結婚や出産のタイミングで、実家を建て替えて住むという選択肢を取る人が増えています。
自分が結婚する前後は実家の築年数が古くなってくるタイミングと重なる場合が多く、建て替えなども検討しなければなりません。
当記事では実家を建て替える際に必要となる予算の目安、メリットや注意点などを詳しく解説します。
写真付きの事例紹介などもありますので、家族構成や状況などと照らし合わせて参考にしてみてください。
実家を建て替えるケース
実家を建て替える際の代表的なケースを3つ紹介します。実家が古くなってきてそろそろ検討を始めなければいけない人はぜひ参考にしてみてください。
両親がなくなって実家が空き家
実家の建て替で一番多いのは、両親が亡くなって住む人が居なくなるというケースです。
住む人が居なくなった家は老朽化が進んでしまいますし、放置すると不法滞在など犯罪の温床となるケースも少なくありません。
こうした空き家はどんどん増えているため、平成27年には「空家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」が施行され空き家の固定資産税が増税されました。
こうした背景もあり、実家を放置するよりも建て替えて土地を有効活用する方が増えています。
実家を建て替えて二世帯住宅にするのか
元々両親が住んでいた実家を二世帯住宅として建て替え、息子(娘)夫婦が引っ越してきて同居するというケースも多いです。
古くなった実家の建て替えと、若い世代の家2軒をまとめて建てられるので、予算を抑えられるのが大きなメリットです。
孫が生まれても両親に面倒を見てもらえて、育児がはかどるものうれしいポイントですね。
ただし、世代の違いによる生活習慣の違いには注意しないといけません。
二世帯住宅の場合は起床、就寝時間や食事の内容など、生活リズムの違いによる不満が発生しやすい傾向がありあます。
キッチンや玄関を2つ設けるなど、お互いに不満の出ないようなプラン作りが大切です。
二世帯住宅を検討する際は全員でよく話し合い、全員の要望を上手くまとめた家づくりが必要だと覚えておいてください。
両親が年を重ねて一緒に暮らしたい
高齢になった親世代が遠方にいると、何かあった時のサポートが遅れるなど心配が増えてくるものです。
二世帯住宅を建てて一緒に住めば、いつでも両親の様子が分かるので高齢になっても安心です。
様子を見に行く際の移動時間やコストも削減できるなどメリットは少なくありません。
両親が高齢に差し掛かっている方は、建て替えによる二世帯住宅化も視野に入れて検討するのがおすすめです。
実家を建て替える費用はいくら?
実家を建て替える際には、建築費用だけでなく様々な費用が必要となります。どのような項目の費用がどれくらい必要になるのか、1つずつチェックしていきましょう。
建て替えにかかる費用
建て替えの場合は土地代が必要ないのが大きなメリットですが、その分発生する付帯費用があります。
知らずに建物の予算だけで検討して後で慌てないように、どれくらいの費用が掛かるのか覚えておいてください。
解体費用:約1坪3~4万円
まずは既存建物の解体費用が必要となります。おおよその目安は1坪当たり3~4万円で、仮に30坪の家を解体すると90~120万円が必用となります。
ただし、この金額はあくまで目安で条件によってはもっと予算がかかることも少なくありません。
例えば前の道路が狭くて重機が搬入できないケースでは、工期がかかり予算も増えることになります。
また、建物の築年数が古い場合で、アスベストが使われている場合などは処理に予算がかかります。
正確な金額は見積を出してもらう必要がありますが、解体には100万円前後の予算がかかるとおぼえておいてください。
引っ越し費用約20万円
建て替えが終わり、実際に住み始める際にはそれまでの住居から引っ越しをする必要があります。
引っ越し費用は住宅の見積に入ってこないため、意外と見落としがちなポイントですから気をつけましょう。
距離、荷物などの条件にもよりますが、引っ越し費用の目安は約20万円です。
また、引っ越しに伴い家具や家電を買い替えることもありますから、予算は少し多めに見ておきましょう。
仮住まいが必要な場合の家賃
項目 | 費用 |
---|---|
仮住まい家賃 | 8万円 × 8カ月分 = 64万円 |
敷金 | 8万円 × 2カ月分 = 16万円 |
礼金 | 8万円 × 1カ月分 = 8万円 |
総額 | 88万円 |
現在住んでいる実家を建て直す場合は、解体の前に一度仮住まいに引っ越す必要があります。
一般的な注文住宅の工期である約8か月で仮住まい費用を算出すると、家賃8万円で総額88万円となります。
工期の長さや家賃などの諸条件によって費用は上下しますので、仮住まい費用は100万円前後かかると考えておきましょう。
土地がある場合の注文住宅の相場
地 域 | 建設費(万円) | 延床面積:㎡(坪) | 坪単価(万円) |
全 国 | 3,353.5 | 128.2(38.78) | 86.47 |
首都圏 | 3,627.0 | 127.0(38.41) | 94.42 |
近畿圏 | 3,408.1 | 126.9(38.38) | 88.79 |
東海圏 | 3,437.2 | 130.1(39.35) | 87.34 |
その他 | 3,193.0 | 128.5(38.87) | 82.14 |
フラット35利用者調査より引用
建て替えのような、土地の購入が必要ない場合に建てる注文住宅の相場を見てみましょう。
全国平均の建設費は約3,300万円で、建坪は約38坪となっています。土地購入とセットの注文住宅と比べるとより予算をかけている傾向があります。
坪単価の約86万円は大手ハウスメーカーの標準仕様より少し高めの水準で、土地取得費用が浮いた分建物のグレードをアップしている人が多いと言えるでしょう。
実家を建て替えた事例
実際に実家を建て替えた施工事例を、写真付きで紹介します。
古い実家の建て替え、二世帯住宅への建て替え、賃貸住宅への建て替えなど特徴のある事例を3つ紹介します。
ご自身の状況と照らし合わせて、参考にしてみてください。
築80年の実家を建て替えた事例
出典:http://hikariido.seesaa.net/article/101969825.html
築80年の長年親しんだ親が住む実家を思い切って建て替えた事例です。現代の建材を使いながら和風な雰囲気も感じるデザインが特徴的です。
白砂利を敷き詰めた中庭とも相まって、恒例の両親も戸惑うことなく住み始められそうですね。
極端な和風ではないため、周囲の住宅との兼ね合いも心配ありません。凹凸のないコンパクトな建物はメンテナンスの面から見ても手入れの手間と費用が少なく住みそうです。
実家を二世帯住宅に建て替えた事例
出典:https://www.maedahousing.co.jp
元々両親が住んでいた実家を二世帯住宅として建て替え、若夫婦が同居するパターンの事例です。
シンプルな外観ながら外壁を2色使いにすることで高級感もある、万人にマッチするデザインです。
3台分の駐車場には立派なカーポートがついていて、両親、若夫婦でそれぞれ車を使うのに不便がありません。
土地取得費用が浮いた分、設備や外構にも予算を回せるのは二世帯住宅の大きなメリットですね。
内観の親世代が住むスペースはアンティーク調の内装と家具でまとめられて、落ち着いて雰囲気となっています。
お互いの希望を実現するために、若夫婦が住むエリアとテイストを変えるのも一つの手です。
実家を賃貸住宅の建て替えた事例
出典:http://www.ichikawa-1515.com/article/15618396.html
実家を建て替えて2世帯分の賃貸住宅として貸し出すことにした事例です。
仕事などの都合で実家が遠方にある場合は、空き家にしておくよりこのように賃貸住宅にして貸し出すのも一つの手です。
空き家扱いで固定資産税が高くなることもありませんし、家賃収入も入ってくるので無駄がありません。
子供が大きくなって大学や就職で家を出る際に一部屋住まわせるなど、柔軟な使い方ができるのもメリットです。
遠方の実家が空き家になるときは、建て替えによる賃貸住宅への転用も検討してみてください。
実家を建て替えるメリット
実家をただ解体して空き地にするのではなく、建て替えして活用することには様々なメリットがあります。
実家の運用を判断する際は、これから紹介するメリットも含めてよく検討しましょう。
両親が心配だから安心できる
高齢になる両親が古い家に住んでいる場合、色々な心配があるものです。
バリアフリー環境ではない古い家では足腰が弱ってきたとき心配ですし、寒いお風呂への入浴による心臓発作の危険性などもあります。
建て替えによって最新式の設備や環境になれば、このような心配はありません。快適で安全な環境になれば、両親が遠方に居ても安心して見守ることができます。
実家を建て替えると土地代がかからない
エリアにもよりますが、新しく家を立てる際の土地取得費用は決して少なくありません。建て替えの際の諸費用は発生しますが、土地代が浮くのは大きなメリットだといえます。
浮いた予算を設備のグレードアップや外構など後回しになりがちな部分に投入すれば希望のプランを実現しやすいです。
ほかにも、総額の予算を抑えて住宅ローンの月々の返済額を減らすなど、さまざまな計画を立てやすくなるでしょう。
慣れている土地で生活できる
新しい土地に移り住むのは生活に刺激が出る反面、不安な点もあるものです。
周辺環境、ご近所付き合いなど、長年住んでいてよく分かっている土地で生活すれば最初から不安がありません。
子供の学校など、自分が通った母校ならどんな学校か把握できるのもメリットの一つです。通学路の危険な場所など、実体験をもとにアドバイスできるので心配もありません。
実家を建て替える際の注意点
メリットたくさんの実家の建て替えですが、検討する際に注意してほしいポイントがあります。知らずに決めてしまうと後悔することもありますので覚えておきましょう。
リフォームとどっちがお得か比較する
建て直しを考える際に比較検討しておきたいのはリフォームです。
建て直しに対するリフォームのメリットは、予算に合わせたプランを組みやすいという点です。
しかし、基本的に柱や基礎などの躯体を再利用するリフォームは、建て直しと比べて長くは持ちません。
補強工事によって新築同様の耐久性にすることもできますが、新築よりかえって高額になる場合もあります。
リフォームとの比較をする際は、費用だけでなくどのくらいの期間住むのかということも含めて検討しましょう。
必ず価格を比較して業者を選ぶ
建て直しを検討する際はハウスメーカーや工務店に見積を依頼することになりますが、何社か見積をとる相見積もりが基本です。
同じ様な希望を伝えて出てきた見積でも、数百万円の差額が発生することも多いです。
もちろん安ければそれでいいというわけではありませんが、どんなに素敵なプランでも予算オーバーでは意味がありません。
適正価格を見極めるという意味でも、必ず相見積もりを取りましょう。
相見積もりを取る際には、各社に希望を伝え忘れないように箇条書きなどで書き出しておき、予算についても明確な上限があるなら見積作成時に伝えるのが大切です。
見積を取り過ぎると時間がかかり混乱することもありますが、少なくとも3社以上は見積を取って比較検討しましょう。
解体もしてくれる業者に選ぶ
建て直しの際は既存建物の解体が必要となりますが、建設業の許可を受けた業者でないと解体することができません。
新築は行っているものの、解体は受け付けていないという業者もいますので注意しましょう。
自社で解体することができない業者の場合は、外部に発注することになるため中間マージンが発生します。
せっかく安い業者を見つけても、このような無駄が発生してしまうと意味がありません。
また、解体業者は自分で探すことになるケースもあります。この場合も解体を単品で発注するため単価が高くなる傾向がありますし、一般の方が業者を探すのは簡単ではありません。
建て直しする業者を探す際は、解体までまとめて行ってくれるかどうかも確認してみてください。
まとめ
メリットがたくさんある実家の建て替えは、新しく家を建てる案とあわせてぜひ検討していただきたい手段の一つです。
住宅購入費用の大部分を占める土地代が浮いて、予算を他に回せるというのは大きな魅力です。希望のプランを叶えやすくなりますので、積極的に検討していきましょう。
古くなったからといって放置しておくと、空き家として固定資産税が高くなる可能性もあります。
二世帯、親が住む、賃貸にするなど様々な用途が考えられますので、空き家にして放置するくらいなら運用してメリットを享受しましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料