平屋は階段の必要がないため、階段上下のスペースで最低でも2坪を有効活用することができます。つまり、平屋の30坪は2階建ての32坪に相当するということですね。
一方、平屋を建てる時の注意点としては、広い敷地が必要とか、延坪が増え居室数が増えるにつれて、廊下や通路が長くなる心配があります。しかし、それらはいずれもセキスイハイムに限ったことではなく、一般的な注意点になるでしょう。
本記事では、平屋ならではの注意点と解決策を紹介すると共に、セキスイハイムの平屋をより快適にする方法を紹介していきます。
どれくらいの敷地が必要か?、建ぺい率
まず、平屋30坪を建てるにはどれくらいの敷地が必要かを簡単に説明しておきましょう。
下図のように敷地面積に対する建てられる建築面積の割合のことを建ぺい率といい、都市計画法と建築基準法で定められています。建築面積とは、建物を地上に投影させた水平面積のことをいい、室内部分だけでなく、屋外の屋根付きテラスやポーチなども含まれます。
掲載元:SUUMO
建ぺい率は、良好な住環境の住宅地ほど規制が厳しく、地域によって30〜80%の間で設定されています。建設地の建ぺい率は、当地の市町村で確認できますが、一般的には建ぺい率60%が多く採用されています。
仮に、屋外の屋根付きテラスやポーチなどの建築面積に含まれるものがない場合、平屋の30坪の建築面積は30坪となり、総2階建ての30坪なら15坪となります。
これを建ぺい率60%として上図の式に当てはめると、平屋なら50坪の敷地が必要になり、総2階建てなら25坪の敷地でよいことになります。つまり、倍ですね。
ボックスラーメン構造を活かそう
セキスイハイムの主力商品は鉄骨系で、4隅の柱と梁で構成されたボックスラーメン構造を工場でユニット化して建てられています。
ボックスラーメン構造では、一般的な木造軸組工法や木造枠組壁工法に必要な耐力壁(筋交いなど)の必要がないため、大開口の窓や大空間の居室を可能にしてくれます。
掲載元:セキスイハイム
上の図は、一般的な枠組壁工法とボックスラーメン構造のユニット工法による、それぞれの柱・壁の違いを表したもので、右側はユニット構成を想定して振り分けたものです。
セキスイハイムの基本的なユニットサイズは、短辺方向に1.2mと2.4mの2種類があり、長辺方向は1.8mから始まり、0.9m間隔で5.4mのものまであります。
上のプランでは、左から2.4×1.8ユニットが2つ、2.4×5.4が3つ、2.4×3.6が3つとなっており、内部にあらわれてくる柱は青丸部分のみとなっています。
ただし、説明文には「Cレン工法」とあります。「Cレン工法」とは、本来なら各ユニットの4隅に必要な柱を梁の補強で撤去できる工法です。ですから、本来なら図の赤丸部分に必要な柱を「Cレン工法」で撤去したプランとなっています。
ただし、どのようなユニット構成の場合でも柱を撤去できる訳ではありません。
いずれにしても、左側の一般的な枠組壁工法に比べて柱や壁が少ないため、サンプルプランのリビング・ダイニングと隣室を合わせた大空間とすることも可能になります。この場合は、4.8m×9.0mの26帖相当の広さになり、一般的な軸組工法や枠組壁工法の住宅では、ほとんど不可能な広さですね。
廊下・通路を居室に取り込む
一条工務店(楽家事の家):29.90坪(98.83㎡)、3LDK
平屋では上下移動がない代わりに水平移動が増え、居室数が増えると、廊下や通路も増えるのは、ある程度は仕方がありません。
しかし、水平移動の多さを意識させないことや、廊下を通路として居室に取り込むなどの工夫で解決することができるのです。
上のプランでは、実質的な廊下は左側の上下個室をつなぐ部分(1.5帖相当)だけで、後は全て室内通路となっています。LDKを通って個室や洗面などにいく動線は一般的にも多く採用されています。
しかし、このプランではそれ以外にも、主寝室からランドリールームを通ってサニタリールーム、そして洗面所へと続く各通路を各部屋の広さに取り込んでおり、見事なプランです。とても30坪を下回るプランとは思えない広さを確保しています。
このプランは、他メーカーの参考プランですが、壁の通りがタテ・ヨコに整然と揃っており、本来ならセキスイハイムのユニット工法が得意とするところでしょう。
平屋の動線を考える
住居内の動線の考え方には、朝の活動が活発になる時、日中の家事作業、そして夕食・団らん時などがあります。さらには、来客者の動線もあります。そして、平屋における動線は、2階建てに比べて長く交差しやすいことを考慮しておく必要があります。
つまり、家族の活動が活発な時に動線が集中しすぎて思い通りに動けなかったり、事故が起きたりしないこと、家事作業がスムーズに行えること、そして家族が集まる夕食時には、共同作業が行える動線やスペースになっているかを検討しておかなければなりません。
これらを具体的にシミュレーションして出来るだけ解決しておかないと、不便を感じたり、思わぬ事故が起きたりすることがあります。
なお、来客者が洗面やトイレを使用する際に、気を使わせない間取り・動線とすることも重要です。
セキスイハイム施工事例A:家族の気配を感じるタイプ:32.09坪(106.10㎡)/3LDK
このプランでは、トイレ・洗面・浴室のへ動線が玄関ホールからとキッチンからのバイパス(迂回通路)があります。模範的な動線プランですね。
キッチンから洗面所(洗濯室)への通路に建具がないのは家事作業の頻繁な出入りを考慮したもので、セキスイハイムの全館冷暖房(快適エアリー T-SAS)ならではの工夫です。
その他のこのプランの特徴としては、子供室と和室への出入りにはLDKを通らなければならないことで、常に家族の気配や動向が伝わるプランになっています。
セキスイハイム施工事例B:プライバシーを重視したタイプ:32.39坪(107.11㎡)3LDK+和室4.5帖
このプランは、上のプランに比べて動線が少し長くなっており、トイレへの動線のみがバイパスになっています。なお、洗面所への動線が食卓後ろの通路となっているため、朝のお出かけ前には動線が集中しそうですね。
先の施工事例Aとほぼ同様の延坪ですが、動線以外で大きく異るのは、主寝室と子供室がLDKから離れて独立しており、プライバシーを優先した間取りとなっていることです。
平屋で30坪を超えると、長方形よりもL型、コの字型、H型がいい
平屋で延坪が増え、居室数が増えてくると、どうして廊下や通路が増えてきます。これを単一の正方形や長方形の外壁で収めようとすると、長い廊下や通路になり、場合によっては中廊下の圧迫感のある間取りになってしまうことがあります。
ですから、ある程度の延坪になったら、L型、コの字型、あるいはH型の平面形状として、廊下や通路を外壁側に設け、視覚的な開放感と視界の変化を与えるような工夫が必要です。
その場合、外壁面積が増え、若干のコストアップにはなりますが、平屋の良さを引き出し、付加価値を与えるコストとみれば納得できるのではないでしょうか。
セキスイハイム施工事例:34.84坪(115.21㎡)/2LDK+ヌック+和室4.5帖
図は中庭を利用したプランで、長方形とL型の組み合わせ、あるいはH型の変形とみることができます。
玄関ホールから窓越しに見る中庭の景色が、視線の伸びと視界の広がりを与えてくれます。主寝室やリビングからの視線も同様ですが、向かい合う居室の一部が見えることで、建物をより広く感じさせます。
このプランのもう一つの特徴としては、アイランドキッチンの向かいに半円形のヌックがあることです。
ヌックとは、こじんまりとした居心地のよいスペースのことで、このプランの場合、物理的な広さだけでなく、キッチンからの視線がヌックの窓、そして窓越しの景色へと伸びていきます。
また、リビング側からキッチンを眺める時も、どうしてもアクセントの半円形のヌック部分に視線がいきますので、単調になりがちな空間に変化を与え、広がりも感じさせます。
なお、視線を伸ばし視界を拡げてくれるアイテムとして、居室から続くテラスも効果的ですから、おすすめです。
まとめ
平屋で延床面積が30坪にもなると、求められる居室数が増え、間仕切り壁、廊下・通路が増えてきます。
本記事では、その上で平屋のライフスタイルをより快適にするための、動線や廊下・通路、そして視線と視界などについて紹介しました。
しかし、それらの中には相矛盾する部分もあります。たとえば、家族の動向や気配を感じることと、プライバシーを確保することは相反するものです。また、バイパス動線の確保は、廊下や通路を増やす結果になることもあります。
したがって、全てを満足させることは至難の技で、何を優先するかの検討をじっくり行っておく必要があります。また、しっかりシミュレーションしておくことも重要ですね。
本記事で取り上げたプランや紹介した5つのポイントを参考に、平屋ならではのライフスタイルを愉しむマイホームづくりに、そしてセキスイハイムの平屋選びのヒントになれば幸いです。
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