注文住宅というと、何十年もローンを組んで、多額のお金を使って購入することが一般的でした。
しかし、ローコスト住宅の登場により1,000万円台で家を購入できるようになっています。
ここでは、予算1,200万円の注文住宅で家を建てるためのポイントを詳しくご紹介します。坪単価やローン、実際の住宅の例などボリューム満点でご紹介します。
1,200万円の予算で新築住宅の購入を検討されている方、注文住宅の費用を最小限に抑えたい方はぜひ参考にしてください。
1,200万円で家を建てる場合坪単価30万円が目安
一般的にローコスト住宅の建物本体価格は900万円から1,100万円程度までが目安と言われています。
また、施工面積は30坪から40坪が目安になります。このため、30万円から40万円前後がローコスト住宅の坪単価です。
坪単価はメーカーによってかなり差が出るので、坪単価の安い業者を見つけることが1,200万円で家を建てるためのポイントであると言えます。
30坪の場合は900万円
坪単価が30万円で施工可能な業者に依頼ができた場合、目安となるトータルの費用は900万円です。
ローコスト住宅を販売しているメーカーは、坪単価を抑えるために様々な工夫をしています。
大量生産にすることで材料費のコストを抑えたり、シンプルなデザインにすることで施工の手間を抑え、人件費や足場代などを減らしたりしています。
坪単価にこだわることはとても大切なことです。
仮に坪単価35万円の業者に依頼すると、150万円も差が生まれます。なので、30坪の施工面積に対して、900万円の費用を1つの目安に業者選びを行ってください。
40坪の場合は1,200万円
40坪の施工面積に家を建てる場合でも、坪単価30万円が1つの目安となります。
面積が大きくなると、その分坪単価が高くなると思われる方もいらっしゃるかもしれませんがそれは間違いです。
坪単価30万円で施工できる業者は40坪の施工面積でも工事可能です。また、施工面積が大きくなると坪単価が少し違うだけでも大きな価格差となります。
例えば、坪単価が32万円となると、2万円(坪単価の差)×40坪=80万円も費用が高くなります。
ローコスト住宅を建てる場合は、坪単価にこだわって業者比較する必要があるのです。
そのため、40坪の場合、トータルの費用は1,200万円を目安として業者選びをするようにしましょう。
実際は諸費用などが1割かかる
注文住宅を行う際、気をつけなければならないことは建物の本体価格=費用ではないということです。本体価格に加えてさらに諸費用が1割かかるからです。
新築住宅にかかる費用は大きく以下の3つに分類されます。
- 本体工事費(総費用の70%)
→材料、基礎工事、内装、電気水道、設備機器など建物本体にまつわる費用 - 付帯工事費(総費用の15~20%)
→駐車場、庭、フェンス、照明、カーテンなど建物以外に関わる費用 - 諸経費(総費用の10~15%)
→設計、登記、ローンの融資手数料、引っ越し費用など手続きなどにかかる費用
広告やホームページなどで謳われている価格は基本的に本体工事費のみの場合が多いです。
なので、1,200万円と記載のある住宅を購入すると、実際には1,700万円以上かかってしまうことになります。
したがって、総費用を1,200万円にしたい場合、本体価格は840万円です。また、悪いメーカーは本体工事費を付帯工事費へと項目変更する場合もあります。
このため、打ち合わせのときに本体工事費以外にどれくらいの費用がかかるのかきちんと確認するようにしましょう。
1,200万円の住宅ローンの月々の返済額
注文住宅を購入する際に、住宅ローンの借り入れは欠かせません。頭金の有無、金利、返済年数によって月々の返済額は変わってきます。
ここでは、一般的な1,200万円の住宅ローンを借り入れる場合の月々の返済額をご紹介します。
※ボーナス払いなし、元利均等返済で計算しています。
固定金利1.5%
返済期間30年 | 返済期間35年 | |
頭金なし | 41,414円 | 36,742円 |
頭金200万円 | 34,512円 | 30,618円 |
返済期間30年で頭金なしの場合でも、月々の返済額は少し広めのアパートよりも安いです。また、頭金を準備、もしくは返済期間を35年にすると1Rと同等の費用での返済が可能です。
返済期間30年で頭金なしの場合と、返済期間35年で頭金200万を準備する場合で約11,000円の開きが生まれます。
また、頭金ありの場合となしの場合で、差が約6,000円~7,000円となります。
現在、アパートや賃貸マンションに住んでいる場合、支払っている家賃より安い費用でマイホーム購入は十分可能です。
特に頭金が準備できなくとも、節約等を行うことで頭金なしでも十分、ゆとりを持った返済ができます。
変動金利0.7%
返済期間30年 | 返済期間35年 | |
頭金なし | 36,965円 | 32,222円 |
頭金200万円 | 30,804円 | 26,852円 |
どの場合でも固定金利よりも安い月々の返済額での借り入れが可能です。1,000万円の住宅を頭金なしで月々3万円台の返済で購入することができます。
また、返済期間を35年、頭金200万円を支払った場合は1Rのアパートよりも費用が安いです。
ただし、変動金利は金利や返済額が市場の動向により見直されます。
月々の返済額はすぐには変わりませんが、返済額の利息額が占める割合が高くなります。
つまり、元金の割合が減ってしまうということです。
さらに5年後の見直しで金利が下がらなかった場合、月々の返済額が増えてしまう特徴もあります。
引き上げの上限は決まっているものの、契約時に月々の返済額がギリギリの場合は返済が難しくなる恐れがあるので注意してください。
住宅ローンは他のローンと比べて借入期間が非常に長いです。月々の返済額がムリなく返済できる金額になるように調整しましょう。
また、ローン会社によって借入総額や利率などの条件が異なる場合もあります。施工業者同様にローン会社も比較して、少しでもいい条件のローンを組むようにしましょう。
1,000万円の土地がある場合の返済額
建物のみでなく、土地も同時に購入する場合の返済額についてご紹介します。1,200万円の家に1,000万円の土地を購入するケースで月々の返済額をご紹介します。
※ボーナス払いなし、元利均等返済で計算しています。
固定金利1.5%
返済期間30年 | 返済期間35年 | |
頭金なし | 75,926円 | 67,360円 |
頭金200万円 | 69,024円 | 61,236円 |
土地も購入する場合、建物だけを購入するときより返済期間を延ばしても月々の返済額は若干高めになります。
ただし、頭金の額に応じては6万円台まで抑えることが可能です。月々の負担を減らしたい場合、少しでも多くの頭金を準備するようにしましょう。
しかし、頭金200万円の場合でも月々の返済額は約6,000円~7,000円の差となります。
支払い額もアパートとほぼ変わらない額になるので30年~35年の返済期間を設定すると、ゆとりを持った返済が可能と言えます。
変動金利0.7%
返済期間30年 | 返済期間35年 | |
頭金なし | 67,769円 | 59,074円 |
頭金200万円 | 61,609円 | 53,704円 |
固定金利に比べ、どの場合でも8,000円前後、月々の返済額が安くなる特徴があります。
35年ローンを組んだ場合、月々の支払い額が6万円を切ります。賃貸マンションやアパートの家賃よりも安くなるので、返済期間は長いですがムリなく返済できる金額に設定することが可能です。
土地も同時に購入する場合、返済期間を長くすることで月々の返済額を抑えることができます。
収入の見通しと将来設計(子供の人数、車の購入、貯蓄など)をきちんと立てて、ムリのない返済額に調整できるようにしましょう。
また、安い土地が見つかればその分、月々の返済額を抑えることができます。
しかし、いくら土地が安くても狭小地や変形地で坪単価が高くなることもあり得るので、家と土地は同時に、バランスよく探していくことをおすすめします。
1,200万円の新築一戸建ての事例
ローコスト住宅は、メーカーの努力もあって価格以上の仕上がりになる場合もあります。
スタイリッシュで見栄えのいいものや温かみのある雰囲気を演出した内装など、コストパフォーマンスの高い新築住宅もたくさんあります。
そこで、実際に1,200万円の予算で建てられた一戸建ての事例をご紹介します。これからローコスト住宅の購入を考えている方はぜひ参考にしてください。
長期優良住宅仕様1,200万円の約25坪の注文住宅
本体価格帯 | ~1,499万円 |
---|---|
本体価格 | - |
坪単価 | - |
延床面積 | 83.73m2 |
敷地面積 | 100.71m2 |
工法 | 木造軸組 |
竣工 | 2013年8月 |
商品名 | アンティーク調のイイ家 |
部材・設備 | TOYO KITCHEN、LIXIL等 |
1,200万円の予算で建てられたローコスト住宅です。人気の長期優良住宅でありながら、価格を限界まで抑えてあります。
安さにも驚きですが、外観は非常にスタイリッシュでパッと見でこの家が1,200万円には見えないに仕上がりになっています。
安くておしゃれで長く良好な状態を保てるなんて夢のような住宅ですね。
内装・間取り
出典:https://suumo.jp/
木目調のデザインをふんだんに使い、木のぬくもりを感じられる仕上がりになっています。
子ども部屋は柱を極力少なくした設計になっています。
柱がない分、限界までスペースを確保してあるので広々とした空間で子供も遊びやすそうですね。
また、キッチンとダイニングが一体となっており、調理をしながら小さな子供の様子を見られる間取りになっています。
小さなお子さんがいる家庭でも安心できますし、家族での会話も弾みそうな間取りです。
キッチンやダイニングに置く設備も最小限にしてあるため、間取り以上に広さを感じ、ゆったりくつろげる仕上がりになっています。
美容室併用のおしゃれな1,200万円
本体価格帯 | ~1,499万円 |
---|---|
本体価格 | 1200万円 |
坪単価 | 192万円 |
延床面積 | 20.70m2 |
敷地面積 | - |
工法 | 木造軸組 |
延べ床面積が非常に少ない分、1,200万円の低価格で実現したとってもおしゃれな住宅です。
外観のモダンな雰囲気からはこの安さは想像できないですね。
洋風な外観にぴったりの温かみのある照明が高級さを演出しています。価格の安さを工夫でカバーして、安っぽく見えない仕上がりになっています。
内装・間取り
出典:https://suumo.jp/
明るめカラーの木材を使用することにより、内装がとてもスッキリして見えるようになっています。
ダークブラウン調の椅子が非常に映える、おしゃれな内装です。
天井が高く、組み木を見せることで立体的な仕上がりになっているため、とても広く感じることができます。また、大きな窓と小窓により採光もよくなっています。
昼間は外の光でより明るくなり、夜は内装の明るさと外の暗さがコントラストになってとってもおしゃれな雰囲気になりそうですね。
また、洋室を間に挟んで奥にキッチンやリビングを設置しているので、プライベートな部分も守られています。
洋室が防音のためのスペースの役割も果たしていることも特徴です。プライベートゾーンとフロアの距離を取り、壁で遮ることで子どもの騒ぎ声や家族の会話もお客さんに聞かれないように工夫されています。
1,200万円30.25坪のデザイナーズ住宅
工法構造 | 在来軸組工法 |
---|---|
建築面積 | — |
延床面積 | 100m2 / 30.25坪 |
工事期間 | 3ヶ月 |
坪単価 | 42万円 |
本体価格 | 1,270万円 |
建築地 | 千葉県佐倉市 |
限られた土地の広さを最大限生かす箱型の2階建て住宅です。
シンプルな外観ですが、ホワイトとブラックのコントラストが非常にきれいです。外観が箱型の分、道路に面した部分の窓を丸型にすることでよりおしゃれ感を演出しています。
延べ床面積が小さい分、坪単価を上げることが出来ており、1,200万円台という安値でのローコスト住宅を実現しています。
標準仕様書
構造・工法 | 在来軸組工法 及 枠組壁工法 |
---|---|
基礎 | ベタ基礎 |
外壁 | ニチハ、クボタ、パナソニック電工 サイディング貼り(15~16mm) |
屋根 | カラーベストコロニアル葺き |
断熱 | 壁・天井ともグラスウール100mm |
外部建具 | アルミサッシ(トステム、YKK、三協立山) |
ガラス | 1Fペアガラス 2F単板ガラス |
内部建具 | フラットドア(化粧シート貼り) |
内装仕様 床 | 東洋テックス突板フローリング(一部クッションフロア) |
壁 | 標準品ビニールクロス(サンゲツ、リリカラー、ルノン) |
天井 | 標準品ビニールクロス(サンゲツ、リリカラー、ルノン) |
内部設備 キッチン | クリナップ ラクエラ、INAX イスト、ミカド ノテール |
バス | INAX ラ・バス、TOTO サザナ・バスピア 1616UB |
洗面 | ノーリツ シャンピーヌ W750 |
トイレ | TOTO ZCタイプ 一体型ウォシュレットタイプ |
付帯設備 床暖房 | オプション工事 |
小屋裏 | オプション工事 |
空調 | オプション工事 |
外構 | オプション工事 |
照明 | 共有部分のみ、室内照明はオプション工事 |
カーテン | オプション工事 |
その他 特記事項 | 特になし |
以上の本体工事費 | 1,140万円(30坪2階建の場合) |
こだわりのポイント | 子育て世代の夢ある最良の住宅をデザインし、快適・安全安心・収納にもこだわり、最高のコストダウンで土地+建物のセットでご提案。 |
出典:https://www.hng.ne.jp/specific_detail151.html
在来軸組工法と枠組壁工法を組み合わせることにより、双方のいい部分を最大限生かした仕様になっています。床もオールフローリングにせず、一部にクッションフロアを採用したことでコストダウンを実現しています。
また、断熱素材を使用しているため、冬でも暖かな室内環境です。暖房や空調など、こだわりたい部分をオプションにし、それ以外の部分はメーカーの標準仕様を採用しています。
これにより、こだわりたい部分により強いこだわりを持ちながら価格を抑えることに成功した住宅です。
標準仕様の中に必要なオプションを組み込んでいくことで、購入者の生活スタイルに合った快適な空間を提供しています。
まとめ
ローコストで新築を建てる場合、坪単価にこだわって業者選びをすることが大切です。
ローコスト住宅の場合、本体価格が900万円から1,100万円が合格目安なので、坪単価は30万円から40万円に収まるように業者比較を行いましょう。
その際、広告やホームページなどで紹介されている価格は建物本体の価格であることが多いです。
注文住宅を建てるためには、本体工事費(総費用の70%程度)、付帯工事費(総費用の15%~20%)、諸費用(総費用の10%)が必要になります。
そのため、本体価格だけでの坪単価を提示された場合、予算を大きくオーバーしてしまう可能性があります。必ず担当者に確認するようにしましょう。
また、住宅ローンは返済期間によって月々の返済額が大きく変わります。固定金利か変動金利かでもかなり差が出ますし、金利が0.1%違うだけでも支払総額に開きが生まれます。
ローン会社によって借入総額や利率などの条件が違うため、こちらもきちんと比較を行ってよりよい条件で契約するようにしましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料