一条工務店が2023年1月に発表した45周年記念商品「 ハグミー( HUGme )」が好評です。
期間&棟数限定の規格型住宅ですが、本体価格1,490万円(税別)からと驚きの価格で、坪単価にすると50万円台前半になります。ローコスト住宅メーカー並の価格設定ですね。
販売してまだ1年も経っていないため実際に入居している人は少ないと思いますが、ハグミーを建てたユーザー、あるいは現在進行中のユーザーの感想はどうなのでしょうか。
合わせて、ネット上の評判や口コミなども紹介しますので参考にしてください。
そもそもハグミーって何?
HUG me、直訳すれば、「 抱きしめて 」になりますが、子供なら「 抱っこして 」、友人同士なら、「 寄り添って 」という意味になります。
いずれにしても、家族や親しい仲間内でのハグが習慣になりつつある若い世代には、理解しやすいネーミングだと思います。
つまり、ハグミーは若い子育て世代をターゲットにした規格住宅商品ですね。
平屋建て・2階建てともに、3LDK+ウォークインクローゼットの間取りが中心で、標準的なライフスタイルや家族構成であれば、いずれも使いやすい間取りとなっています。
期間・棟数限定の厳選100プラン
ハグミーに設定されている100プランは、敷地が接している道路の方位で、東西向き・南向き・北向きの3種類にグループ分けされています。
東西向きで32プラン、南向きで34プラン、北向きで34プランとなっており、それぞれの方位に平屋プランも10件ほど含まれています。
規格住宅ですからプラン変更はできませんが、プランを反転することはできるようです。それでも、注文住宅のように、敷地を有効活用できる間取りを選ぶことは難しく、利用できるユーザーもかなり限定されるでしょう。
ハグミーの主な特徴
高性能で有名な一条工務店の既存住宅商品の中で、格安のハグミーにはどのような特徴があるのか、列記してみました。
本体坪単価50万円前半(税別)
本体販売価格1,490万円からとされていますが、実ユーザー情報によれば、延床面積29坪の平屋で本体価格1,555万円、坪単価にすれば53.62万円となっていました。
プランによって本体価格は変動するでしょうが、全般的には50万円前半/坪になっているようです
期間&棟数限定100プラン(2階:70プラン、平屋:30プラン)
上ですでに述べていますが、東西・南・北のグループに分類されており、施工面積では、30坪〜35坪が主流となっています。
なお、期間&棟数限定とされていますが、具体的な期間や棟数は公表されていません。推測ですが、45周年にあたる2023年中は継続されるのではないかと考えています。
ハグミーの耐震性能( 耐震性能:等級3超 )
一条工務店のキャッチフレーズの一つに「 住宅は性能 」があり、ハグミーにも標準以上の耐震性能が確保されています。
現在の品確法に定められている耐震性能レベルは、等級Ⅰ〜3までで、最高等級3は建築基準法レベルの1.5倍の耐震性能となっています。
しかし、一条工務店の耐震性能は社内基準で建築基準法の2倍としており、品確法の耐震等級3を上回るものです。
ハグミーの断熱性能( ZEH基準:地域区分3以南に適合 )
ハグミーの標準仕様での断熱性能は、他の上位グレードの住宅商品よりは劣ります。しかし、省エネ基準で設定されている地域区分3以南のZEH基準に適合する断熱性能を標準仕様としています。
外壁全面タイル
一条工務店の住宅商品には、メンテナンス・耐久性に優れた外壁タイルが採用されており、ハグミーの外壁にもタイルが採用されています。
規格住宅で、期間&棟数限定ではありますが、とても低価格商品とは思えない仕様ですね。
熱交換型全館換気システム(ロスガード90)
「 住宅は性能 」とする一条工務店では、ハグミーにも熱交換型の全館換気システムが標準仕様で採用されています。
ここにも、低価格商品でも基本性能は維持する同社のスタンスが現れています。
全館床暖房はオプション
一条工務店では全館床暖房も有名ですが、ハグミーではオプション扱いとなっており、導入する際のオプション費用は60万円前後になっています。
ユーザーや地域によっては、全館床暖房がオーバースペックとなる場合もありますから、オプション扱いの方が汎用性があると思います。
上記以外にも、打ち合わせ回数が少ないや水回り設備のスタイル・カラーの選択幅が少ないなどの問題もあり、ハグミーを選ぶ際には検討課題になるでしょう。
ハグミーを建てた人からの感想・評判・口コミ
冒頭で紹介したように、ハグミーは2023年1月からの販売開始ですから、実際に建てて住んでみた人の感想は、まだ見当たりません。ですから、見積り中あるいは工事進行中の実ユーザー情報を集めました。
ユーザーA:プランの選択肢が少ない
このユーザーの場合、100プランの中から方位や間取り、そして敷地に入るかどうかで検討したら、残ったのは2プランだけだった、とのことです。
これは、辛いですね。運良く希望している間取りであれば良いのですが、満足度が少ない中で敢えて選択すると妥協だらけのマイホームになってしまう恐れがありますからね。
また、少しのプラン変更もできないことにも触れていました。全体としてはいいけれど、ここに収納が欲しい、あるいは窓位置を少し変更したい、などを希望したが全てダメだったとのことです。
規格住宅であっても、せっかくのマイホームですから、できるだけ住みやすい・使いやすいと願うのは当然です。100プランの制限は、なかなか厳しいですね。
ユーザーB:欲しいオプションをつけても予算内に収まった
建物価格を抑えられるハウスメーカーを探して、ローコスト住宅メーカーと話を進めていたが、当初諦めていた一条工務店から低価格のハグミーが販売されると聞いて、同商品を選んだそうです。
ローコスト住宅メーカーにオプションなどの希望を入れた見積書をもらったが少しも安くなく、ハグミーの方が安くて性能がいいとの感想を述べられています。
なお、このユーザーのハグミーの完成は一年後とのことで、順番待ちのようです。やはり、好評なんですね。
ユーザーC:プラン変更できず、結局断った
このユーザーは、全面外壁タイルや住宅性能、そしてコストパフォーマンスの良さが気に入っていたが、少しのプラン変更もできないため、結局は断ったとのことです。
やはり、少しのプラン変更もできないのは、厳しいですね。それだけ、一条工務店はハグミーに自信があるのでしょう。
ユーザーD:デザインよりもコスパと性能を重視した
このユーザーは、外観デザインにはそれほどこだわりがなくて、使いやすい間取りと住宅性能がよく、コストパフォーマンスがよければいい、との判断で契約したそうです。
また、時間がないため決まったプランの中から選ぶ方がいいとも言われています。人によって判断基準が異なりますから、このような合理的な考え方があってもいいですね。
なお、このユーザーは、オプションで13kWの太陽光発電と蓄電池で230万円は安い、と評価されています。
太陽光発電パネルは瓦一体型の優れもので、自社のオリジナル製品だからこそできる価格設定でしょう。
その他のユーザーでは、一条工務店の定番商品のアイスマートに比べると断熱性能が悪い、あるいは選べる建売住宅などの評判・口コミもありました。
どのようなものにも一長一短があり、判断基準も様々です。他方で、実ユーザーや批判的な評判・口コミ者が共通して述べているのは、コストパフォーマンスの良さです。
ハグミーで後悔しないために:向いている人
すでに述べたように、コストパフォーマンスの高いハグミーですが、プラン変更できないことや水回り設備の選択肢が少ないなどのハンディーがあるために、ユーザーによっては向き不向きがあります。
ハグミーで後悔しないために、改めて整理してみましょう。
・敷地の縦横方向に十分な長さがある人
・100プランの中に希望するプランがある人
・住宅の基本性能とコスパを重視する人
・必要なオプションでカスタマイズしたい人
敷地の幅・奥行に十分な長さがある人
限定100プランには平屋もありますが、2階建ては全て総二階建てになっています。そして、平面的な外形は単一の四方形が中心です。
ですから、敷地によっては広さがあっても選んだプランが入らない場合があり、敷地の幅方向と奥行方向に相応の長さが必要になります。
つまり、敷地の十分な有効活用ができない、ということですね。
上のプランは東側道路の場合の一例で、仮に東側にアプローチや駐車スペースを設けると、東西方向に13〜14m、南北方向に10m前後の敷地が必要になります。
一般的には、土地にあわせて間取りを設計しますが、規格型住宅のハグミーでは選んだプランに合わせた敷地が必要になるんですね。
100プランの中に希望するプランがある人
ハグミーの最大の難点は、プラン変更できないことでしょう。他のハウスメーカーの規格住宅では、収納スペースの大きさや配置などで若干の変更ができるようですが、ハグミーでは一切の変更ができません。
コストを抑えるため、そして高性能な耐震性能や断熱性能を維持するための規格住宅100プランですから仕方ないのですが、かなりハードルが高いのは事実ですね。
住宅の基本性能とコストパフォーマンスを重視する人
外観にさほどのこだわりがなく、耐震性能や断熱性能などの基本性能を重視、そして高いコストパフォーマンスを求める人には向いています。
ハグミーに批判的な口コミの中でも、同商品の高性能とコストパフォーマンスの高さは共通して評価されています。
必要なオプション選びでカスタマイズできる
一条工務店の上位商品には、標準仕様の内容がオーバースペックとなるようなものがあります。
これは、一条工務店の「 モデル仕様が標準仕様 」によるものですが、ユーザーによっては不要なもの、あるいはオーバースペックとなる場合があるのです。
ハグミーには、住宅に必要な基本性能を標準仕様でしっかり抑えた上で、必要なものだけをオプションで追加して、規格住宅をカスタマイズする楽しさもあります。
まとめ
結局のところ、ハグミーの最大のメリットはコストパフォーマンスの良さで、最大のデメリットは一切のプラン変更ができないこと、ではないでしょうか。
しかし、ローコスト住宅メーカーに負けない低価格で、他メーカーならオプション扱いの外壁全面タイルや熱交換型の全館換気システム、そして耐震・断熱性能もハイクラス商品同様のコストパフォーマンスの高さは大きな魅力です。
一方で、それらのメリットを活かすためには、希望する間取りが100プランの中にあること、そして選んだプランが敷地に入ることが必要になります。
一長一短あるハグミーですが、そのメリット・デメリットを知って、条件に合いさえすればお得な買い物となるはずです。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料