住宅の基礎には、「ベタ基礎」「布基礎」の2種類が存在します。注文住宅を購入する際、このどちらの基礎がいいのか悩む方は多いです。それぞれメリットや特徴が異なるからです。
ただ、ハウスメーカーや工務店から説明を受けたとしても、素人目線ではベタ基礎と布基礎の違いはわかりにくいです。
そこで、本記事ではベタ基礎と布基礎の特徴や違いを紹介します。基礎は家が建ってから変えることは不可能です。ここでしっかり学び、あなたの理想の住宅基礎を選べるようになりましょう。
1.ベタ基礎とは
ベタ基礎とは、基礎の立ち上がり(建物を支えるところ)だけではなく、その内部一面が鉄筋コンクリート(鉄筋が中に入っているコンクリートのことで強い強度がある)で覆われているもののことです。
住宅の基礎の上には建物が建つため、その重さを全てこのコンクリートが支える必要があります。このとき、内部一面が鉄筋コンクリートになっているベタ基礎は、面で家の重みを支えることができます。
1-1.ベタ基礎の構造
このように、ベタ基礎は鉄筋コンクリートを立ち上がりだけではなく、一面を覆っている住宅基礎になります。このとき、どのような構造なのかといいますと、断面図は以下のようになります。
これから分かるように、ベタ基礎は鉄筋を中にいれる鉄筋コンクリートで立ち上がりと一面を覆うことで、強い強度になります。
とは言え、これだけの情報では、一面をコンクリートで覆うベタ基礎に、どのようなメリットがあるのか分からないのではないでしょうか。
そこで、以下からベタ基礎のメリットを紹介します。どのような特徴があるのかを学ぶましょう。
1-2.ベタ基礎のメリット
ベタ基礎は、住宅を支える部分以外に、地面一面を防湿シートと鉄筋コンクリートで覆います。そのため、いろいろなメリットを住宅にもたらします。
たとえば、以下のようなメリットがあります。
- 湿気を防止する
- シロアリ対策ができる
- 耐震性や強度に優れる
このように、ベタ基礎にすることで、建物にこれらの価値が加わります。
しかしながら、なぜ以上のようなメリットがあるのか分からない方が多いため、もう少し深く掘り下げて解説していきます。
1-2-1.湿気を防止する
前述で述べたように、ベタ基礎は防湿シートを覆った上で、さらにその上からコンクリートを施工する構造です。これにより、地面から上がってくる湿気が住宅に伝わることを防ぎます。
よって、カビの発生を防止したり熱気が伝わったりすることを防止できるのです。
1-2-2.シロアリ対策ができる
また、ベタ基礎は地面と住宅の間をコンクリートで覆うことができるため、シロアリの侵入を防ぐことができます。
ゴキブリやクモ、ムカデといった、シロアリ以外にも住宅に害を与える害虫は存在します。これらの被害から住宅を守るためには、地面からの侵入を防げるベタ基礎がお勧めです。
1-2-3.耐震性や強度に優れる
住宅基礎は、建物を支える部分になるため、これがしっかりしていないと家が傾いたり沈んだりしてしまいます。
ただ、ベタ基礎であれば面で家の重さを地面に伝えることができます。これを、面荷重といいます。そのため、地震などの大きな力が加わったとしても建物が傾きにくいのです。
ただし、地盤が頑丈な場合、必ずしもベタ基礎を行う必要はないため、後述する布基礎で施工するのも1つの方法です。地盤調査の上、適切な基礎を選ぶようにしてください。
1-3.ベタ基礎のデメリット
ここまでベタ基礎のメリットを紹介してきましたが、この住宅基礎にはデメリットも存在します。良い点だけではないため、メリットデメリットについてもを考慮した上で基礎を選ぶようにしましょう。
1-3-1.単価や値段が高額になる
ベタ基礎は、鉄筋コンクリートを地面一面に施工するため、布基礎に比べて「鉄筋」「生コンクリート」「人件費」がかかります。
たとえば、生コンクリートの場合、25坪の住宅の基礎を打設(生コンを打つこと)する場合、約20㎥のコンクリートを必要とします。
このとき、生コンクリート値段は、1㎥あたり2万円弱(地域ごと単価は異なる)になります。よって、生コンの料金の計算式は以下のようになります。
20㎥(必要な生コンの量) × 2万円(1㎥あたりの値段) = 40万円(必要な材料費)
これから分かるように、ベタ基礎を施工するだけでこれだけの生コンクリート代が必要です。さらに、鉄筋代や人件費が必要になるため、布基礎よりも値段は高額になります。
なお、以下がベタ基礎の施工中の様子です。
これから分かるように、ベタ基礎を施工するためにはそれ相応の労力が必要になります。住宅の基礎をこれで建設するのであれば、費用が高額になることを把握しておきましょう。
2.布基礎とは
ただ、それでは地中からの湿気が住宅に伝わってしまうため、防湿シートを敷いて防湿コンクリートを施工する方法があります。
もし、あなたが布基礎で住宅を建てるのであれば、必ず防湿シートと防湿コンクリートを行うようにしましょう。これだけで、湿気や防虫効果はある程度見込めるからです。
2-1.布基礎の構造
布基礎は、地面一面を鉄筋コンクリートで覆わない構造になります。どのような造りなのかをわかりやすくするため、以下の断面図を見てみましょう。
このように、布基礎は立ち上がりと呼ばれる住宅を支える部分だけが鉄筋コンクリートになります。そのため、防湿シートや防湿コンクリートを施工しなければ土が露出します。
布基礎を施工するのであれば、防湿シートやコンクリートを施工すると地面が露出するのを防ぐことができます。
ただ、このとき施工する防湿コンクリートは、中に鉄筋が入っていないです。また、厚みも5、6㎝程度になるため、ほとんど強度のないものになります。
なお、ベタ基礎は15㎝になり、なおかつ鉄筋が配筋されているため、ベタ基礎と布基礎では強度に大きな差が生まれます。
したがって、布基礎のコンクリートは、防湿シートを抑える程度の役割にすぎないのです。
2-2.布基礎のメリット
以上で布基礎の構造を述べましたが、布基礎には特有のメリットがあります。
しかしながら、布基礎にどのような特徴があるのか分からない方もいるため、以下からメリットを紹介します。
良い点や悪い点を学び、あなたの求める住宅の基礎を判断してください。そして、布基礎を選ぶ際の判断材料にしましょう。
2-2-1.費用やコストがかからない
先ほど述べたように、布基礎はベタ基礎とは異なり、一面を鉄筋コンクリートで覆いません。そのため、施工にかかる材料費などが必要ありません。
つまり、ベタ基礎のようにコストがかからないため、費用を抑えられます。住宅は、少しオプションを付けるだけで高額になりがちです。
そこまで基礎にこだわりがないのであれば、価格が安い布基礎を選ぶのも1つの方法です。
2-3.布基礎のデメリット
布基礎は、基礎の間を鉄筋コンクリートが覆わないため、ベタ基礎に比べて湿気を防止するなどの機能性が劣ります。以下から紹介することを踏まえた上で、この基礎を選ぶようにしてください。
2-3-1.湿気が伝わりやすい
ベタ基礎とは違い、布基礎は鉄筋コンクリートで覆わないため、湿気が住宅に伝わりやすいデメリットがあります。
ただ、防湿シートと防湿コンクリートを施工する方法があるため、これを行えば家に伝わる地中からの湿気を軽減することができます。
布基礎で施工しようと思っているのであれば、防湿シートや防湿コンクリートを施工するよう検討しましょう。
2-3-2.防湿コンクリートは耐久性がない
実は、防湿コンクリートを施工したとしても、これには鉄筋が配筋されていません。また、コンクリートの厚さもベタ基礎のおよそ1/3になります。そのため、耐震性や強度には全く関係ないです。
つまり、防湿シートを抑えるだけの役割でしかないのです。
新築の状態ならば問題ないかもしれませんが、数十年後もそのコンクリートが強度を保つことは難しいです。
十分な強度を用いていないため、地震などで簡単にクラック(ヒビ割れ)が発生してしまうからです。この隙間から湿気が住宅に伝わる可能性があるため、これらのリスクを踏まえた上で判断してください。
2-3-3.シロアリなどの害虫の危険性
布基礎の場合、防湿シートや防湿コンクリートで土の表面を覆わなければシロアリが家に侵入する危険性があります。
その他にも、シロアリ以外にムカデなどの害虫がいるため、これらが住宅内部に入る可能性があります。
ただ、地面を露出させない防湿シートやコンクリートを施工する場合は、シロアリ対策の薬剤を散布します。そのため、これを行えばシロアリによる被害を抑えることができます。
もし、あなたが布基礎によって住宅の建築を検討しているのであれば、防湿シートやコンクリート、害虫対策を行ってもらえるように依頼するようにしましょう。
3.ベタ基礎と布基礎の4つの比較
ここまで、ベタ基礎と布基礎について紹介してきました。住宅の基礎には、この2つがあるため、あなたの理想と合ったほうの住宅基礎を選ぶようにしましょう。
とはいえ、具体的にどのような違いがあるのか分からない方も多いと思います。そこで、この項では、ベタ基礎と布基礎の大まかな違いを簡単に比較します。
それぞれのメリットデメリットを比較して、あなたの求める条件に適した基礎を選んでください。
3-1.布基礎のほうが費用やコストがかからない
先ほども述べたように、布基礎はベタ基礎に比べてコンクリートを使用する面積が小さいです。その分の鉄筋や生コン、人件費などが必要ないため、コストを抑えられます。
3-2.ベタ基礎は耐久性や耐震性に優れる
ベタ基礎は、一面を鉄筋コンクリートで覆うため、耐久性や耐震性に優れます。地震などの揺れによって傾いたり歪んだりしにくいからです。
より頑丈な住宅にするのであれば、ベタ基礎を検討すると良いです。
3-2-1.ベタ基礎が絶対ではない
しかしながら、住宅を建てる地盤が頑丈な場合、必ずしもベタ基礎を行わなければいけないわけではありません。
布基礎であったとしても強度が保てると判断できた場合は、その基礎を採用して施工するからです。
そのため、むやみやたらにベタ基礎にすればいいわけではありません。値段が高くなるため、基礎を選ぶ際は、あなたの土地や家に適した施工方法を選択するようにこころがけましょう。
3-3.ベタ基礎は地面からの湿気が家に伝わらない
ベタ基礎は、一面を防湿シートで覆った後、鉄筋コンクリートで施工します。そのため、地面からの湿気が住宅に伝わりません。
一方、布基礎は防湿シートと防湿コンクリートによって覆います。
ただ、この防湿コンクリートは強度がほとんどないため、地震などで亀裂が入ります。そのため、そこから湿気が住宅に伝わる可能性があります。
3-4.シロアリ、防虫対策はどちらがいいのか
前述で述べたように、ベタ基礎は鉄筋コンクリートで一面を覆うため、完全に地面と住宅を遮断します。そのため、シロアリなどの害虫が家の中に入るのを防いでくれます。
一方、布基礎は防湿シートと防湿コンクリートで覆ってはいるものの、ベタ基礎に比べると強度は劣ります。
新築当初は問題ないかもしれませんが、年数を重ねると地震などの揺れによりクラック(ヒビ)が発生します。そのため、シロアリやムカデ、クモなどの害虫がそこから侵入する可能性があります。
布基礎は施工時にシロアリ対策の防虫剤を行いますが、その効果が数十年持つのかはわかりません。シロアリなどの害虫対策を徹底したいのであれば、ベタ基礎にするのをお勧めします。
ただし、ベタ基礎にしてもシロアリなどの害虫は外壁などからも侵入するため、完璧に防げるわけではありませんが、地面からの侵入は防げます。よって、防虫対策の効果は大きいです。
まとめ
ベタ基礎と布基礎には、それぞれメリットや特徴があります。注文住宅を建てる上で、どちらの基礎がいいのか迷っているのであれば、ここで紹介したことを踏まえた上で決めるようにしましょう。
大きく異なる点は、以下の4つです。
- 費用
- 強度
- 湿気
- 害虫
これらを比較して、あなたの求める基礎に当てはまる住宅基礎で家を建設しましょう。
ただ、基礎は建物を建ててから変更することは不可能なため、よく考えて基礎を選ぶようにしてください。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
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