住宅の基礎知識

注文住宅の打ち合わせ回数は?間取り・メーカーごとの打ち合わせのコツ

注文住宅打ち合わせ回数

注文住宅では、間取りや外観、そして仕様などを一から決めていきます。ですから、そのための打ち合わせ回数が、相当な数になるのは仕方がありません。

大手ハウスメーカーでは、延べ床面積別の参考プランやグレード別の基本仕様などを用意しているのが一般的です。

しかし、その場合でも希望する間取りや仕様とするためには、十数回にはなるでしょう。

では、注文住宅での打ち合わせにはどのようなものがあるのでしょうか。また、その内容はどのようなものでしょうか。

これから、注文住宅を計画されている方の参考になるよう、それらを紹介していきましょう。

注文住宅の打ち合わせに回数制限はない

注文住宅打ち合わせ

一般的に、注文住宅の打ち合わせ回数に制限はありません。ユーザーが望む住宅を実現するための打ち合わせに回数制限があっては、マイペースで進めることができません。

また、回数制限のせいで、変なところで妥協してしまってはつまりませんよね。

人によっては、50回以上打ち合わせする方もいらっしゃいます。納得するまで、打ち合わせしていいのです。

以下に、打ち合わせで注意する要点を紹介します。これから注文住宅を予定されている方は、参考にしてください。

大事なのは納得のいく注文住宅を建てること

一生涯に一度の注文住宅ですから、何よりも納得できることが重要ですね。敷地条件や予算などで、全てが思い通りに行く訳ではありませんが、少なくとも納得できる内容でなければなりません。

そのためには、納得いくまで打ち合わせを重ね、説明を受け、つまらないところで妥協しないことです。

以下から、もうすこし具体的に紹介していきましょう。

納得がいくまで打ち合わせをする

住宅の新築を考えている人は、雑誌やネットでそれなりに住宅の情報や知識を身につけているでしょう。

しかし、いざ専門家と打ち合わせを行っていくと、専門用語や理解しにくい内容が出てきます。また、ユーザーの要望が何故実現できないのかなど、疑問に感じることもあります。

疑問が出た時は、十分に納得できるまで説明を求めましょう。それに、答えられない専門家や担当者では、ユーザーが納得のいく注文住宅を建てることはできません。

傲慢(ごうまん)になってはいけませんが、遠慮することなく素直に質問することが重要なのです。

安易に妥協しない

冒頭で、注文住宅の打ち合わせ回数は、十数回にはなると述べました。注文住宅では相見積りが一般的ですから、数社分を合計すると数十回にもなり、延べ時間も長くなります。

ですから、ユーザーの負担が大きく疲れと慣れで、つい安易に妥協してしまうことがあるかもしれません。しかし、その場合、きっと後悔してしまいます。

後悔しないためには、できるだけ時間的な余裕を持って、マイペースで打ち合わせを行うようにしてください。時間がないために、あいまいな理解のままで進めてしまうのはやめましょう。

そのために打ち合わせ回数が増えても、やむを得ません。生涯に一度のことですからね。納得がいくまで打ち合わせするようにしましょう。

打ち合わせの流れ(契約前)

注文住宅の打ち合わせの流れ

出典:http://miyabi-con.jp/house.html

上の図は、建築相談から、契約直前までの打ち合わせの例のひとつです。

相見積りで競合する相手が最後まで残っている場合、最後の仕様打ち合わせまで、各社と打ち合わせしなければなりません。

ですから、その分打ち合わせ回数は増えますが、できるだけ安く満足のいく住宅を建てるためですから、ある程度は仕方がありませんね。

上の各打ち合わせを順を追って説明していきましょう。

資金計画と建築相談

この打ち合わせは、1・2回ですみます。

ただし、そのためには、少なくとも希望する間取りイメージや総予算の情報は用意しておくことが必要です。

できれば、雑誌やカタログなどから参考になるプランを用意しておくこと、そして銀行で返済能力などから予算額を確認しておくことをおすすめします。

何もかも白紙状態では、具体的な打ち合わせ内容に入るまでの時間が掛かるだけでなく、ハウスメーカーでもまともに対応してくれないことがあります。

敷地調査

建築相談で、希望する間取りや予算を告げると、ハウスメーカーは間取り提案するために敷地調査を行います。ですから、建築相談時には、敷地測量図も持参しておきましょう。

調査目的は、敷地の大きさ確認、土地の法的な制限内容、そして資材搬入などの道路条件や近隣情報などとなります。

これらの調査結果は、間取りに影響するだけでなく、運搬費などの経費に反映されます。なお、敷地調査では、特に立ち会う必要はありません。

間取り提案

ハウスメーカーが行った敷地調査、敷地測量図、そしてユーザーの希望する間取りイメージから、設計者は間取り提案を行います。

この間取り提案による打ち合わせは1回で終わることはなく、納得する間取りや外観とするには、少なくとも数回は必要でしょう。

仕様の確認

間取りと外観が決まれば、各仕上げや設備などの仕様を決めます。これも1回で終わることはなく、予算と相談しながら進めていきます。

一概には言えませんが、妥協する内容があるとすれば、この仕様決定の段階でしょう。ですから、ユーザーの望むものや譲れないものを明確にイメージしておくことをすすめます。

支払いシミュレーション

上の図にはありませんが、間取り・外観、そして仕様がきまれば、いよいよ見積りです。算出された見積り額から、支払いシミュレーションを含めて資金計画書が提示されます。

これが、返済可能であれば契約へと進みますが、オーバーするときには、仕様変更となります。また、大きくオーバーする時には間取りや外観の打ち合わせへと戻ります。

打ち合わせの流れ(契約〜着工前)

打ち合わせ流れ着工

出典:http://miyabi-con.jp/house.html

次に、契約から着工前までの打ち合わせ内容と流れを紹介していきます。

請負契約、図面決定(承認)

提案プランや見積額に納得すれば、いよいよ契約です。なお、契約に際しては提案プランに基づいて作成された図面の承認が必要となります。

承認図面には、配置図、平面図、立面図、仕様書が最低限ですが、注文住宅では、矩計図(かなばかりず:断面詳細図)や断面図、さらに設備図が含まれるのが一般的です。

決定・承認された図面類は契約書に添付され、ユーザーとハウスメーカーの間で請負契約を結びます。

建築確認申請

請負契約したからと言ってもすぐには着工できません。着工するためには、建築基準法の建築確認申請を行わなければならないのです。

建設地の管轄(かんかつ)行政に提出する申請図書の作製と確認通知書の受領には1ヶ月ほどかかります。

また、住宅性能表示制度や長期優良住宅などを利用する場合は、2ヶ月ほどの期間が必要になります。

着工前打ち合わせ

着工前の打ち合わせには、着工日と共に近隣挨拶や地鎮祭の有無確認などがあります。

地鎮祭を行う場合は、日程や規模(参加人員)、そしてどのように準備するかを確認しておきましょう。

また、近隣挨拶の範囲やハウスメーカーの同行の有無なども確認しておくことをすすめます。

注文住宅の打ち合わせのコツ

上で紹介したように、納得のいく注文住宅を建てるためには、相応の時間とエネルギーが必要になります。

せっかくの新築を後悔しないためには必要なものですが、できるだけ負担を増やさない・減らすコツには以下のようなものがあります。

打ち合わせのコツ
  • 希望の間取りが伝わるサンプルプランを用意する
  • 建築予算額を決めておく
  • 担当や設計士の提案を聞く
  • 実際に住むことをイメージする
  • メンテナンスのことも考える
  • 一生に一度の買い物なので妥協しないようにする

では、それぞれのコツを具体的に紹介していきましょう。参考にしてください。

希望の間取りが伝わるサンプルプランを用意する

上の建築相談の項でも、参考となるプランを用意しておくこと、と説明しました。その選択に際しての参考となる情報を紹介します。

国の一般型誘導居住面積水準(推奨する延床面積)では、25.0㎡×家族数+25.0㎡となっています。これから4人家族では、推奨延床面積は125.0㎡となります。

一方、国の新築着工統計(2017年度)では、持ち家一戸建て(注文住宅)の全国平均は120.7㎡となっています。

これらから、標準家族(夫婦と子供2人)では、120㎡〜125㎡が一つの目安となるでしょう。

ただし、上の数値は家族数だけを元にした参考の延床面積です。

例えば、両親や友人が遊びに来た時、あるいは簡単なホームパーティーをしたい時などはどうでしょうか。

つまり、間取り計画する時には、両親や友人などが訪れてきた時のことも考慮して、少しは余裕をもって計画しましょう。

具体的には、ダイニング・リビングは余裕をもった広さとしておくことをすすめます。ギリギリでは後悔します。

上の目安となる延床面積や生活スタイルを元に、雑誌やカタログなどから参考となる間取り、あるいはイメージ写真などを用意しましょう。

建築予算額を決めておく

建設費の予算

出典:https://www.leohouse.jp

建築相談や設計担当者と打ち合わせする時には、建築予算を伝えているはずです。

しかし、提案されたプランは概ね予算オーバーになっているものです。ハウスメーカーや提案者はできるだけいいものを、と考えますからある程度は仕方のないことです。

まず、相見積りの段階であれば、各社に改めて建築予算額を伝え、再見積りをお願いしてください。その中で、納得できる見積額と提案プランを選ぶようにしましょう。

選んだハウスメーカーとは詳細な打ち合わせへと進みますが、プランの詳細を決めて行く中でも、やはり予算オーバーになる場合があります。

この場合には、値交渉も含めて仕様変更が基本です。安易な間取り変更はするべきではありません。大きな間取り変更まで必要な場合は、一からやり直しになります。

担当や設計士の提案を聞く

建築相談時には、担当者がハウスメーカーの特徴を説明してくれます。また、希望する間取りなどを伝えた後には、担当者の提案プランの説明も行われます。

いずれの場合も、まずは各説明をしっかり聞くようにしましょう。ハウスメーカーの特徴を知り、設計担当者の力量やユーザーとの相性などを知ることは必要です。

その上で、疑問に感じたことは質問し、説明を受けるようにしてください。

時には、希望する間取りを提示したにも関わらず、希望どおりになっていない場合もあります。

そんな時も、なぜ希望どおりにならないのか、また提案プランの意図(メリット・デメリット)を確認するようにしてください。考えてもいなかった魅力的な生活提案があるかもしれません。

いずれにしても、間取りは住宅の基本ですから、納得できない場合は再度のプラン提案をお願いすることになります。間取りでの妥協は最小限にしましょう。

実際に住むことをイメージする

建築相談や設計担当者に希望する家の間取りやイメージを伝えている段階では、まだ具体的な生活シミュレーションは出来ていないかもしれません。

しかし、ハウスメーカーからの提案プランが出されたら、具体的に日常生活をイメージしてシミュレーションしてみてください。

まず、最初に家具のレイアウトを図面上に書いてください。予定している家具や家電製品が適切にレイアウトできるか、電気コンセントの位置は大丈夫か、などを確認しましょう。

次に、朝起きてから寝るまでの家族の動き、家事作業の動線をシミュレーションしてみてください。

その中で、必要なところに収納スペースがあるか、動線で家族同士がぶつかり合うことはないか、などの確認も必要です。更に、平日と休日とでそれぞれに行うことをすすめます。

図面を元に、実生活をシミュレーションしてみることで、完成してから気がつく問題点のかなりの部分が解決できます。

次に、イメージシミュレーションでも比較的気づきにくい点をいくつか紹介してみます。参考にしてください。

実際に住むと狭いことがある、玄関、階段、廊下

図A(6.21㎡)
打ち合わせ事例
図B(6.62㎡)
打ち合わせ事例

出典:http://sumai.panasonic.jp/sumu2/basic/vol3/index.html

玄関で重視する点は、奥行きよりも間口です。いくら、奥行きがあっても、間口が狭く両側に壁が迫っていては圧迫感があります。

上の図Aの面積(6.21㎡)よりも図Bの面積(6.62㎡)の方が大きいのですが、使用感としては、図Aの方が広く感じるでしょう。

図C
打ち合わせ事例

出典:https://ameblo.jp/cobalt-g/entry-12355418312.html

図D

打ち合わせ事例出典:https://roomclip.jp/tag/306759×494485

狭くなりがちな階段で、重要なのは明るさです。上の図Cでは視線の先に窓がありますが、
まだ不足します。できるなら、右側の壁を図Dのような手すり子にしておいた方が広く感じます。

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日本の住宅設計では、モジュール(基準寸法)設計されている場合が大半で、階段幅も1モジュール幅(91cm)とされているのがほとんどです。

しかし、壁芯間91cmで作られた階段の実質的な幅は78cmほどで、手すりを付けた場合は70cm前後になってしまします。

ですから、視覚的に広がりを感じさせるような工夫が必要なのです。

メンテナンスのことも考える

打ち合わせ事例

出典:https://www.freedom.co.jp

新築時には何もかもが新品できれいなものも、生活していく中で次第に汚れていきます。ある意味では仕方のないことでしょう。また、屋根や外壁などは経年で劣化していきます。

内装に関しては、生活スタイルも考慮してある程度はメンテナンス(清掃)しやすいものを選ぶようにしましょう。

例えば、無垢の床材は温かみがあって魅力的ですが、まったくの無塗装のものではシミやキズが付きやすくなります。

屋根材や外装材の耐久性は年々向上していますが、10〜15年ほどでリフォームやメンテナンスが必要になります。場合によっては、新築後の数年で雨漏りすることもあるのです。

ですから、日常のメンテナンス性とアフターメンテナンスの内容や期間に注意して、仕様選択とハウスメーカー選びすることが大事です。

一生に一度の買い物なので妥協しないようにする

最後に、一生に一度の高額な買い物ですから、できる限り妥協しない注文住宅とすることが最も大事なことです。

つまらない妥協は、きっと後悔します。一方、その時は良いと思ったものも実際には使い道がなかったり、ほとんど使うことのないものを付けたりした時も後悔してしまいます。

例えば、2階に欲しかったトイレも予算の都合で諦めた。

あるいは、浴室に最新のミストシャワーやテレビ・オーディオを付けたが、ほとんど使うことがなく無駄だった、と言うのは良く聞く話です。

生活スタイルによって価値観は異なりますが、上の2つの例を比較した場合、明らかに2階トイレの方が実用的でコストパフォーマンスが高いものです。

つまらない妥協で後悔しないためには、家族の生活スタイルを見直し、本当に必要なものは何かを再確認しておくようにしましょう。

本当に、必要なものは妥協するべきではありません。

まとめ

間取り設計から仕様まで、一から作り上げる注文住宅の各種の打ち合わせは、少なくとも十数回になります。そして、それらには相応の時間とエネルギーが必要になります。

それらの打ち合わせは、それぞれに重要なもので、安易に聞き流したり妥協したりすると、後悔することになります。

このユーザーに相応の負担となる打ち合わせを、合理的に行うためにはコツがあります。また、注意点もいくつかあります。

本記事で紹介した打ち合わせに関するコツや注意点が、これから注文住宅を予定されている方の参考になれば幸いです。

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