平屋を建てる際には、最初にどのような工法で建てるかを決めなければなりません。
その工法には古来より伝わる伝統的な「木造軸組在来工法」、アメリカから伝わってきた「木造枠組壁式工法」、鉄の柱や梁で骨組みを作る工法である「鉄骨組工法などがあります。
それ以外に鉄筋という鉄の棒を網目状に組んで周囲を板材で囲い、そこにコンクリートを流し込んで作る「鉄筋コンクリート工法」という工法もあります。
ここでは、鉄筋コンクリート工法により平屋を建てる場合のメリットやデメリット、費用などについて解説していきます。
鉄筋コンクリートの平屋のメリット
ここでは、鉄筋コンクリート工法で平屋を建てる場合のメリットを紹介していきます。
- 70年持つので子供世代も住める
- 住宅の価値が下がらない
- 住宅の保険が安い
- ラーメン構造なので広い空間にできる
- デザイン性が高い
- リフォーム・リノベーションがしやすい
- 防音性が高い
順番にご紹介していきます。
70年持つので子供世代も住める
一般的な木造住宅の寿命が30年と言われているのに比べて、鉄筋コンクリートの平屋の寿命は70年と言われています。
法律で定められた耐用年数、法定耐用年数に関しても木造住宅が22年であるのに対して鉄筋コンクリートの平屋は47年と倍以上の長さがあり、その分資産価値も高くなっています。
ですので、鉄筋コンクリート住宅は一度建てると子どもの代まで住み続けることができるのです。
住宅の価値が下がらない
前述したように、鉄筋コンクリートの平屋の法定耐用年数は47年と非常に長くなっています。
ですので、長期間にわたって平屋の価値が担保できます。
中古住宅として売却する際にも、他の工法の平屋と比べて高い金額で売ることが可能です。
住宅の保険が安い
住宅の保険料は、その住宅の工法により異なります。理由は使われている材料や建て方によって燃えやすさや壊れやすさに違いがあるからです。
鉄筋コンクリートの平屋は燃えにくく、壊れにくいため保険料が安く設定されています。
ラーメン構造なので広い空間にできる
ラーメン工法とは、柱と梁でジャングルジムのような骨組みを作り、その後床や壁を作る建物の建て方のことを言います。
柱と梁で建物を支えるため、壁で建物を支える必要がありません。ですので壁には単に部屋と部屋との仕切りの役目しか求められないのです。
このような理由から、自由に壁を設置することができ、平屋の中に広い空間を確保することも可能になります。
デザイン性が高い
出典:http://isa-home.jp/works/example/
鉄筋コンクリートの平屋の特徴に、デザイン性の高さがあげられます。なぜ鉄筋コンクリートの平屋はデザイン性が高いのでしょうか?
その理由は平屋を建築する現場に、あらかじめ組んでおいた型枠にコンクリートを流し込む施工方法をとることで、自由にデザインの平屋を建てることができるためです。
木造建築などでは難しい、曲線を取り入れたデザインなどを取り入れることもこの工法を採用することで可能になります。
リフォーム・リノベーションがしやすい
出典:西洋ハウジング
鉄筋コンクリートの平屋は柱と梁で平屋を支える構造であるため、壁に平屋を支える強度はありません。
ですので、室内の壁を自由に配置することができ、平屋内部のリフォームやリノベーションがしやすい工法であるといえます。
防音性が高い
鉄筋コンクリートの家は、何本もの鉄の棒で骨組みを作り、そこにコンクリートを流し込んで作ります。
ですので壁の密度は高く、防音性も高くなります。
鉄筋コンクリート造の平屋のデメリット
鉄筋コンクリと造の平屋のメリットは前の章で紹介しました。では、鉄筋コンクリートの家にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
ここでは鉄筋コンクリート造の平屋のデメリットを紹介していきます。
- 結露・カビが発生しやすい
- 建設費用が高い
- 汚れが目立ちやすい
- 業者によって差が出る
メリットだけではなく、デメリットを把握しておきましょう。
結露・カビが発生しやすい
結露は、室内の温度差と湿気により発生します。またカビは、結露による水滴により発生します。
鉄筋コンクリート造の平屋は、温度調整が難しいため結露が発生しやすく、またその発生した結露によるカビも生えやすい環境であるといえます。
建設費用が高い
鉄筋コンクリートの平屋を建てる場合、坪単価は平均で100万円程度になり、これが高級注文住宅になると120万円を上回ることも珍しくありません。
これは一般的な木造住宅の坪単価が30万円から40万円であるのに比べると、倍以上の金額となり、鉄筋コンクリートの平屋は建築費用が非常に高額であると言わざるを得ません。
汚れが目立ちやすい
鉄筋コンクリートの平屋の外壁は、特別なメンテナンスを必要としません。
しかし、そのままにしておくと日当たりの悪い部分には、黒ずみや苔が目立つようになってしまいます。
このような汚れを防ぐためには外壁を塗装し、定期的に塗り替えを行うことをお勧めします。
業者によって差が出る
鉄筋コンクリート造の平屋を建てることができる業者は、一般的な木造住宅などの平屋を建てる業者より、数が少なくなっています。
その理由は平屋を鉄筋コンクリートで建てるという点において日本ではまだ歴史が浅く、また木造とは異なる技術が必要になるためです。
ですので、単に長年平屋の建築を行っている業者よりも、創業年数は浅くても鉄筋コンクリートの平屋の施工実績が多い業者を選ぶことが重要です。
このように鉄筋コンクリートの平屋の施工実績が多い業者と少ない業者では、出来上がった平屋の品質に大きな違いが出る可能性があります。
鉄筋コンクリート造の建設費用・坪単価はいくら?
鉄筋コンクリートの平屋の建築費用や坪単価はいくらぐらいになるのでしょうか?鉄筋コンクリートの平屋の建築費用を紹介していきます。
坪単価で100万円以上はかかる
鉄筋コンクリートの平屋の坪単価は、前述したように100万円からそれ以上になります。
鉄筋コンクリートの平屋の坪単価が高い理由としては、工期が長いため工事関係者の人件費や仮設費用がかさむといったことがあげられます。
30坪で3,000万円
金利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
変動0.5% | 77,875円 | 32,707,560円 |
固定1% | 84,685円 | 35,567,804円 |
※ボーナス払いなし 35年ローン
坪単価を100万円で計算すると、延べ床面積が30坪の平屋で建築費用は3,000万円となります。
その場合の住宅ローン借り入れ金額の返済シミュレーションは以下のようになります。
40坪で4,000万円
金利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
変動0.5% | 103,834円 | 43,610,126円 |
固定1% | 112,914円 | 47,423,753円 |
30坪の延べ床面積の場合と同様に坪単価を100万円とした場合、40坪の延べ床面積の鉄筋コンクリートの平屋を建てると、建築費用は4,000万円となります。
その場合の住宅ローン借り入れ金額の返済シミュレーションは以下のようになります。
50坪で5,000万円
金利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
変動0.5% | 129,792円 | 54,512,740円 |
固定1% | 141,142円 | 59,279,814円 |
30坪の延べ床面積の場合と同様に坪単価を100万円とした場合、50坪の延べ床面積の鉄筋コンクリートの平屋を建てると、建築費用は5,000万円となります。
その場合の住宅ローン借り入れ金額の返済シミュレーションは以下のようになります。
実際の鉄筋コンクリート造の平屋事例
ここでは実際の鉄筋コンクリートの平屋の建築事例を紹介していきます。
中庭のある鉄筋コンクリートの平屋
コンクリートだけでは無機質になりがちな外観ですが、2ヶ所にアクセントカラーを入れることで、デザイン性の高い印象の外観になっています。
玄関ドアの前に衝立のような壁を設置することで、家族のプライバシーも守ることが可能です。
内装・イメージ
白を基調とした壁は清潔感を、木の床は温かみをそれぞれ感じさせます。
リビングからは中庭を望むことができ、緑と陽光を室内で感じることができます。
出典:http://isa-home.jp/works/example/
中庭はコンクリートが張ってありますが、一部土を露出させている部分もありここに木を植えることによって無機質な印象を抑えた作りです。
地面をほぼコンクリートで覆うことにより、中庭の除草などのメンテナンスの必要がありません。
ライトがオシャレなコンクリートの平屋
敷地面積 | 264.46㎡[80.00 坪] |
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延床面積 | 115.70㎡[35.00 坪] |
構造・工法 | 鉄筋コンクリート造(RC 造) |
竣工 | 2016 年5 月 |
施工期間 | 6 か月 |
ライトが特徴的なこの平屋は、ショップやギャラリーと見間違うほどスタイリッシュな外観となっています。
開口部が大きいため、室内もその延床面積より広々とした印象を受けます。
内装・イメージ
生活の中心となるLDKはコンクリート打ちっぱなしの大空間で、家の中と外をつなぐように配された中庭から十分な日差しを取り入れることができます。
キッチンにはオブジェのようなアイランドタイプを採用し、その天井は一部に木を使用してアクセントとしています。
このような室内のインテリアに合わせて照明にも十分に気が配られていて、デザイナーズハウスのような印象の平屋になっています。
出典:https://www.sumailab.net/baumhome/
コンクリートブロックを利用したおしゃれな平屋
建物用途 | 戸建住宅 |
敷地面積 | 373.8㎡(113.1坪) |
建築面積 | 152.7㎡(46.2坪) |
延べ面積 | 132.3㎡(40.0坪) |
構造形式 | 補強コンクリートブロック造 |
階 数 | 地上1階建 |
建築費用を抑えるために、平屋自体の躯体にコンクリートブロックを使用したおしゃれな平屋です。
断熱対策として屋根の上に断熱ブロックを敷き詰め、直射日光が直接天井のスラブに当たらないよう考慮されています。
内装・イメージ
敷地内に約1.4mの高低差があったため、土地の傾斜に合わせて室内に段差を設けるスキップフロアという方式を採用しています。
そのため、平屋でありながら立体的な室内となっています。
無機質な外観とは異なり、室内には木目の合板を使用したり、和室を作ったりと温かみのある作りになっている点が特徴です。
大きな掃き出し窓と庭の間にはウッドデッキと屋根のある外部スペースがあり、悪天候の日でも雨が直接室内に降り込みにくくなっています。
出典:http://taisei-plan.jp/work006.html
鉄筋コンクリート造の平屋を安くするコツ
鉄筋コンクリートの平屋は他の工法の平屋に比べて、建築費用が高額になります。
そこで鉄筋コンクリートの平屋の建築費用を安く抑えるポイントを解説していきます。
業者を比較して安い業者を選ぶ
建てたい鉄筋コンクリートの平屋のイメージがある程度固まったら、必ず複数の業者から見積もりを取るようにしましょう。
これを「相見積もりを取る」と言います。
同じような間取りや設備を使った平屋でも、業者によりその建築費用は異なります。
その差額は時に数百万円にも及ぶことがあるため、必ず相見積もりを取り建築費用の安い業者を選ぶようにしましょう。
鉄筋コンクリート造が得意な業者を選ぶ
鉄筋コンクリートで平屋を建てるという歴史が、日本ではまだ浅いことは前述しました。
ですので、なるべく鉄筋コンクリートの平屋の施工実績が多い業者に建築を依頼するようにしましょう。
そのような業者は鉄筋コンクリートの平屋の建築に慣れているため、ノウハウがあり、さらに工期も短くて済む可能性が高いからです。
工期が短くて済むということは、その分の人件費などを節約することができるようになり、結果として建築費用を安く抑えることができます。
まずは一括資料請求で鉄筋コンクリートについて勉強しよう
複数の業者から相見積もりを取ったり、鉄筋コンクリートの平屋の施工実績を調べるためには、一括資料請求サービスの利用をお勧めします。
この一括資料請求サービスは、家に居ながらにして複数の業者の資料を手に入れることができるサービスです。
このサービスを利用して鉄筋コンクリートの平屋について勉強し、どの業者に建築を依頼することがベストであるかを検討する材料としましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料