注文住宅も坪単価80万円台のハイクラスになると、大手ハウスメーカーを含めて業者選びに困ることはないでしょう。逆に選択肢が多すぎて困るかも知れませんね。
坪単価80万円台の住宅性能や仕様は、ほぼフルスペックのものとなります。
しかし、単にそれらのグレードを上げただけの坪単価80万円ではつまりません。間取りや内外観のデザイン・コーディネートもハイクラスのものがいいですよね。
つまり、坪単価80万円台の注文住宅を建てるユーザーには、住宅スタイルや生活スタイルに対する明確な考え方を持っておくことが必要になります。
そして、それらを満足させてくれる住宅会社選びが重要になります。
では同じ坪単価でも、大手ハウスメーカーと地域工務店では、どのようなところが違うのでしょうか。
本記事では、坪単価80万円台の注文住宅を延坪別に分類し、価格の返済例と想定される建物概要、そしてハウスメーカーと地域工務店との違いなどを紹介していきます。
これから注文住宅の建設を予定されている方の参考になれば幸いです。
坪単価80万円の坪数別の価格
一般的に注文住宅の平均坪単価は、50〜60万円台のミドルクラスになりますから、坪単価80万円台の注文住宅を購入できる人は、恵まれていると言えるでしょう。
坪単価80万円台のハイクラスになると、住宅に望む内容もグレードの高いものとなります。
このクラスで家を買いたい方は、内外装の仕様や設備のグレードだけでなく、耐震や省エネなどの住宅の基本性能にもこだわりを持っています。
しかし、営業マンの言いなりやお任せにしていると、坪単価80万円台の住宅には見えない結果になることもあります。
では以下から、坪単価80万円台の延坪別の返済例と建物概要を紹介していきます。
なお、返済シミュレーションに際しては、固定金利を1.5%/年、変動金利を0.7%/年(返済期間平均)としています。また、いずれの場合も返済期間は35年とし、ボーナス払いはなしとしています。
25坪の場合2,000万円
金利・種類 | 月の返済額 | 返済総額 |
固定金利(1.5%) | 61,236 | 25,719,333 |
変動金利(0.7%) | 53,704 | 22,555,519 |
金利差額 | 7,532 | 3,163,814 |
坪単価80万円台にもなると、価格に対する基本的に必要な設備費の占める割合は小さくなります。
そして、冒頭で述べたようにグレードの高い設備や内外装の仕上げ、そして住宅性能にもコストをかけられるようになります。
延床面積25坪では、1LDKもしくは2LDKとなりますが、全体の面積が小さいながらも、グレードの高い住宅とすることができます。
30坪の場合2,400万円
金利・種類 | 月の返済額 | 返済総額 |
固定金利(1.5%) | 73,484 | 30,863,159 |
変動金利(0.7%) | 64,444 | 27,066,700 |
金利差額 | 9,040 | 3,796,459 |
この延坪面積になると、和室含みの4LDK、もしくはLDKを広めにとった3LDKが可能になります。
返済例では、標準的な3LDKマンションの賃貸料よりも安くなっています。土地があれば、借りるよりも建てた方がお得ですよね。
35坪の場合2,800万円
金利・種類 | 月の返済額 | 返済総額 |
固定金利(1.5%) | 85,731 | 36,007,093 |
変動金利(0.7%) | 75,185 | 31,577,852 |
金利差額 | 10,546 | 4,429,241 |
この延床面積は、標準家族(夫婦と子供二人)が建てる注文住宅の平均的な広さです。
間取り的には、3LDKか4LDKと上の30坪の時と同様ですが、間取りに個性を表せるようになります。月々の返済額は、まだ賃貸料の範囲内ですね。
40坪の場合3,200万円
金利・種類 | 月の返済額 | 返済総額 |
固定金利(1.5%) | 85,731 | 36,007,093 |
変動金利(0.7%) | 75,185 | 31,577,852 |
金利差額 | 10,546 | 4,429,241 |
かなり個性的な間取りも可能になる延床面積で、二世帯住宅も可能になる規模です。月々の返済額は、標準的なマンションの3LDKとほぼ同等になります。
ただし、マンション仕様に比べて設備仕様は格段に上のクラスを選択することができるでしょう。
45坪の場合3,600万円
金利・種類 | 月の返済額 | 返済総額 |
固定金利(1.5%) | 85,731 | 36,007,093 |
変動金利(0.7%) | 75,185 | 31,577,852 |
金利差額 | 10,546 | 4,429,241 |
この規模と価格帯であれば、キッチンや浴室などを独立させた二世帯住宅も可能になります。
また、部屋数を増やせるだけでなく、インナーテラスや土間、そして趣味のワークスペースなど多様性のある間取りとすることができます。
坪単価80万円の注文住宅の事例
以下に、坪単価80万円台の注文住宅の具体例を紹介していきます。
ここでは、地域の工務店や住宅会社の実例を挙げますが、大手ハウスメーカーにも負けない間取り・デザインのものがありますので参考にしてください。
2,480万円の傾斜地を利用した注文住宅
キューブ形状と窓を上手にバランスさせています。特徴的なのは、2階バルコニーテラスでオープンとプライバシーを両立させています。魅力的なバルコニーですね
本体価格帯 | 2,000万円~2,499万円 |
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本体価格 | 2480万円 |
坪単価 | 82万円 |
延床面積 | 100.68m2 |
敷地面積 | 126.13m2 |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2014年11月 |
この注文住宅は、横浜市の老舗工務店で建てられたものです。同社では、長生き出来る家を目指し、柱と土台に国産檜を採用しています。
背後に迫っている擁壁などの特殊な敷地形状や条件のため、平地に建てる場合よりも割高です。
また、住宅規模に対して、階段が2箇所、デッキバルコニーの階段を含めると3箇所になっているのも坪単価を上げる要因になっています。
内装・イメージ
小屋裏のロフトから見下ろしたリビング。
床のフロア材は無垢材で、坪単価80万円台ではこのような仕様を選ぶことも可能になります。無垢の優しい色合いが魅力ですね。
老舗の工務店らしく、無垢材を採用した手作り感のあるバルコニーテラスが魅力です。ここで子供や家族が集い楽しむ光景が想像できますね。
間取り図
洋室は2部屋に間仕切りが可能なように出入り口ドアが2箇所つけています。
1階から上がった空間は階段室や廊下を設けず、ワンルーム化しています。リビングに続くバルコニー、そして屋根裏に続く吹き抜けとも合わせて、開放的な空間が想像できます。
出典:https://suumo.jp
1階の寝室・個室の採光が少し気になりますが、朝晩だけの利用と割り切り、2階のLDKを最優先した間取りでしょう。
このような特殊形状の敷地に対する間取りは、フリープランでなければ出来ません。
2,200万円の住宅密集地にある注文住宅
敷地の形状や方位などがどれ程影響しているのかが分かりませんが、坪単価80万円台の注文住宅としては物足りない感じがします。
全面道路側の外観は住宅の顔ですから、もう少し窓や外装などでデザイン化した方が良かったのではないでしょうか。
また、全体の造形バランスも坪単価にふさわしい高級感がありません。
本体価格帯 | 2,000万円~2,499万円 |
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本体価格 | 2200万円 |
坪単価 | 82万円 |
延床面積 | 89.42m2 |
敷地面積 | 112.86m2 |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2017年11月 |
この住宅は、東京郊外に本拠地を置き東京都と埼玉県で注文住宅を建設している小規模の会社で建てられたもので、自然素材を同社のテーマとしています。
内装・イメージ
テラスの手すりが目隠しになっていて、カーテンを開放しても近隣からの視線がきになりません。天井付近の窓からの採光でより明るいダイニング・リビングになっています。
2階にLDKを設け、バルコニーテラスと接続させることで相乗効果を出しています。
ダイニング・リビングの延長としてテラスを含めた空間がそれぞれに、数値以上の広さを感じさせます。
間取り図
出典:https://suumo.jp
間取りから、全面道路側(洗面・浴室側)が北でテラス側が南と推測できます。ですから、間取り的には南側を優先した合理的なものでしょう。
1階は3個室を可能としているオープンな間取りで、子供の成長や独立などにフレキスブルに対応できるものです。
また、ロフトの10.5帖は十分な広さがあり、様々な用途が考えられます。
2,990万円:3.75間の西向きパッシブハウス
本体価格帯 | 2,500万円~2,999万円 |
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本体価格 | 2990万円 |
坪単価 | 83万円 |
延床面積 | 119.46m2 |
敷地面積 | 212.00m2 |
工法 | 木造軸組 (木造軸組 (耐震SE構法) ) |
竣工 | 2018年1月 |
この注文住宅は東大阪エリアを中心にしている設計・施工の住宅会社で建設されたもので、会社の規模としては、小規模になります。
外観は、デザインハウスとも言えるもので、造形的な美しさと色使いがおしゃれな建物ですね。坪単価80万円台に負けないデザインです。
内装・イメージ
写真から、リビング上部は吹き抜けいなっていると分かります。スティール製の階段はオーダーメイドでしょう。アクセントになっています。
出典:https://suumo.jp
サニタリールームでしょうか。広いですね。勝手口サッシもホワイトに統一させて清潔感があります。
坪単価80万円のハウスメーカー
住宅の価格を、ロークラス、ミドルクラス、そしてハイクラスに分類した場合、坪単価80万円台はハイクラスになります。
そして、その価格帯の住宅メーカーは大手ハウスメーカーが中心になります。
しかし、上で紹介したように地域の小規模な住宅会社や工務店でも、坪単価にふさわしい住宅性能と品質を提供しているところもあります。
ここでは、比較検討の参考になるようなハウスメーカーとその概要を紹介していきます。
これから坪単価80万円台の注文住宅計画されている方は、地域の住宅会社との比較を含めて参考にしてください。
- ヘーベルハウス
- 住友林業
- パナソニックホームズ:パナホーム
- 三菱地所ホーム
- ミサワホーム
- 三井ホーム
- 大成建設ハウジング
- スウェーデンハウス
以下から上記8社の参考坪単価と各ハウスメーカーの特徴などを紹介していきます。
ヘーベルハウス
ヘーベルハウスで特徴的なのは、鉄骨構造と壁や床の下地に軽量気泡コンクリート(ALC)を採用していることでしょう。
独自の制振装置の開発や実大振動実験などを行い、同社の耐震強度を実証するとともに、ロングライフ住宅を実現しています。
3階建て以上に有利な鉄骨造と耐火・防火に有効なALCの採用で、どちらかと言うと都市部を得意としています。
同社の坪単価は、70〜80万円となっているようです。
住友林業
同社には、ビッグフレーム構法(木質ラーメン構造)、マルチバランス構法(在来軸組構造)、ツーバイフォー構法の商品があります。
柱に105 ✕ 560の大きな部材を使用し、特殊な金物で梁と接合させ、木造でありながらラーメン構造としたものです。
一般的な木造の柱が105 ✕ 105、あるいは120 ✕ 120ですから、まさにビッグフレームですね。良さとしては、ラーメン構造ですから、筋交いなどの耐力壁が不要なことがあり、大開口の窓や空間が可能となります。
同社の全体的な坪単価は、高めで80〜90万円のようですが、住宅産業新聞の調査では全国平均で98万円/坪となっています。
住宅の性能や品質は最高クラスで、品格あるデザインと合わせて大手ハウスメーカーらしいものです。
パナソニックホームズ:パナホーム
同社は良く知られているパナソニックグループの住宅会社です。グループには、住宅建材や住設備を扱っている会社もありますので、住宅に関するノウハウは十分なものを持っています。
構造は、鉄骨構造と在来軸組構造(首都圏のみ)の2種類を持っていますが、主力は鉄骨構造で坪単価は70〜80万円となっています。
三菱地所ホーム
同社の住宅構造は、ツーバイフォーで外周部の枠材のみ6インチ材としています。
住宅性能では、耐震性能や断熱性能で最高等級を標準仕様としており、空調システムでも独自のものを持っています。
同社の坪単価は、70〜80万円台/坪で、住宅性能・品質ともにグレードの高い内容です。
ミサワホーム
日本の南極観測が始まった1956年から観測隊の宿泊施設に採用されており、同社の木質パネル構法には長い歴史があります。
また、現在も観測隊の宿泊施設に採用されていることから、その性能には十分なものがあります。
ミサワホームのもう一つの特徴は、その優れたデザイン性で、29年連続のグッドデザイン賞を受賞していることにも現れています。
パネル構法からスタートしたミサワホーム商品構成は、パネル構法のノウハウを生かしながら、鉄骨構造や在来木造構造も用意されています。
同社の販売平均坪単価は75万円ほどになっていますが、同社の規格・企画型セットプランでは60万円台のものもあります。
三井ホーム
同社住宅の販売平均坪単価は、準規格型のものでは65万円前後が主流のようですが、フリープランでは坪単価が75〜90万円となっています。
三井ホームの注文住宅では、「オーダーメイドの歓び」を全面に打ち出しており、設計やコーディネートにこだわった三井ホームプレミアムブランドも用意されています。
構造的にはツーバイフォー( 2 ✕ 4 )で外周部のみ 2 ✕ 6 材が使用されています。
同社の住宅基本性能は高く、耐震性能や省エネ性能などはいずれも最高等級になっています。
大成建設ハウジング
同社は大手ゼネコン大成建設のグループ会社です。大成建設ハウジングの住宅は「パルコン」で知られており、その構造はコンクリートパネルで建てられています。
そのため、その外観はコンクリート造そのもので、一般的な住宅とは一線を画しています。
以前はパルウッドというツーバイフォー住宅も提供していましたが、現在はパルコンのみで、坪単価は75〜90万円台です。
スウェーデンハウス
同社は、オリコンのユーザー満足度の総合で常に一位を獲得している輸入住宅のハウスメーカーで、坪単価は80〜90万円台のハイクラス住宅です。
北欧の厳しい環境の中で培った、高気密・高断熱の住宅性能はトップクラスのもので、断熱性能(Q値、U値)、気密性能(C値)を一棟一棟実測して引き渡されています。
できるだけ安くしたい!坪単価を抑えるポイント
冒頭で述べたように、坪単価80万円台の注文住宅を購入できる人は恵まれた方で、住宅の選択肢は広くなります。
しかし、「注文住宅でも出来れば安くしたい」と思うのは普通ですよね。そして、そのためにハウスメーカーにするか工務店にするかで悩むこともあるでしょう。
注文住宅を安く建てるいくつかのポイントを紹介していきます。
ハウスメーカーや工務店を比較する
繰り返しになりますが、坪単価80万円台では、どのハウスメーカーも選択することができます。
ですから、比較検討する選択肢も広くなり大変ですが、まずは各ハウスメーカーや工務店の資料を集めるようにしましょう。
そして、それらから構造やデザインなどで、望む住宅スタイルのハウスメーカーを見つけることをおすすめします。
そのためには、望む住宅スタイルや住宅性能など、ユーザー自身の生活スタイルの見直しや、住宅に対する知識も相応に学んでおく必要があります。
ただし、専門的なことではなく、住宅雑誌やWEBなどから得られる範囲で十分です。
一括資料請求サービスを活用する
上で、まずはハウスメーカーや工務店の資料を集めることと述べましたが、そのためには一括資料請求サービスがおすすめです。この一括資料請求サービスは、WEB上で行っており、簡単に請求できます。
実際に資料を請求してみると、以下のような資料が送られてきます。
各ハウスメーカーのパンフレットが送られてくるので、ハウスメーカーの特徴がわかります。カタログを見てから実際に問い合わせする会社を選べるので、とてもおすすめです。
規格・企画住宅を上図に利用する
注文住宅を得意とするハウスメーカーでも、たたき台となる規格・企画住宅を参考プランとしてセットしているところが大半です。それらはパッケージ化されていますので、比較的お得な内容になっています。
ですから、敷地や希望する間取りに合ったプランがあれば、それを利用することがおすすめです。
また、中にはプランの一部を変更することを可能としている場合もありますので、相談してみましょう。
相見積りを取る
希望する住宅スタイルや構造のハウスメーカーの候補が決まったら、必ず相見積りをとるようにしましょう。
相見積りの件数は多ければ多いほどよいのですが、現実的に比較検討できないほどの件数をとっても意味がありません。一概には言えませんが、最大でも5件ほどではないでしょうか。
なお、各ハウスメーカーの見積書書式や項目の表現は異なります。ですから、見積り件数はあるていど絞って、中身を十分に比較検討するようにしましょう。
まとめ
注文住宅でも坪単価80万円台は、ハイクラスになります。
その価格帯の住宅は標準仕様でもハイスペックな住宅性能で、内外装も満足のいくものができます。
一方で、この価格帯では間取りやデザインの選択の幅が増えることから、ハウスメーカーの特色も出やすくなります。
間取りの設計能力、内外観のデザイン・コーディネート能力、そしてセンスなどが希望しているものかどうかが重要な判断基準になります。
したがって、一括資料請求サービスの利用などで、ハウスメーカーや工務店の情報を集め、賢い選択をするようにしましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料