住宅雑誌などを見ていると、美しい木の表面を見せた印象的な事例をよく目にします。無垢材をふんだんに使った木の家は、見ているだけで落ち着いて癒されますよね。
日本人は昔から木造住宅が一般的です。そのため、木の家の生活に合っています。
しかし、「木の家は高くてメンテナンスが大変」というイメージがあってしり込みしてしまう方も多いですよね。
そこで当記事では、木の家のメリット、デメリットと気を付けるポイントなどを詳しく解説します。実際の事例も紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
木の家のメリット
天然の無垢材を使った木の家には、さまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるか、1つずつ解説していきますね。
木の温かみ・温もりを感じられる
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常温の鉄パイプに触ると冷たさを感じますが、木材に触っても冷たいと感じることはありませんよね?これは熱伝導率の違いによる効果です。
木材の熱伝導率は金属の400~500分の1と小さく、温度を伝えにくいため触っても冷たさが伝わってこないのですね。
木材は、暖かさを感じる遠赤外線の放射率が高いのも特徴です。
すべての物質は遠赤外線を放出していますが、木材はたくさんの遠赤外線を出すため、触れると温もりを感じるのです。
無垢のフローリングなどは、裸足で歩くと気持ちがいいのもほんのり温かいからですね。
木の家ならではのデザイン・外観
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最近の住宅は、外観に木を使うことは少なくなりました。腐食に強い、金属やコンクリート系の材料が採用されるのがほとんどです。
しかし、木質系の材料もしっかりとメンテナンスを行えば、ちゃんと長持ちさせることができますよ。
外壁や化粧柱などに木を使うことで、工業製品では感じられない独特の雰囲気をつくることができます。
サイディングなどの工業製品は、同じようなデザインでかぶってしまうことがよくありますが、木の家はそのようなことがありません。
純和風から北欧風など、さまざまなデザインに順応するのも木の良い所です。
森林浴効果がある
丸太から切り出して、そのまま形にした材料のことを無垢材と呼びます。フローリングや壁材など、無垢の木材からは自然な木の香りが漂います。
薄い木材を接着剤で張り合わせたベニヤ製品では、このような香りは出せません。
私たちは木の香りを感じると、ストレスを和らげてリラックスできるといわれています。この作用は、森林浴効果と呼ばれています。
医療先進国のドイツでは、森林浴が医療行為として認可されるなど、効果も立証されています。
大きな森の中で深呼吸をすると、空気がおいしくてとても気持ちがいいですよね?無垢の木を室内に使うと、いい香りでいつもリラックスできる空間をつくることができます。
アレルギーの抑制
カビ、ダニ由来のアレルギーが発症しづらいのも木の魅力です。植物は自分の身を守るために様々な物質を出していて、有害な物質や菌を寄せ付けません。
例えば、お風呂でよく使用されるヒノキは、ヒノキチオールという物質を放出します。ヒノキチオールは抗菌作用があり、雑菌の発生を抑制します。
接着剤などに含まれるホルムアルデヒドをほとんど放出しないので、シックハウス症候群の心配もありません。
また、無垢材は伐採した後も呼吸していて調湿効果があります。
湿気が多いときは水分を吸い込んで、乾燥してくると空気を放出します。適度な湿度を保ってくれるので、家具の裏などにカビが生えづらくなりますね。
木の家のデメリット
木を使うメリットをご紹介しましたが、デメリットもあります。あらかじめ知っておいて、しっかり対処しないと後悔することもありますので注意しましょう。
大工の技術によって左右される
近年主流の、木材を貼り合わせて作る合板材は、反りなどの変化が少ないのがメリットです。
また加工技術を必要としない、あらかじめ工場で加工されてくる材料も増えています。こうした材料が増え、最近の若い大工は無垢の木材を扱う機会があまりありません。
昔の大工は10年修業してやっと1人前と言われていましたが、最近は3~5年で一軒建てるようになるというから驚きですね。
詳しくは後述しますが、無垢の木材は温度や湿気などの環境によって伸縮や反りなどの変化をします。熟練の大工は経験から、木材がどう変化するのかを知っています。
一本一本を見極め、適した場所に使うことで美しく、丈夫に保つことができるのですね。
このように、大工の熟練度によって仕上がりや耐久性が大きく変わってくるのが注意したい点です。
木の家を建てる際は、実際に建てる大工さんがどれくらい木工技術を持っているか確認したほうがよいでしょう。
木の性質による変化
前述したように、無垢の材料は年々変化していきます。温まったり湿気を吸ったりすると伸び、冷えたり乾燥したりすると縮むなど、周りの環境で大きく変化します。
均一な工業製品と違い生きた木は一つ一つ違いがあり、同じ変化をするものは一つもありません。
たとえば、無垢のフローリングは年数が経つと細かなヒビが入ったり、伸び縮みして隙間が空いたりします。
これをデメリットと捉えるかどうかは人によって意見が分かれるところです。
きっちりした工業製品のような仕上がりを求める方には、無垢材はあまり向いていないと言えるでしょう。
時間とともに表情を変える無垢材は、ビンテージ楽器のように、その変化を楽しめる方におすすめです。
工期が長い
無垢材を多く使うと、どうしても工期が長くなります。例としてフローリングの施工方法を挙げてみましょう。
伸び縮みが少ない合板フローリングは、隙間なくぴったりと並べていくことができます。
対して、伸び縮みが大きい無垢フローリングは名刺一枚分の隙間を空けて張るのがよいとされます。
隙間が広すぎると、ホコリがたまりますし見た目も美しくありません。逆に狭すぎると、フローリングが伸びたときにぶつかりあい、盛り上がってしまいます。
正確に名刺1枚分の隙間でフローリングを張るには、かなりの精度を求められます。熟練の大工でも、合板フローリングとくらべると時間がかかってしまうのは当然ですね。
このように、高い精度を求められることが多いため、木の家は工期が長くなってしまうのです。
木の家を設計・検討するときは、工期が長くなることを把握して、余裕のある計画を立てるようにしましょう。
木の家は費用・値段が割高になる
木をたくさん使う家は、一般的な材料を使う住宅に対して高くなりがちです。理由は2つあります。
材料費が高くなる
基本的に、無垢の木を使った材料は他の素材とくらべると安くはありません。理由は製造工程にあります。
山奥に機械を運んで伐採・搬出し、数か月かけて十分乾燥したら製材・加工を経てやっと製品になります。製造工程が多く、時間もかかるためコストがかかってしまうのですね。
また流通量が少ないのも理由の一つです。一般的な建売住宅などでは、価格を抑えるために安価な材料を使うことがほとんどです。
そのため、高価な無垢材を採用することはほとんどありません。生産量が少ない分、設備投資などの初期コストが製品に反映される割合が高くなり高価になるのです。
木を使えば使うほど、材料費が高くなり建物価格が上昇します。予算によっては、全面を木にするのではなく、アクセントで使うなどの工夫をしましょう。
手間暇がかかり施工費用が高くなる
デメリットの項目でも説明しましたが、無垢の木を使うと工期が伸びていきます。先ほどのフローリングの例では、合板とくらべて2倍の時間がかかると言われています。
工事に時間がかかればかかるほど施工費は高くなります。
しかし、施工費を抑えたいからと言って、予算を削って工事を急かすのはいい手段とは言えません。時間が無くなれば、精度を落とさざるを得なくなります。
適当に張られた無垢材は隙間が空いたり、ぶつかり合ったりしてギシギシと鳴ることが多いです。長く使うためにも、価格が高くなることを理解して、余裕のある予算を組みましょう。
木の家の外観や事例
実際に木をたくさん使って建てた住宅の事例を紹介します。
雰囲気や間取りなど参考になるところも多いと思います。ご自身が建てたい木の家のイメージに取り入れてみてください。
吹き抜けのある天然の木を使った家
出典:https://www.sumailab.net/sumairu-ie/works/works14/
天然の美しい無垢材を随所に使った、ペンション風のお住まいです。
LDKを大きな吹き抜けにして、のびのび過ごせる気持ちの良い空間を演出していますね。天井のボードを省略して、高い天井を確保しているのも広さに貢献しています。
天井裏が直接見えるので、目に入る木の面積が増えて温かみのあるイメージを強調しています。
本棚からキッチンカウンターに至るまで木の質感にこだわっており、統一感があってすっきりした印象を受けます。梁や柱を多く見せているのに、雑多な雰囲気がありません。
全面に張られた無垢フローリングは冬温かく、夏はべたつかないため年中裸足で過ごしたくなります。休日に寝転がってうたた寝するのも気持ちよさそうですね。
自由設計の活ける木の家
出典:https://www.yume-h.com/model/detail_5/
リビングの中心を2階まで吹き抜けにし、開放感あふれる明るいリビングが特徴です。冬場は暖炉を点けて、家全体を温めることができそうですね。
木の温もりと相まって、自然で優しい暖房効果が得られるでしょう。
吹き抜けのおかげで、1階と2階でコミュニケーションがとりやすいのもいいですね。ごはんが出来たら2階の子供を呼ぶのも楽ちんです。
フローリングは幅の広い無垢材を使用し、床面積の大きいリビングをさらに広く見せています。年数が経ったときの色の変化も楽しみですね。
はぐくみの木の家
出典:https://はじめての家づくり.com
現代風のモダンデザインに、天井の梁や柱を控えめのアクセントとしたデザインですね。広いLDKの天井を、濃い目の天然木で区切って整然とした印象を与えます。
美しい木目を見せたリビングの無垢フローリングで、子供達が歩き回ったり遊んだりするのも気持ちよさそうですね。対面キッチンで作業するお母さんから、子供達の様子がよく見えて安心です。
構造上外せないリビングの柱も、天井の梁と合わせるとデザインの一環として見えて邪魔に感じませんね。観葉植物を置くいいスペースにもなっています。
木の家を建てるための3つのコツ
木の家を検討するときは、基本的に複数の業者を比較するようにします。住みやすく、イメージ通りに建てるために、比較するポイントを紹介します。
また、木の家を扱う業者は少ないため、イメージ通りの業者を探すのは大変です。業者を効率よく探すコツも紹介しますね。
木の家が得意の家に依頼する
前述したように、木の家を建てるには高度な技術が必要です。依頼先を探すときは、経験豊富な大工さんがいるかよく聞いてみましょう。
木の家は設計にも経験が必要です。洗面所などの水場に普通の無垢材を使用すると、変色や腐食の危険性があります。
このような場所には、水に強い無垢材を使うなど工夫が必要ですよね。木の家を建てた経験が少ない業者は、こうした知識に乏しいため、住んでから不便を感じるケースが多々あります。
業者を探すときは、まず木の家の事例を見せてもらいましょう。年間にどれくらいの家を建てて、そのうち何件が木の家なのかを聞いてみるのも有効です。
価格を比較して業者を決める
木の家を多く建てている業者は、材料の仕入れも多くなるため安く仕入れることができます。価格面でも、木の家の実績が多い業者は有利といえるでしょう。
また一言で木の材料と言っても、材質や産地によって価格は大きく上下します。種類も多く、業者によって使う材料が違うということもよくあります。
いくつかの業者を比較して、価格をくらべると同時に、どのような材料を使うのかもよく吟味しましょう。
価格が安くても、粗悪な材料を使われては本末転倒ですよね。大体の業者は、実際に使う材料のカットサンプルを頼めば用意してくれます。
実物をしっかりチェックすれば、イメージ違いを減らすことができますので安心です。
一括資料請求サービスがおすすめ
インターネットで1件ずつ業者を探して、木の家の施工事例をチェックするのはなかなか大変な作業ですよね?
そこで、一括資料請求サービスがおすすめです。インターネット上で業者の施工事例や雰囲気をチェックして、気になる業者をリストアップできます。
あとはまとめて資料を送ってくれますので、手間がかかりません。
木の家が得意な業者に絞って探すなど、細かく検索できるサービスもあります。効率よく探すことができるため、いい業者に巡り合う確率も高くなりますね。ぜひ利用してください。
まとめ
今回は、木の家について詳しく解説しました。日本の住宅はもともと木をたくさん使うのが普通でした。そのため、日本人に木の家は人気です。
やっぱり木の家の温かみは落ち着きますよね。
効率化が進み、木に触れることが少なくなった現代だからこそ、木の良さが見直されています。興味がある方は、今回の記事を参考にしていろいろと検討してみてください。
木の家を建てる際は、木の家が得意の住宅メーカーで建てることをおすすめします。そのためには、一括資料請求サービスなどを活用して多くの業者の情報を集めましょう。
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