。
写真では、視覚的な空間がとても広く感じます。
理由の一つに、視線を遮る柱や壁がないこと、そしてシーリングライトではなくダウンライトを採用し、天井をひとつの面で広く見せていることがあるでしょう。
いずれにしても、良く計画された空間です。
玄関土間の左側に日常的に使うシューズケース、そして右側に本格的なシューズクロークと、かなり収納を意識した玄関です。
玄関正面には、洗面・脱衣室の建具があり、キッチンへとつながっています。
また、縦格子の左奥にはトイレのドアがあり、縦格子はトイレの出入りの目隠しにもなっています。細かい気配りですね。
洗面・脱衣室
キッチンからダイレクトに洗面・脱衣(洗濯)室へと繋がる動線は、家事作業に優しいものです。
少し長めの洗面カウンターや収納家具と物入れは、作業の効率も上がりそうです。洗濯物をたたんだり整理したりする姿が想像できますね。
間取り図
出典:https://suumo.jp/chumon/koumuten/rn_053548/053548_0001_24/jitsurei/jc_0019/
キッチンから洗面脱衣室、そして玄関ホールからリビングへと動線がループしている使いやすい間取りです。
収納スペースは用途に合わせて適度に分散されていますので使いやすいです。
上でも述べたように、寝室前のウッドデッキをもっと前に出して、LD前のウッドデッキとつなげると、利用スタイルのバリエーションが格段に増えます。
事例2:購入総額2,000万円(土地含み)の高原住宅
大屋根の下に配置したガレージや広いウッドデッキなど、生活スタイルが想像できる魅力的な外観です。
ガレージ部分の屋根を支える柱に付いているクロスの筋交いは、構造耐力とデザイン性を兼ねたもので、上手なやり方ですね。
総額 | 2,000万円(土地+注文住宅) |
間取り | 2LDK(一室は小屋裏部屋) |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2015年9月 |
この住宅のオーナーは、「土地を含めて2,000万円で新築したい」との思いで探した結果、地域の建設会社を見つけ実現できたそうです。
延床面積は公表されていませんが、間取りから21坪ほどと推定できます。しかし、2LDKですからシニア夫婦にとっては不足のない広さです。
なお、次世代省エネ基準の断熱材や暖炉などのオプションを含めて予算内に収まっているとのことです。
間取り図
大屋根の下のガレージから、雨に濡れることなく玄関に入れる計画になっています。
決して広い間取りではありませんが、狭い印象はありません。
トイレと洗面・脱衣は1室になっており、スペースの削減だけでなく、車椅子でも利用が可能になる利点もあります。
リビング
屋根裏の構造材を隠すことなく、化粧で見せ、大きな吹抜け空間としています。
自然木を見せる大空間と壁際の暖炉、そしてリビング前のウッドデッキなど、まるで山小屋の雰囲気ですね。
洋室
出典:https://www.kajima-resort.com/try/
リビングに続く洋室で、普段は趣味室として使われているとのこと。リビング側の建具を開放すれば、子世代、あるいは孫が遊びにきても十分な広さでしょう。
無垢のフローリング床や壁・天井の自然木は経年で、より味わいのある雰囲気になりますから、ますます魅力は深まると思います。
事例3:家族で大空と中庭を楽しむ住宅
片流れ屋根を組み合わせ、ブラックの外壁に軒や玄関の木のブラウン色がきれいですね。
シンプルで幾何学的なデザインですが、自然の中でも違和感のないデザインだと思います。
本体価格 | 2,480万円(68.75万円/坪) |
延床面積 | 119.24m2(36.07坪) |
敷地面積 | 429.96m2(130.06坪) |
間取り | 4LDK |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2016年8月 |
家族がどこにいても「互いの気配が感じられる家にしたい」と言うのがオーナーの希望とのことです。
その結果として、コの字型に囲まれた中庭を中心とした平屋になっています。
リビング・ダイニング
リビングとダイニングの前には掃き出しの大きな窓があり、いずれも中庭に面しています。
左側に見える階段を登ると、リビングを見下ろせる3帖ほどの中2階があります。
中庭
これくらの広さの中庭になれば、子供も走り回ることができ、転んでも芝生ですから安心です。
また、仲間を呼んでの野外ホームパーティーの場所としても最高ですね。
間取り図
出典:https://suumo.jp/
延床面積36坪ほどですが、数値以上にゆったりとした4LDKが出来ているのは、階段・廊下が少ないことが影響しており、これも平屋の利点ですね。
キッチン左側の階段は中二階用で、下部は物入れ(蔵)になっています。全体がゆったりした間取りで、家事動線もよく考えられています。
なにより、家事をしながら中庭で遊ぶ子供にも気を配れるのがいいですね。
平屋2,000万円の返済シミュレーション
上で紹介したに事例3件は、いずれも魅力的な平屋で、予算2,000万円台で建てられる住宅です。
では、その支払いはどのようになるのでしょうか。以下でシミュレーションしてみます。参考にしてください。
借入額に対する返済例
借入額(万円) | 月々の返済 | 返済総額 |
1,500 | 38,937 | 16,353,686 |
2,000 | 51,917 | 21,804,939 |
2,500 | 64,896 | 27,256,252 |
3,000 | 77,875 | 32,707,560 |
※返済期間35年、ボーナス払いなし、変動金利0.5%、元利均等払いの場合
自己資金の有無にもよりますが、予算2,000万円台を目安とするなら、ローン借入時の諸費用等を含めても、上表の範囲に入るでしょう。
月々の返済額
仮に、ローン借入時の諸費用等を含めて総額を2,500万円とするなら、全額ローンとした場合でも、6.5万円/月ほどです。
頭金が貯まるまで待つという考え方も理解できますが、この返済金額であれば迷うことなく建てるべきですね。賃貸よりもはるかに安い額です。
なお、シニア層が借り入れで建てる場合は、長期の返済期間は非現実的でしょうから、適度に頭金を入れて返済期間を短くするようにしてください。
土地代が1,000万円かかった場合
出典:http://kk-imai.com/event/2018/06/woodbox.html
土地を購入して平屋を建てる場合で土地代が1,000万円の時、残りの1,000万円で平屋を建てられるのでしょうか。
延床面積や仕様にある程度の制限はありますが、ローコスト住宅なら建設費1,000万円で建つ平屋はあります。
ローコスト住宅の本体価格相場は、35〜45万円/坪です。仮に40万円/坪として延床面積を21坪とするなら840万円になります。
ですから、屋外のガス・電気や給排水などの付帯工事費を含めても建設費1,000万円は可能な金額でしょう。諦める必要はありません。
平屋の注文住宅の建設費を抑える秘訣
平屋住宅に限らず、注文住宅を安く建てるにはいくつかのポイントがあります。そのいくつかを以下から紹介していきます。
シンプルな間取り・形状にする
出典:https://www.ibaraki-heim.co.jp/
注文住宅の建設費を安く抑えるには、平面プランをシンプルにするということから始まります。
シンプルというのは、単に外形を四角にすることだけでなく、上図のように内部間仕切りの通りを揃えシンプルにするということも含まれます。
そうすることで、外壁面積が減るだけでなく、構造的にもシンプルになり構造部材も減ります。その上、シンプルな構造は耐力的にも有利になるのです。
設備のグレードを下げる
次が、設備機器に不要なオプション機能をつけないことです。現在の設備機器には、差別化を図るために色々なオプション機能が用意されています。
確かに、あれば便利あるいは便利そうなオプションですが、油断するとすぐに予算オーバーになってしまいます。
予算を抑えるためには、まず各住設備機器の基本性能を重視し、それ以外のオプションは出来るだけつけないようにしましょう。
相見積もりをして価格を比較する
予算を安く抑える最大のポイントは、相見積りをとることです。上の表でも分かるように、同じ建物・仕様でも見積り業者によっては、1,400万円もの差が出ることがあります。
意地悪な見方をすれば、2,100万円のローコスト住宅を3,500万円のハイクラスな価格で買わされる不幸もあるのです。
ただし、安ければ良いというものでもありません。
ですから、提出された各社の見積りを比較・検討し、説明を十分に受けて納得のいくハウスメーカーを選んでください。
無料一括資料請求サービスの活用がおすすめ
ハウスメーカーの資料集めや相見積りを、自身で行うのは大変な作業で時間もかかります。一括資料請求サービスは、そんな手間や時間を解決してくれる無料のサービスです。
忙しい方ほど、そしてハウスメーカーの知識が乏しい方ほど、まずは一括資料請求サービスの活用をおすすめします。
以下は実際に資料請求したものです。
資料請求を利用すればたくさんのハウスメーカーや工務店の中から業者を選べることができます。
その中で候補になるハウスメーカーを見つけ、相見積りを依頼するようにしてください。
たくさんの業者を比較すれば、きっとあなたに合う業者が見つかりますよ!
まとめ
平屋住宅は、シニア夫婦だけのものではありません。平屋住宅の使い易さや家族のコミニュケーションが図りやすいなどから、若い子育て世代にも見直され、増えてきています。
平屋住宅は同じ延床面積であれば、2階建てよりも坪単価が少し高めで、広めの土地も必要になります。
しかし、将来のリフォームや生活スタイルの変化に伴う改造も2階建てに比べて低コストで行うことができます。
つまり、長期的にはコストパフォーマンスの高い住宅なのです。
これから、新築を計画されている方は、平屋住宅も選択肢に入れてみることをおすすめします。
その際には、無料の一括資料請求サービスを活用することも合わせておすすめします。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料