新築住宅のローン融資や建築確認申請などの目処がたったら、いよいよ着工に向けて、地鎮祭の準備が始まります。
近年では、地鎮祭を省略する場合もありますが、生涯に一度か二度のことです。そして、地鎮祭は、地の氏神に土地利用の許可をお願いするものです。さらに、工事の安全や家族の健康と繁栄を願うものでもあります。
ですから、できれば地鎮祭を実施し、我が家のメモリアル・イベントとされることをお勧めします。
では、いつ行えばいいのでしょうか。地鎮祭に適した日や避けた方が良い日はあるのでしょうか。神聖な行事ですから日取りはとても重要ですよね。
ここでは、地鎮祭に適した日取りの決め方を紹介していきます。
「六曜吉凶」に順じて日取りを決める
暦(こよみ)には、その日の運勢などの暦注(れきちゅう)を記したものがあります。暦注には、日時や方位による吉凶、そして運勢などの事項があり、六曜(ろくよう)もそのひとつです。
六曜とは、以下に挙げた6つの考え方(思想)で、元々は中国で生まれたものと言われています。
なお、六曜の中に「仏滅」があることから、仏教に由来したものと思われるかもしれませんが、六曜を含めて暦注は神道や宗教に由来したものではありません。
つまり、大安や仏滅などは、神社やお寺とは本来は関係がないのです。ではなぜ、日本文化に定着しているのか。残念ながら、正確なことは判っていません。
とはいえ、昔から六曜を意識する文化・風習がありますので、地鎮祭の日取りを決める際は注意するようにしてください。
吉凶とは、その名の通り吉と凶ですが、各六曜ごとに決められています。以下に順を追って説明していきましょう。
なお、地域によっては読み方が変わりますので、参考を併記しておきます。
- 先勝(さきがち):せんしょう、せんかち
- 友引(ともびき):ゆういん
- 先負(さきまけ):せんぷ、せんぶ、せんまけ
- 仏滅(ぶつめつ)
- 大安(たいあん):だいあん
- 赤口(しゃっこう):しゃっく、じゃっく、じゃっこう、あかくち
先勝(さきがち)
先(さきん)ずれば勝ち、の意味です。そのため、午前中が吉で午後からが凶となります。
友引(ともびき)
凶事に友を引く、の意味です。朝・晩は吉、昼は凶、と言われています。お葬式には向いていません。
先負(さきまけ)
先勝の逆で「先んずれば負け」となります。ですから、午前中は凶で午後からが吉です。また、急用なことや勝負事は避けた方がよい日です。
仏滅(ぶつめつ)
仏も滅する凶日と言われ、婚礼やお祝いことは避けられます。
大安(たいあん)
大いに安し、と言う意味で、何事にも吉とされています。なお、この場合の安しは、平穏、穏やか、不安がない、などの意味です。
赤口(しゃっこう)
正午頃は吉とされていますが、後は凶とされています。赤が火や血を連想させることから、火事や刃物に気をつける日としています。
大安、先勝、友引の吉日の午前中がおすすめ
上の六曜の意味を知っても、地鎮祭をいつにしたらよいのか、ますます混乱するかもしれませんね。
しかし、一般的に地鎮祭は午前中に行われますから、午前中が吉の日を選ぶとすれば、大安、先勝、友引となります。
建築は十二直で吉日を確認する
十二直(じゅうにちょく)も、暦注のひとつです。北斗七星の回転と十二支の方位と組み合わせて、十二直に配分しています。
引用:https://www.kiryu-omlca.jp/riki/oriental-zodiac-sign/
具体的には、北斗七星の柄の部分が「子:真北」の方向を向く冬至のころを「建」としています。
そして、時計回りに「丑:北北東」=「除」、「寅:東北東」=「満」、「卯:東」=「平」・・・と続きます。
- 建(たつ)
- 除(のぞく)
- 満(みつ)
- 平(たいら)
- 定(さだん)
- 執(とる)
- 破(やぶる)
- 危(あやぶ)
- 成(なる)
- 納(おさん)
- 開(ひらく)
- 閉(とづ)
それでは、順番にご紹介していきます。
建(たつ)万物を建て生じる日
事始めに良い日。祭祀、棟上げ、新規事業の開始など全般に大吉の日です。ただし、動土(土を動かすこと)、蔵開きは凶とされています。
除(のぞく)障害を取り除く日
悪しき事(不浄・障害)を取り除く日です。何かを除去する時(井戸掘、治療開始など)には向いていますが、結婚や動土は凶とされています。
満(みつ)万物満ち溢れる日
移転、旅行、結婚、回転、建築、普請など、全てが満たされる吉日です。ただし、動土や服薬は凶となります。
平(たいら)物事が平になる日
万事、平静を良しとする日で結婚は吉。字固め、柱立て、稲まきは良。溝・穴掘りは凶となります。
定(さだん)善悪が定まる日
開店、結婚、建築、移転、種まきは吉。旅行、訴訟は凶となります。
執(とる)執り行う日
祭祀・祝い事・造作は吉。金銭の出入りは凶になります。
破(やぶる):物事を突破する日(凶日)
訴訟・出陣・漁猟・服薬は吉。祝い事・契約事は凶になります。
危(あやぶ):物事を危惧する日(凶日)
何事にも危険の伴う日で大凶日。旅行や登山は特に凶になります。万事控えめにしてください。
成(なる):物事が成就する日(小吉日)
何事も成功する日とされ、新規事・建築・開店は吉。訴訟・談判は凶になります。
納(おさん):物事を納め入れる日(小吉日)
五穀の取り入れや商品の購入は吉。結婚・見合いは凶になります。注意しましょう。
開(ひらく):開き通じる日(半吉日)
運が開ける日で、建築・移転・結婚等は吉。葬式は凶になります。
閉(とづ):閉じ込める日(凶日)
万事に悪日です。ただし、墓造り、埋葬、納骨は吉になります。
建・満・平・定・成・開がおすすめ
この十二直は六曜以上に分かりづらいものです。しかし、建築に関して吉日(小吉・半吉を含む)、そして地鎮際では、まだ土を動かしたり掘ったりはしていないとすると、分かりやすくなります。
上記を元に判断すると、地鎮祭に向いているのは、建・満・平・定・成・開となります。
地鎮祭は六曜と十二直が良い日取りを選ぶ
上で、六曜と十二直の説明を行ってきました。それぞれを単独で活用しても良いのですが、どちらかを無視するのも気持ちが悪いものです。
暦注には六曜や十二直以外にもありますが、一般的に知られているのは六曜と十二直です。
そこで、この二つを組み合わせて地鎮祭に適した日にちを探してみましょう。
六曜は大安、先勝、友引
引用:http://e-reform.net/calender/201810-12.html#AAA
- ○:六曜と十二直のいずれも地鎮祭に適した日
- ○:六曜と十二直のいずれも地鎮祭に適した日だが、三隣亡と重なっている日
- ■:三隣亡
六曜では、地鎮祭が午前中に行われることを前提として、大安、先勝、友引の3種類が適した日にちとしました。
十二直は建・満・平・定・成・開
そして、十二直では、建・満・平・定・成・開の6種類が適していることが判りました。ですから、理屈的には、3 × 6 = 18の選択肢があることになります。
この18種類の中から、工事着工日より前の候補日をいくつか挙げ、施工者や神主と相談して決めましょう。
参考に、上のカレンダーで、18種類に該当する日は、7日(上図の赤丸印)あります。
ただし、18種類に該当しているが青丸印としている日(17日と29日)があります。そして、その日には「三隣亡(さんりんぼう)」と書かれています。この三隣亡と何でしょうか。次に紹介していきます。
三隣亡(さんりんぼう)と一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)に注意
引用:http://e-reform.net/calender/201810-12.html#AAA
- ○:六曜と十二直のいずれも地鎮祭に適した日
- ○:六曜と十二直のいずれも地鎮祭に適した日だが、三隣亡と重なっている日
- ■:三隣亡
- ★:一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
一般的なカレンダーでも、六曜や三隣亡が書かれているものは多く見かけます。
また、少し詳しいものでは、それら以外の暦注が書かれているものがあり、その中に一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)と言うのもあります。
六曜と十二直が両方とも良い日付がありますが、三隣亡の場合は地鎮祭は控えるようにしましょう。一方、六曜と十二直、一粒万倍日が一緒の場合は地鎮祭に適した日取りです。
ただ、この10月の場合はその日取りはありません。そのため、あなたが地鎮祭を行う予定の月のカレンダーを見て良い日取りを判断するようにしてください。
それでは、建築に関して比較的活用される機会の多い、三隣亡と一粒万倍日について説明していきます。
三隣亡(さんりんぼう)とは
これの由来は、非常に曖昧で、江戸時代のころから使われ始めたと言われています。
また、当時は「三輪宝」と書かれており、建築には吉日とされていたようです。ところが、経緯は不明ですが、いつの間にか「三隣亡」となり建築には凶日となりました。
このように、非常に曖昧な三隣亡ですが、経緯が不明なだけに全く無視するのも気がひけます。文字の意味は、3件隣まで亡びると言うことですから、ますます気になります。
上図では、17日と29日になりますから、避けておいた方が無難です。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)とは
これは、三隣亡よりは古くからあり、中国から伝わったようです。一粒の籾が万倍にも実る稲穂を表わしたもので、六曜などの他の暦注と重なることがあります。
良いことも悪いことも万倍になるのですから、地鎮祭の日程を決める時には、注意が必要です。
良い日に当てはまる場合は、良い日取りなので覚えておきましょう。
地鎮祭の日取りの決め方まとめ
上で説明した暦注で地鎮祭に適した日取りの決め方を整理してみましょう。
- 六曜(大安、先勝、友引)+ 十二直(建・満・平・定・成・開)+ 一粒万倍日
- 六曜(大安、先勝、友引)+ 十二直(建・満・平・定・成・開)
- 六曜(大安、先勝、友引)+ 一粒万倍日で、三隣亡と重なっていない
- 六曜(大安、先勝、友引)で、三隣亡と重なっていない
地鎮祭に適した日取りの決め方は、上記のようになります。ただし、六曜や十二直、そして一粒万倍日の優劣は特にありません。ですから、それらがより重なっている方がより適切と考えてください。
以上を参考に、改めて地鎮祭に適した日を検討してみます。残念ながら、六曜と十二直、そして一粒万倍日と重なっている日はありません。
つぎの六曜と十二直が重なっている日は、4・11・13・19・23・25・31となります。そして、六曜と一粒万倍日が重なっているのは、7・20です。最後は六曜だけの適日で、3・14・26になります。
こうしてみると、一ヶ月の中でも地鎮祭に適した日は比較的多くあることがわかります。
暦表建築吉日(建築吉日カレンダー)を参考にしよう
ここまでの説明で、六曜や十二直などの全体像、そして地鎮祭に日取りの決め方は、おおよそでも理解していただけたのではないでしょうか。
しかし、最近のカレンダーでは、祝祭日の記載はあっても、暦注を載せているものは少なくなってきています。
せいぜい、六曜くらいまででしょう。そのため、いざ地鎮際の日取りを決めようと思っても、暦注が記載されていなくて困ることがあります。
そんな時には、建築吉日カレンダーを利用しましょう。あえて購入する必要はなく、ネットでも参照することができます。その時に、ここで紹介した内容を参考にしてください。
まとめ
地鎮祭などの祭祀や六曜・十二直などの暦注は合理的な見方をすれば、根拠のない迷信や縁起と片付けることもできます。しかし、いざ自身や我が家のこととして考えると、無視できないのが実情です。
一般的な暦注の利用は、六曜の内の範囲でしょう。
しかし、もし可能であれば十二直までを含めて地鎮祭の日程を決めると、より安心できます。合わせて、三隣亡だけは避けるようにしましょう。
いずれにしても、地鎮祭などの祭祀や暦注は、日本文化のひとつと考えて、できる範囲で行うことをおすすめます。いい日取りで地鎮祭を行ない、夢のマイホームを安全に建てましょう。
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