新しく土地を購入し新築する場合、あるいは建て替えで新築する場合、いずれの場合も着工前に行う神事を地鎮祭(じちんさい)といいます。そして、棟が上がった時に行うのが上棟式(じょうとうしき:棟上げ式とも言う)です。
可能であれば、いずれも行うのが良いのですが、その必要性や費用で悩むことがあります。
たとえば、以下のような悩みを抱える方もいるのではないでしょうか。
- いくらぐらいかかるのか
- 何が必要なのか
- 費用や相場
そこで、地鎮祭と上棟式の費用について説明します。これから地鎮祭を行う予定の方は、費用や相場を把握しておきましょう。
初穂料・玉串料:3~5万円
結論から言うと、個人住宅の地鎮祭の初穂料(はつほりょう)・玉串料(たまぐしりょう)は、ともに3〜5万円が相場です。なお、初穂料・玉串料は、いずれも神様へのお供えものに代える謝礼金とされています。
神社によっては、お供えものまで用意してくれるところと、そうでないところがあります。そのため、それによって金額を決めるといいでしょう。
では、初穂料や玉串料とは具体的にどのようなものなのでしょうか。それらに違いはあるのでしょうか。以下に説明していきます。
初穂料
初穂料とは、神道の祈寿や祭事の時に神社へお渡しする謝礼金のことです。神前結婚、七五三、地鎮祭、安全祈願などの時に初穂料として納めます。
もともとは、字の通り、秋の収穫に先立って神様に稲穂を献じていましたが、貨幣社会になってからも初穂の名称が使用されています。
玉串料
玉串とは、榊(さかき)の枝に紙垂(しで)をつけたもので、米、魚、野菜などの神様のお食事物(神饌:しんせん)と合わせて、神様に供えられます。
これらのお供え物の代わりのお金を「玉串料」と呼んでいます。なお、参考知識として玉は魂のこと、そして、串とは捧げる道具のことです。これを知ると、「なるほど」と思いますよね。
初穂料と玉串料のどちらがいい?
地鎮祭に際して、熨斗袋(のしぶくろ)に書く名称は、初穂料あるいは玉串料のどちらでもかまいません。
上で述べたように初穂には初物の意味あいがあり、祈寿や祈願などの祭事に対する謝礼金です。ですが、お葬式には不向きです。
一方、玉串は神社で行われる神事全般に使われるため、祈寿や祈願、そして、お葬式にも使われます。
では、「地鎮祭ではどちらが良いのか?」と疑問に思うかもしれません。決まりはありませんが、選ぶとすれば初穂料にしましょう。
神事に使用する資材のレンタル料・設営料:約3万円
地鎮祭に使用する資材用品には、祭壇、三宝、玉串案などがあります。この他には、斎竹(いみだけ)やしめ縄などがありますが、これらは一般的に施工業者側で用意してくれます。
個人住宅で行う地鎮祭では、上に挙げた道具が一般的です。
ただ、会社で行う場合などでは、紅白幕や鍬入れ(くわいれ)の儀に使う鍬や鎌も必要になります。この場合、円錐形の斎砂(いみすな)も準備しなければなりません。
斎砂(いみすな)
出典:株式会社田久保建設
個人の方が、地鎮祭に使用する用具を自ら用意することはまずありません。一般的には、それらの用具は神社側で用意してくれます。仮にレンタルしたとしても、組み立ても含めて3万円前後です。
なお、斎竹やしめなわは施工業者の担当となりますが、無償の場合もありますので事前に相談しておきましょう。
供え代金:2万円
出典:風通しの良い家
お供え物には、清酒、洗米、塩、海の幸(魚、昆布、スルメなど)、山の幸(季節の果物)、そして野菜(地上にできるもの、地下にできるものの両方)などがあります。
これらは、祈願者自らが用意してお供えするものですが、神社側で用意してくれる場合もあるため、事前に神社側と相談しておきましょう。
お供え物にどのようなものを用意するかは、季節あるいは神社や地域によって異なるため、一概には言えませんが、5,000円前後です。
そして、神社側でお供えものまで用意してもらう時は、神主さんのお車代も含めて2万円ほどを予定しておくと安心です。
直会(なおらい)お弁当代:1食あたり約2,000円
正式な神事では、事後に直会(なおらい:簡単な食事)を行いますが、現在では一般的な住宅規模では省略しているのがほとんどです。
直会は、お供え物を参列者がいただき、穢(けがれ)を払い神様の加護を得るものです。そして、地鎮祭の場合は、施主が工事の安全を願い、工事にたずさわる人たちへの挨拶の場でもあります。
直会を行う意味はあるのかと気になる方も多く見られます。実際、個人住宅の場合には、地鎮祭以外にも顔を会わせる機会があり、省略されているのが実情です。
なお、会社などで直会を行う場合もお弁当で済ませる場合が多く、費用的には1食あたり2,000円を目安にしてください。
地鎮祭の総額は:10万円前後
結局のところ、個人住宅の地鎮祭にかかる費用は、総額で10万円前後です。
- 初穂料・玉串料:3~5万円
- 事に使用する資材のレンタル料・設営料:約3万円
- 供え代金:2万円
これらの費用がかかります。また、これらに加えて以上で説明した直会(なおらい)お弁当代などがかかります。
最低限10万円はかかるので、地鎮祭を行う際はこれくらいの費用がかかることを覚えておきましょう。
上棟式を行う場合の費用:10~20万円
出典:一条建設
現在の個人住宅では、地鎮祭や上棟式(棟上げ式とも言う)のいずれかを行うのが一般的です。何らかの都合で地鎮祭が行えなかった場合には、上棟式を行うのがおすすめです。
上棟式にかかる、初穂料(玉串料)の費用は地鎮祭と同様ですが、上棟式ではご祝儀や直会があり、地域によっては餅投げなどを行う場合もあります。
その場合、地鎮祭より高めで10〜20万円くらいが相場になります。
出典:一条建設
ただし、大げさに考える必要はありません。最近は神主に依頼する上棟式ではなく、施主と現場担当者や職人だけの簡単な行事ですませる場合も増えてきています。
お金もかかりますので、無理にする必要はありません。担当の営業マンか監督さんに相談してみましょう。
職人さんへのご祝儀
出典:バイクに乗る人悪い人?!
上棟式は、家の棟が上がった時に行うものです。立ち会える職人さんは、大工工事関係者だけで、あとは営業担当者と監督さんになります。
ご祝儀の金額に決まりはなく、身の丈に合ったものでかまいません。相場的には、棟梁(とうりょう:大工で一番偉い人)が2〜3万円、現場監督さんが1〜2万円となり、その他職人で5千円です。
つまり、以下の順番になります。
棟梁 (とうりょう)> 現場監督 > 一般職人
この順番で値段が変わってくるので覚えておきましょう。
神饌物(しんせんもの:お供え物)の費用:1~2万円
お供えの神饌物は地鎮祭と同様で、費用的には1〜2万円でいいでしょう。
費用を抑えたい場合は地鎮祭だけする
上で個人の住宅では、地鎮祭か上棟式かのいずれかを行うのが一般的だとのべました。
しかし、費用を抑えたい場合は地鎮祭だけを行う方がよいでしょう。
理由は、地鎮祭と上棟式に必要な初穂料(玉串料)やお供え物は変わりませんが、上棟式では大工職人に渡すご祝儀や直会が加わるからです。
ご祝儀だけで数十万円になることもあります。職人が多い場合は大変かもしれません。これから引っ越し費用など、いろいろお金がかかりますよね。
無理にご祝儀を渡す必要はありません。渡す場合も予算に応じて、棟梁だけ、あるいは上でのべたバランスで渡すようにしましょう。
近所への挨拶する際の費用
地鎮祭は、近隣への挨拶には最適のタイミングです。何の挨拶もなしに工事を着工してしまうと、施工業者の駐車問題や工事騒音などがクレームとなって、解決しにくくなる恐れもあります。
あなたも隣の家が新築工事をする際、挨拶に来るのと来ないのでは、印象が大きく変わりますよね。
近隣住民とはこれからも長い付き合いになりますので、できれば第一印象は良くしておきたいものです。
なお、近隣挨拶には施主だけで行く場合もありますが、できれば施工者側の人と一緒に伺うのがおすすめです。その意味でも地鎮祭はベストタイミングなのです。
いずれにしても、近隣挨拶は忘れずに行いましょう。
菓子折りを渡す
近隣挨拶時に菓子折りを手渡す場合のは、500〜1,000円ほどのものが良いでしょう。
なお、名前の通りにお菓子でもよいのですが、好き嫌いもあります。タオルや洗剤などの誰でも使えるものがいいです。
クオカードがおすすめ
菓子折りの代わりとしては、クオカードがお勧めです。クオカードは、コンビニやファミレス、そしてドラッグストアや書店などでも使える便利な商品券で、現代的ですね。
お菓子と違い、好き嫌いがありませんので喜ばれます。また、カードなので挨拶廻りの件数が多くても持ち運びしやすいですよね。
まとめ
個人住宅の地鎮祭や上棟式は、年々省略や簡略化の傾向があります。しかし、生涯に一度、あるいは二度あるかどうかの儀式です。できれば地鎮祭か上棟式かのいずれかを行うことをお勧めします。
地方では、お祭りなどの行事で神社との触れ合いが多く、地鎮祭・上棟式の両方を行う場合もあります。
しかし、都市圏や新しい分譲地などでは、なじみが薄いこと、そしてコスト削減のためいずれかを行うのが一般的です。また、その場合でも簡略化されています。
地鎮祭や上棟式には、相応に費用もかかりますが、家と家族の祈寿、そして工事の安全を願うものです。
注文住宅は、一生に一度の買い物です。また、これからあなたと家族を守っていく存在です。大切な家や家族を神様に守ってもらいたいですよね。
無理にお金をかける必要はありませんが、簡単でもいいからなるべくするようにしましょう。また、地鎮祭や上棟式は、家と家族のヒストリーにも加えられるものです。
家族の思い出にもなるので、そういった意味でもおすすめできるイベントです。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
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