近年、新築に際しての地鎮祭・上棟式の各儀式は簡略化される傾向にあります。しかし、上棟式を行わない場合でも地鎮祭は重要視され、行われるのが一般的です。
そんな中で、新築着工が迫ってくると、施工会社から地鎮祭をやるかどうかを聞かれることがあります。また、知人や関係会社から、地鎮祭に招待されることもあります。
しかし、何となく聞いたことのある地鎮祭も、その意味や内容を知らないと、不安になるかもしれませんね。
そこで、地鎮祭の全体像を紹介すると共に、その流れや時間・スケジュールを紹介していきましょう。
これから、地鎮祭を行う人、そして参加する人は参考にしてください。
地鎮祭は何時から?開始時間や時間帯
地鎮祭は地の氏神(うじがみ)に土地の利用の許可を願うと共に、家の繁栄を願う祭事です。
ですから、実施日は縁起の良い日が選ばれます。そして、縁起の良い悪いは、暦(こよみ)に記載されている六曜(先勝・友引・先負・・・など)で判断されるのが一般的です。
また、この六曜には、午前・午後で縁起の良し悪しが変わるものがあり、縁起の良い時間帯に行われます。
例えば、先勝なら午前中、友引なら朝・晩、先負なら午後が吉、と言うように六曜によって異なっています。縁起の良い日あるいは良い時間帯であれば、特に問題はありません。
地鎮祭の日取りについては、「地鎮祭・上棟式の日取りはいつがいい?良い日取りの選び方」の記事で詳しく解説しているのでこちらにも目を通しておくようにしましょう。
地鎮祭後に直会(なおらい)をする方は午前中が良い
一方、地鎮祭後に近隣挨拶や直会(なおらい)を予定している場合は、午前中に行う方が効率がよいでしょう。
なお、地鎮祭は神社の出張祭事になりますので、事前に予約すると共に時間の確認もしておきましょう。神社によっては、出張祭事の時間帯を限定しているところもあります。
地鎮祭は30~1時間で終わる
地鎮祭に掛かる時間は、規模によって様々ですが、祭事そのものは30分〜1時間で終わります。
そして、当日の準備に1時間、後片付けには30分ほどですから、合わせても2〜3時間ほどでしょう。なお、地鎮祭に必要な竹や砂などは事前に用意しておくことを勧めます。
地鎮祭の当日の流れ・スケジュール
地鎮祭の規模によっては一部を省略される場合もありますが、地鎮祭の儀式項目には以下のものがあります。
- 修跋の儀(しゅばつのぎ)
- 降神の儀(こうしんのぎ)
- 献饌 (けんせん)
- 祝詞奏上(のりとそうじょう)
- 清祓い(きよはらい)
- 地鎮の儀(じちんのぎ)
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
- 撤饌(てっせん)
- 昇神の儀(しょうじんのぎ)
- 閉式の辞(へいしきのじ)
- 神酒拝戴(しんしゅはいたい)
それでは、順を追ってそれぞれの儀式内容を説明していきましょう。なお、動画もありますので、動画も観ておくようにしてください。
1.修跋の儀(しゅばつのぎ)
出典:http://www.tuboi.co.jp/news/news21031025_01.html
祭壇と参列者の心身を祓い(はらい)浄(きよ)める儀式です。
榊(さかき)に麻や紙垂(しで)を取り付けたもので祓い浄められます。なお、参列者は、頭を下げてお祓いを受けます。
2.降神の儀(こうしんのぎ)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
神をお迎えする儀式です。この間も参列者は、起立し頭を下げておきます。
3.献饌 (けんせん)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
神にお供えする儀式です。お供えには、酒(清酒)、お米、塩、水、海の幸、山の幸、そして果物などがあります。
なお、これらの供え方には決まりがありますので、神職にお任せしましょう。
4.祝詞奏上(のりとそうじょう)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
神の加護を願い斎主(祭事を執り行う神職の人)が祝詞を奏上します。参列者は起立し、頭を深く下げます。
5.清祓い(きよはらい)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
降臨いただいた神の力で、敷地に災いを招く悪霊・邪霊を退散させ、穢(けがれ)を除く儀式です。
清祓は、四方祓いの儀(しほうはらいのぎ)、あるいは切麻散米(きりぬささんまい)と表されることもあります。
御神酒(おみき:お供えした清酒)、米、塩、切木綿(もしくは白紙、切麻)を東北隅、東南隅、西南隅、西北隅の順に撒いてお祓いを行います。
これらは斎主が行いますが、工事責任者(現場管理者など)が補助役として御神酒を撒くのが一般的です。
6.地鎮の儀(じちんのぎ)
これは、「とこしずめのぎ」と呼ばれることもあります。また、鍬入の儀(くわいれのぎ)と表されることもあります。
地鎮の儀のフルコースは、刈初の儀(かりぞめのぎ)、穿初の儀(うがちぞめのぎ)、鎮物埋納の儀(しずめものまいのうのぎ)の3つで成り立っています。
以下に、地鎮の儀に用意するものを含めて、それぞれを説明していきます。
斎砂(いみすな)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
神前の近くに円錐に盛られた砂で、後述の刈初の儀から鎮物埋納の儀までの儀式に用いれられるものです。
この盛り砂の形状は、単に円錐状だけのものや、写真のように鎮物を納める場所を作ったものがあります。また、頂上に草を植えたものが標準ですが、草を植えていないものもあり、地鎮祭の参列者によって異なります。
刈初(かりぞめ)、穿初(うがちぞめ)用具
出典:http://shimotakaido.org/hachiman/shinto/jichin/04_08.htm
左から、斎鎌(いみかま)、斎鍬(いみくわ)、斎鋤(いみすき)と呼びます。
なお、これらをそれぞれ、忌鎌、忌鍬、忌鋤、と表す場合もありますが、斎と忌は同義語で、読み方も同じになります。
刈初の儀(かりぞめのぎ)
出典:https://hamaken.hamazo.tv/e5998306.html
草に手を添えて、斎鎌(いみかま)で刈りとる仕草を3回行い、3回目に草を抜きます。抜いた草は盛り砂の脇におきます。
刈初の儀は、設計事務所が行うのが一般的ですが、建物が設計・施工の場合は省略されます。つまり、その場合は、頂上の草は必要ありません。
穿初の儀(うがちぞめのぎ)
これには、鍬を用いたものと鋤を用いたものがあり、地を掘り・均すと言う意味があります。
鍬入の儀(くわいれのぎ)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
斎鍬で土を掘る仕草を3回行い、3回目に盛り砂の一部を掘ります。これは、施主が担当します。
鋤入の儀(すきいれのぎ)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
斎鋤(いみかま)で盛砂を崩す仕草を3回行います。施工者が担当します。
鎮物埋納之儀(しずめものまいのうのぎ)
出典:http://www.wagaie.jp/blog/?p=30551
鍬入・鋤入で掘った穴に、神職が鎮物を埋めます。斎砂の紹介写真のように予め鎮物を埋める穴を用意している場合は、そこに納められます。
鎮物箱(袋)には、人像、盾、矛、鏡・水玉、刀、長刀の7つが入っており、土地の神を鎮め、建物の完成後に暮らす家族に安寧(あんねい:平和なこと)をもたらすと考えられています。
上記の穿初の儀の鍬入と鋤入れ、そして鎮物埋納の順番は神社によって異なる場合があります。
「鋤で土を掘り、鎮物を納めた後に鍬で土をかぶせ埋める」と言うケースもあるので覚えておきましょう。
7.玉串奉奠(たまぐしほうてん)
出典:https://www.kufs.ac.jp/news/detail.html?id=Xj2YlgYP
玉串とは、榊(さかき)に紙垂(しで)を付けたもので、神に真心を伝える遣い物とされています。神職から受け取った玉串を、作法の則って神前に捧げます。(下図参照)
出典:http://www.sun-ray.co.jp/sougi/s4.html
8.撤饌(てっせん)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
お供えした酒や米などの神饌(しんせん)を取り下げる儀式です。実際には、祭壇から下ろすことはなく、献饌で外したお酒や水の入れ物の蓋を元に戻すだけです。
9.昇神の儀(しょうじんのぎ)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
お迎えした神をお帰しする儀式です。これで地鎮祭の儀式は終わりです。
10.閉式の辞(へいしきのじ)
斎主によって様々ですが、無事に地鎮祭が終了したことを含めて、これからの工事の安全や家の繁栄を願う内容のことを改めてお話されるのが一般的です。
中には、地域の歴史や文化などに触れられる場合もあります。
11.神酒拝戴(しんしゅはいたい)
出典:http://www.c-atlas.co.jp/jitinsai.htm
御神酒の入った瓶子(へいし)を祭壇から下げ、斎主に注いでもらった御神酒を”かわらけ”でいただくことをいいます。
近年では、この御神酒をいただくことで直会を省略するケースも増えてきています。
地鎮祭にかかる時間はどのくらい?
地鎮祭の儀式に掛かる時間は、上でも述べたように30分から1時間程度のものです。
規模が大きい場合、つまり参列者が多い場合は玉串奉奠をする人数が増え、その分時間がかかります。
しかし、その場合でも関係者一同の玉串奉奠は代表者が行いますので、1時間ほどでしょう。
それ以外では、閉式の辞で神職のお話や施主の挨拶などで、多少時間が伸びる可能性はありますが、地鎮祭儀式そのものは数時間も掛かるものではありません。
まとめ
地鎮祭を執り行う日程や時間には決まりはありません。
しかし、祭事をあえて縁起の悪い日や時間に行う必要もありません。無理のない範囲で良い、日・時間とすることをお勧めします。
地鎮祭に要する時間は、30分から1時間ほどで、参列者が多い、つまり玉串奉奠を行う人が多いほど時間を要します。
なお、地鎮祭の準備と後片付けにも時間(1〜2時間)が必要です。特に準備には時間が掛かることもありますから、前日までには使用する用具や材料は用意しておくようにしましょう。
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