大和ハウス

大和ハウスの注文住宅、見積り事例から見る総予算の目安

マイホームを注文住宅で計画する際には、色々な疑問や不安を一つづつ解消していかなければなりません。その中でも最も大きな不安は、一体いくらのお金が必要なのか、計画している予算で間に合うのか、ではないでしょうか。

ネットなどで相場価格はわかっていても、どこまで含んだ価格なのかがなかなかわかりません。また、いざ見積書をもらっても、その内容の妥当性などの判断が難しく、沢山の疑問や不安がでてくるものです。

本記事では、そんな疑問や不安を少しでも解消するために、大和ハウスの注文住宅の見積り事例から、見積書の見方や必要な項目・費用を紹介します。総予算の目安を算出する参考にしてください。

 大和ハウスの主力商品の相場価格

大和ハウスの注文住宅の主力商品は、鉄骨造のxevoΣ(ジーヴォシグマ)です。ネット上でも同商品に対する評価は高く、相場の価格帯は80〜90万円/坪のハイクラス商品と認識されています。

ですが、この相場価格には何が含まれているのでしょうか。建築本体の部材や施工費が含まれているのは当然ですが、仮設足場や仮囲いなど費用は? また、消費税は含まれているのでしょうか。疑問だらけですよね。

xevoΣの主な特徴は、エネルギー吸収型の制震装置を標準装備し、繰り返しの地震にも初期の耐震性能を持続する構造と、充填断熱と外断熱のダブル断熱です。

意匠的には、2.72mの天井高と2連サッシの採用で7.1mの大開口とすることができます。

大和ハウスの注文住宅の平均販売価格(請負金額)

大和ハウスの決算書による2022年の戸建て注文住宅の1戸あたりの平均販売額(請負金額)は、4,100万円で、平均延べ床面積は138.4㎡(41.87坪)となっています。

この請負金額には、屋外給排水や外構なども含まれていますが、単純な総工事費に対する単価は、92.92万円/坪となります。

あくまでも大和ハウスの注文住宅ユーザーの平均ですから、参考程度にしてください。

大和ハウスの見積り事例

大和ハウスで注文住宅を建てた実ユーザーの公開見積り書を参考に、考察してみました。

見積り項目の内容や相場感が伝わればと願っています。

 

紹介する公開見積りの中には、2018年のものもありますが、2018年から2022年までの5年間の平均販売価格の推移は、先の決算書によると、14.2%アップになっています。平均販売面積の推移はほぼ横並びですから、14.2%が5年間の値上がり率とみていいでしょう。

なお、紹介する見積りには、大和ハウスの見積り内容・金額をそのまま公開しているユーザーと、自身で整理や端数をまとめているユーザーがあります。ですから、比較しにくい部分もありますが、見積りの全体像は理解していただけると思います。

見積り事例A xevoΣ 37.27坪 (2021年)

このユーザーは、大和ハウス、積水ハウス、住友林業の3社競合の中で、信用できる担当営業マンを理由として、大和ハウスを選んだとのことです。

ほぼ見積り情報のすべてを公開されていますので、特に詳しく紹介してみましょう。

本体工事関係
建築本体工事費 26,602,000 単価=71.38万円/坪
共通仮設工事費 650,000 足場・トイレ、仮囲いなどで近隣や敷地によって変動
地耐力調査費 50,000 一般的に必要な調査で、相場は5〜10万円
屋外給排水設備工事費 490,000 敷地状況によって変動
ガス設備工事費 155,000 オール電化住宅の場合は不要
設計料 230,000 他の見積りでも同額でしたので、定額なのでしょう
工事監理料 70,000
諸官庁手続き費用 125,000 建築確認申請料他
長期優良住宅申請費用 40,000 これも、定額のようです
小計 28,412,000 建築本体工事費以外に必要な費用=1,810,000
消費税 2,841,200  
31,253,200 単価=83.86万円/坪(消費税込み)

2年前の見積りで、現在では若干値上がりしているとは思いますが、印象としては 安い方だと思います。

その他の項目の内容や提示価格は、標準的で相場感があります。むしろ、地耐力調査費や官公庁への手続き費用などは安い方でしょう。

一般的に、ネットで紹介されている相場価格は、建築本体工事価格のことを指しています。本体工事以外の設計料や諸官庁手続き費用、そして敷地あるいは近隣状況などで変動する仮設足場や屋外給排水などの費用は含まれていません。

つまり、仮にこの事例を標準的な見積りとするなら、注文住宅を建てるためには、相場価格とは別に200万円前後の費用が別途必要になるということです。

さらに注意しなければならないのが、消費税です。大和ハウスが新商品のプレス発表する際の参考価格には消費税を含むと記載されています。

ところが、同様の大手ハウスメーカーの中には、消費税別と記載しているところもあります。これだけで、10%の差になります。

メーカーからの提案オプション
天井高2720に変更 308,800 2720mmの天井高はオプションです。
収納関係 201,400 マルチシステム収納、サニタリー収納他
ソリッドカウンター 35,100
キッチン背面カウンター 290,000
サニタリー設備 341,700 浴室サイズ変更、トイレカウンター、浴室乾燥機、他
太陽光発電工事費 2,000,000
リチウム蓄電池 1,220,000
HEMS 150,000
 小計 4,547,000 
本社提案 −950,000 モニター見学、紹介等の協力が条件
キャンペーン適用 −909,000
食器洗浄機 サービス
外壁タイル使用 サービス
見直し値引き  -128,000 
値引き計 -1,987,000
小計 2,560,000
消費税 256,000
2,816,000

一般的に、基本的な値引きは建築本体工事費に対して行われます。この事例では、建築本体工事費(2660.2万円)に対して、本社提案値引き(95万円)と言うのが、それに該当するものでしょう。

その場合、値引き率は3.6%程度となりますが、食洗機や外壁タイルがサービスになっていますので、実質的には10%近くの値引きになっているはずです。

モニター見学を条件としていますので、モデルハウス仕様に対する値引き提案なのでしょう。

また、それだけでは競合メーカーに負けるおそれがあると判断したのか、支店・営業所サイドで行うキャンペーン適用で90.9万円の値引きが行われています。

さらに、興味深いのは、12.8万円の見直し値引きまでされており、よほど競合メーカーとの値引き合戦が厳しかったことが推測できますね。

次に付帯工事関係を見てみましょう。

付帯工事関係
基礎補強工事 275,000 地耐力調査結果によって増減する
外構工事 2,880,000 アプローチ、カーポート、植栽など
カーテン 376,500
照明器具 支給
エアコン設備 支給
小計 3,531,500
消費税 353,150
3,884,650

付帯工事とオプション工事の明確な定義や分類はハウスメーカーによって異なるのですが、基礎補強工事や外構工事を付帯工事とするのは一般的です。

この事例では、外構工事費の比重が大きいため、地域業者にお願いした方がコストを抑えられる可能性があります。

外構工事を含めて一括で見積り・工事をお願いする方がユーザーにとっては楽ですが、マイホーム予算を抑えるために別途工事とするのも選択肢の一つです。

見積り事例Aのまとめ

  • 建築本体工事費:71.38万円/坪(消費税込みの場合=78.51万円/坪)
  • 仮設工事や設計・諸官庁手続きなどで、別途200万円前後の費用が必要
  • モニター見学を条件に、実質的な値引きは10%ほど

以上の紹介を参考に、ネットでの相場価格や値引き率にまどわされず、提示された見積書をできるだけ正確に読み取るようにしてください。

なお、上記の事例が、大和ハウスの注文住宅を検討しているユーザーにそのまま当てはまるとは思いませんが、見積項目の内容や目安となる金額の見当はつくのではないでしょうか。

 見積り事例B xevoΣ 37.75坪 ( 2018年)

この事例は5年前のものですから、その間の値上がりを考慮しなければなりませんが、前述の値上がり率(14.2%)を参考に読み替えてください。

また、公開者が見積項目や金額の端数をまとめていますので、先の見積り例とは表示方法が若干異なっています。

本体工事関係
建築本体工事費 30,600,000 単価=81.06万円/坪(オプション含み)
共通仮設工事費 350,000
地耐力調査費 建て替えの場合、地耐力調査が省略される場合もある
屋外給排水設備工事費 500,000
ガス設備工事費 220,000
設計料 230,000 定額
工事監理料 70,000
諸官庁手続き費用 165,000 建築確認申請他
長期優良住宅申請費用 長期優良住宅仕様となっていても申請しない場合がある
値引き -2,500,000 本体工事費(オプション含む)に対する値引き率=8.2%
小計 29,635,000
消費税 2,963,500
32,598,500 単価=86.35万円/坪(オプション、消費税込み)

建築本体工事費の3,060万円にはオプションも含まれているとのことですが、値引きの250万円は、工事費に対して8.2%と大きくなっています。

これは、公開者が言っているように、大和ハウスの第二四半期決算(9月)のキャンペーンによるものでしょう。

なお、このユーザーのオプションは多く、主なものには1階の床材を含めた内装、設備、そして外壁の厚みを強調するインセットサッシ仕様としています。

オプション含みですが、5年前で81.05万円/坪(消費税別)ですから、現在では90万円台/坪にはなっているでしょう。消費税込みであれば100万円を超えます。

付帯工事関係
外構工事 1,500,000
カーテン・照明 600,000 バーチカルブラインド、シェード
エアコン設備工事 550,000 30畳用1台、6畳用2台
太陽光発電工事費 1,200,000 3kW
リチウム蓄電池 1,550,000
エネファーム設備工事 1,100,000
値引き -2,650,000 エコキャンペーンサービス
小計 3,850,000
消費税 385,000
4,235,000
エコキャンペーンサービスとは、リチウム蓄電池とエネファームを対象にしたもので、実質的に無償となっています。
先の値引き250万円と上の265万円で、値引き合計は515万円と大きく、総額に対する値引き率は、13.3%にもなります。異例の値引き率ですが、決算割引が大きいですね。

見積り事例Bのまとめ

  • 建築本体工事費単価:89.17万円/坪(オプション・消費税込み)
  • 決算期のキャンペーン割引額が大きい
  • エコキャンペーンでZEH関連の設備が無償サービス

このユーザーがオプションで選んだサッシのインセット仕様とは、サッシの納め方を通常よりみ室内側にセットするものです。

高額になるオプションですが、外壁の厚みを強調し高級感がワンランクアップします。

大和ハウスの充填断熱+外断熱だからこそできる仕様ですね。

 

 

見積り事例C xevo E 35坪(2018年)

xevoEは、xevoΣの廉価版で、同じ規模・設備の場合は、坪単価辺りで10〜15万円ほど安くなっています。ただし、現在の大和ハウスのHP上で見つけることはできません。

このユーザーも自身で見積内容を整理したものを公開しているため、先の見積書と1体1で比較することはできませんが、参考にしてください。

本体工事関係
建築本体工事費 26,730,000 単価=76.37万円/坪(オプション含み)
共通仮設工事費 425,000 仮説足場、仮囲い、仮説水道、警備員、他
地耐力調査費
屋外給排水設備工事費 599,000 ガス工事、警備員含む
ガス設備工事費 273,000
太陽光発電設備費 3,500,000
浴室換気乾燥機含む
エネファーム
設計料 230,000 定額
工事監理料 70,000
諸官庁手続き費用 220,000 エコポイント申請含む
長期優良住宅申請費用 40,000 定額
小計 32,087,000  
値引き -1,500,000
小計 30,587,000 坪単価=87.4万円/坪
消費税 3,058,700  
33,645,700  単価=87.39万円/坪(オプション、消費税込み)

残念ながら、この事例ではこの段階で交渉を終了していますので、オプション含みの建築本体工事費に対する値引き率は標準的な4.7%で終わっています。

大和ハウスが公表している持ち家割引制度では、社員が10%、親族で6〜8%の割引となっています。したがって、一般ユーザーへの値引き率は基本的に6%未満と推測できます。

しかしながら、決算期やキャンペーン、そして相見積りによる競合などで、10%を超えることもあるということが見積り事例からわかります。

なお、上記の見積り事例では紹介していませんが、登記や融資手数料などのその他諸費用に100〜150万円ほどが必要になります。

まとめ

今回は、大和ハウスの注文住宅xevoΣの見積り事例から、見積り項目と内容を中心に紹介しました。

実際の見積り書には、例えば建築本体工事には、基礎工事、躯体工事、屋根工事・・・というような、より具体的な項目内容がついていますが紙面の都合で省略しています。

また、ハウスメーカーによって、見積り項目の表示方法や分類方法は違いますが、項目別に見ていけば、比較検討できるはずです。

少なくとも、希望した内容が仕様書や図面に記載されているか、そして見積書に反映されているかは確認しておくべきでしょう。

なお、本記事の主題ではありませんが、見積り事例から値引きの重要性が再認識できたのではないでしょうか。

コストを抑える、あるいは値引き交渉をスマートに行うためにも、見積り書の内容を知ることが満足のいく注文住宅作りへの近道です。

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