あれば絶対に便利で生活スタイルのバリエーションも増えるのに、意外と少ないのが一般住宅の屋上です。
何故でしょうか。コストや構造的な問題、あるいはボックス形状になりやすい外観状の問題でしょうか。
本記事では、注文住宅で屋上を検討している方の、参考になるようなメリット・デメリットを紹介していきます。
屋上の魅力を知って、住宅にもっと屋上が採用されるような参考になれば幸いです。
注文住宅に屋上があるメリット
冒頭で、屋上があると生活スタイルのバリエーションが増えると述べました。以下に、そのバリエーションとメリットのいくつかを具体的に紹介してみましょう。
- 部屋が1つ増える
- 屋上でキャンプができる
- 屋上で洗濯物が干せる
- 子供やペットが遊べる
- 緑化でエコにできる
上の5つについて、以下から詳しく紹介します。
部屋が1つ増える
屋上は屋根のない部屋と言えます。または、アウトドアリビングとも言えるでしょう。
さらに数量的な損得で言い換えると、貴重な敷地の大半を住居部分に使用せざるを得ない状況で、失った敷地面積を屋上で取り返す手段でもあるのです。
これ以上の土地有効活用はないかもしれませんね。
建ぺい率(建築面積/敷地面積)や容積率(延床面積/敷地面積)に影響しない屋上のプラス1室を検討してみてはいかがでしょうか。
建ぺい率や容積率は国の都市計画法に基づいて、各地方行政がそれぞれに決める敷地面積に対する建築制限です。
上の図のように、面積の制限を受けるのは、建築面積と延床面積です。
ところが、屋上には屋根がありませんので、建築面積にも床面積にも当たりません。ですから、制限対象にならないのです。利用しない手はありませんよね。
屋上でキャンプができる
よほど大きな庭がない限り、スペースや人の目などが気になり、自宅の庭でキャンプをすると言うのは考えられませんよね。
しかし、屋上なら人の目を気にすることなく、楽しめます。
休日の天気の良い日には、星空の下での楽しい食事や天体観測、そして、あえて狭いテントで親子で眠るのも、楽しい思い出になるのではないでしょうか。
屋上で洗濯物が干せる
いつも洗濯物を屋上で干すのは大変かもしれません。
しかし、シーツなどの大きなものを干す時には、広い屋上が最適です。また、ひと目も気にせず、建物の美観を損ねることもなく、干せるのもいいところでしょう。
広々とした屋上で洗濯物を干せるのは、屋上のある方のメリットですよね。
子供やペットが遊べる
屋上は、屋根のない部屋です。つまり、安全でプライバシーを確保したアウトドアスペースなのです。
車の危険がなく、周囲に気遣いすることもなく、子供やペットを自由に遊ばせることができるのは魅力です。
子供の水遊びやリモコンカー、さらにはドッグランにと、居室では出来ない遊びにはピッタリですね。
ただし、落下防止のため、手すり付近には踏み台になるような椅子などは置かないようにしましょう。
家庭菜園・農園を楽しめる
屋上全面に土を入れて緑化することは可能ですが、重量やメンテナンスの面で一般的な住宅ではあまりおすすめできません。
ですから、屋上の一角に土を入れて、家庭菜園や芝生とするのが一般的でしょう。
屋上に作る家庭菜園には、日差しをさえぎるものがありませんから、地面の畑同様に実り豊かな菜園になります。
菜園の出来具合や食事に使う食材に話題が弾むのではないでしょうか。
ただし、不用意に土を入れ菜園や芝生にすると、流れ出る土によって排水口が詰まる恐れがあります。
また、根による防水層へのダメージが発生する可能性もあります。現在では技術開発が進み、防水層の上に土を入れるノウハウも用意されています。
ですから、屋上に土を入れる場合は、事前に専門家に相談して何らかの対策をした上ですすめましょう。
注文住宅に屋上があるデメリット
色々と魅力的なメリットのある屋上ですが、良いことばかりだけではありません。
以下に紹介するようなデメリットを最小限に、あるいは解決して、メリットを存分に生かすようにしましょう。
- 費用がかかる
- メンテナンスが必要
- プライバシーの問題
それでは、順番にご紹介していきます。
費用がかかる
単に、屋上を造るだけでしたら、それほどの費用増加にはなりません。一般的な三角屋根や瓦がなくなり、代わりに陸屋根と屋上手すり、そして階段が増えます。
また、屋上の仕上げや積載(せきさい:人や植木など)などの重量を考慮した構造とする必要があります。
いずれにしても、屋上を造るだけであれば、相殺でほぼ同額あるいは若干のコストアップで造れます。
一方、上で述べたように屋上はもう一つの部屋ですから、防水層の上に設けるデッキ類やアウトドア家具などが、コストアップになります。
また、それにともなう照明器具、電気コンセント、水栓、設備工事も必要になります。以上を考慮すると、やはり全体コストは上がります。
しかし、コストアップに対するパフォーマンスは高く、上に挙げたメリットに比べれば納得のいくものでしょう。可能であればおすすめです。
メンテナンスが必要
屋上は排水口が詰まれば、大きなプールになります。そして、プールにならないまでも、水はけが悪いと、雨漏りの原因になります。
屋上の排水口が詰まる要因には、枯れ葉や土・砂です。排水口に溜まった枯れ葉や土には苔などが生え、ますます排水しにくくなります。
したがって、排水口が詰まらないように、そしてメンテナンスしやすい構造としておく必要があります。
また、防水層の上にはデッキ類の保護層を設けるのが一般的ですが、保護層の下に水たまりができないような構造としておくことも重要です。
プライバシーの問題
一般的な住宅地であれば、周囲も同じような高さの建物ですから、屋上のプライバシーは、さほど問題にはなりません。
しかし、全面道路や隣地との位置関係、さらには近くにマンションなどの高い建物がある場合はプライバシーの確保も重要になります。
プライバシーのない屋上では、自由に安心して使えませんからね。
プライバシーを確保する方法としては、2階から屋上に上がる階段部分(塔屋)を外部の視線を遮りたい方向に配置することや、壁手すりの高さを利用する方法などがあります。
真似したい!お洒落な屋上活用事例
上で屋上のメリット・デメリットを紹介しましたが、実際にはどのように屋上が利用されているのでしょうか。
これから、屋上を検討されている方のために、具体的なサンプル例を紹介していきましょう。
ユーザーや立地条件によっては、それぞれのサンプル例をそのままでは採用できないかもしれません。その場合、それぞれにアレンジして計画してください。
- 屋上でハンモック
- 屋上で子供たちと遊ぶ
- 露天風呂
- ルーフトップで食事をする
- 藤棚
- 野菜を栽培する
- お酒を飲む
- バーベキューをする
- 屋上でキャンプ
では、上の9サンプルについて紹介してみましょう。
屋上でハンモック
出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/rooftop/index.html/
穏やかな日差しに中で、ハンモックに揺られて日光浴。とてもいいですよね。ぼんやり眺める青空もリラックス効果が絶大でしょう。
ただ、この屋上の格子状の手すりは、子犬を遊ばせる時などは危険です。また、プライバシー上も問題があり、写真ではカーテン状の目隠しが使用されています。
屋上は屋根がなく、もともと開放的なものですから、手すりをオープンな格子状とする必要はないのではないでしょうか。
特に、隣地が近接している場合は壁手すりの方がいいでしょう。
屋上で子供たちと遊ぶ
出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/rooftop/index.html/
この例では、床に人工芝を敷いています。人工芝は簡単で便利なものですが、水はけが悪くなる可能性もあります。
ですから、水はけに配慮したマットとセットになっているものを選びましょう。なお、人工芝には、転んでも安全な良さがあります。
上の写真ではテントを張っていますが、子供との遊びだけでなく、キャンプの楽しさやテントの張り方を知る機会にもなりますね。
露天風呂
出典:https://www.sylva.co.jp/gallery/visitor04.html
屋上に露天風呂を設け、ソファーやドリンクカウンターまで配置している例です。床は置敷き式のブロックデッキとなっています。
写真からは、周囲にプライバシーが気になるような建物がありませんから、最高のロケーションですね。
ルーフトップで食事をする
出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/rooftop/case4.html/
屋上での食事は利用例で多いものの一つです。家族での食事や知人を呼んでのホームパーティー、あるいは家事の合間のティータイムと活用の幅はたくさんあります。
そんな利用も準備や後片付けが大きな負担になっては、次第に利用しなくなるかもしれません。
ですから、日よけテントやテーブル・椅子なども片付けやメンテナンスしやすいものを選びましょう。
なお、塔屋の中に飲み物用の小型の冷蔵庫を置いておくと便利ですからおすすめです。
バリのリゾートをイメージ
出典:https://www.freedom.co.jp
ヤシの木の植木とウッドデッキ、そして置かれているソファーからアジアンテイストが感じられます。まるで、バリ島に行ったようですよね。
このようなオシャレな屋上は憧れます。
写真からは、住宅街の中のようですが、少し大きめの塔屋、東屋風の屋根のあるコーナー、そして並べられているヤシの木などでプライバシー確保には配慮されています。
それにしても、これくらいの広さになると屋上というよりも庭園のイメージになりますね。
野菜を栽培する
出典:https://marumohome.com/
写真上の右側手すり壁には半透明のアクリル板、左側にはプライバシーを重視した壁手すりと使い分けされています。
また、高さも一般的なものよりも高めになっていますので安全と共にプライバシーの問題もないでしょう。
食事やお茶を楽しむコーナー、ハンモックコーナー、そして芝生や家庭菜園を楽しむコーナーと使い分けされています。家庭菜園の近くには水やり用の水栓が見えます。
写真では、床置用の照明器具とコードが見えますが、できれば計画の段階で照明計画も含めておけば良かったですね。
お酒を飲む
出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/rooftop/case8.html/
少し高台にある住宅の屋上でしょうか。夜景が見事ですね。手すりは、視界を遮らないように壁手すり金属手すりとで工夫されています。
また、手すりの下側に付けられている照明器具もグッドアイデアで、夜景を楽しむのに最適な明るさです。この雰囲気は、まるでバーのようです。
これなどは、「お酒を飲みながら夜景を楽しむ」と言う具体的なイメージがなければ出来ないものでしょう。
ですから、屋上をどのように利用するか、具体的なイメージを持っておくことが重要ですね。
バーベキューをする
出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/rooftop/case4.html/
楽しいバーベキューも屋上でなら、ひと目を気にせず好きな時に行えます。
テーブルと椅子、そしてコンロ・グリルだけで行えるバーベキューはもっとも人気のある屋上の利用方法でしょう。
日差しが強い時には、写真のような簡易テントあるいはパラソルがあればベストです。
ただ、バーベキューでは床が油で汚れる可能性がありますので、バーベキューコーナーは拭きやすい洗いやすい仕上げにしましょう。写真の例では、タイル敷になっています。
屋上でキャンプ
出典:https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/lineup/rooftop/case4.html/
屋上さえあれば、大掛かりな装備がなくても、いつでもアウトドアを楽しめます。この屋上では、床が耐久性の高いタイル敷になっています。
一方、タイルは温かみがなく人工的なイメージもありますので、写真のように簡易的な人工芝を一部にでも使用するとイメージが変わります。
色合いも良くなり、見栄えが良くなるのでアクセントとしてこういった人工芝を置くのもおすすめです。このような敷くタイプであれば、安いので手軽にできますよね。
まとめ
一般的な住宅には、バルコニーやベランダが何らかの形でレイアウトされていますが、屋上のある住宅は稀です。
しかし、屋上にはバルコニーやベランダにはない大きな魅力があります。何と言っても、開放感とプライバシーを両立できるアウトリビングの魅力は最高です。
もっと屋上を採用する住宅が増えてもいいのではないでしょうか。
このように魅力のある屋上ですが、注意しなければならない点もあります。上で紹介した屋上のメリット・デメリットが、これから新築で屋上を検討されている方の参考になれば幸いです。
注文住宅を買うのであれば、納得のいく屋上を設置するようにしましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料