大和ハウスが2022年3月に公表した期末決算書によると、同社の戸建て注文住宅の平均売上高は、4,100万円前後となっています。
これは請負金額(建築工事総費用)ですから建築本体工事以外に、地盤改良や屋外給排水などの付帯工事が含まれています。ただし、登記費用や融資手数料などの諸費用は含まれていません。
それを踏まえた上で、諸費用以外の建築工事総予算2,000万円台で大和ハウスの注文住宅を建てることは可能でしょうか。
きびしいのは事実ですが、本記事では諦めるのではなく、その可能性を探ってみたいと思います。
建築本体工事以外に必要な費用を知る
建築本体工事以外に必要な費用にどのようなものがあるのか、またその費用の割合は、について紹介していきます。
新築総費用に対する建築本体工事等の割合
図は大和ハウスのHPで紹介されている新築総費用の割合を表したものですが、一般的に言われているものとほぼ同じ比率となっています。
グラフからも分かるように、建築の本体工事費(オプションを含む)は総費用の7割で、付帯工事費を含めて9割が建築工事の総費用となっています。
仮に、総予算を3,000万円とした場合、建築本体工事にかけられる費用は7割の約2,100万円、そして付帯工事にかけられる費用は2割の約600万円となり、残りの300万円が諸費用となります。
つまり、建築の総工事費の合計は、2,700万円です。そこで、本記事の2,000万円台で建てられる大和ハウスの注文住宅の設定を、この2,700万円として進めていきます。
住宅に必要な付帯工事の種類
グラフで付帯工事の項目が紹介されていますが、もう少し細かく紹介しておきましょう。
付帯工事の種類
- 解体工事:建て替えの場合
- 造成工事:新規に土地を購入した場合などで、擁壁や整地が必要な場合
- 地盤改良(基礎補強工事):地耐力調査の結果で必要な場合
- 屋外給排水工事:建物本体以外の敷地内の工事
- ガス工事:敷地および建物へのガス管引き込み工事
- 電気工事:冷暖房機器・照明器具など
- 外構工事:カーポート、門柱・門扉、造園など
上記の工事は、建替えか新しい土地での新築かどうかで、その有無が決まります。また、その費用の大小は敷地によっても異なります。
なお必要な場合、該当する工事費用は建物の大小や本体価格の大小にはほぼ関係がなく、一定の費用が必要になります。
ですから、総費用が少ないほど付帯工事費の占める割合は大きくなります。しかし、敷地による不確定要素が多いため、ここでは平均的な2割(600万円)としておきます。
では、先に試算した総費用の7割の建築本体工事費2,100万円で建てられる注文住宅が大和ハウスにあるのかどうか、本題に入りましょう。
Lifegenic(ライフジェニック)という選択
LifegenicはWEB専用の規格型鉄骨造注文住宅です。2019年の発表時の価格は、97.72㎡( 29.56坪 )で1,978万円(税込)となっており、坪単価では67万円ほどになります。
この価格は、消費税(10%)が含まれたものですから、他社同様の消費税別にすると、61万円/坪になり、非常にリーズナブルな設定だといえるでしょう。
なお、以前は木造タイプ( LifegenicW )もありましたが、残念ながら2023年4月に販売を終了しています。
ライフジェニックでは、WEB上でのライフスタイル診断を元に、提案される外観デザイン・インテリアデザイン、そしてパッケージ化された内装・設備から選ぶシステムとなっています。
また、こだわり条件のメニューもあり、外観・インテリア、そして間取りを選ぶこともできます。
ユーザーがつくり上げたプランは、3Dでシミュレーションできるだけでなく、概算価格も確認できますので、予算に合わせて調整することもできます。
家族でゲーム感覚でマイホーム設計できる上に、出来上がったプランを大和ハウスのプロに相談することもできますので安心ですね。
ライフジェニックの基本仕様・設備
ライフジェニックの基本仕様を紹介しておきましょう。
エクステリア
- 屋根材一体型の太陽光発電パネル( 3kW )
- 屋根材(彩色スレート瓦)
- 外壁材(サイディング)
- 玄関ドア
- 窓(アルミ樹脂複合サッシ)
インテリア
- 室内ドアとレバー
- シューズボックス
- ドアフォン
- 床(RGシートフロア)
水回り設備
- システムキッチン(L=2550、人造大理石トップ、ガラストップコンロ、食洗機他)
- システムバス(1616サイズ)
- 洗面化粧台(木製枠ミラー付き)
- 温水洗浄便座付きトイレ
- クッションフロア(洗面・トイレの床)
上記はバリエーションの一部で、シミュレーションしながら、好みのスタイル・カラーを選ぶことができます。
太陽光発電システム(3kW)が標準装備、ZEHにも対応
ライフジェニックの大きな特徴は、太陽光発電システム(3kW)が標準装備されていることです。現在の新築では必需品になりつつありますから、嬉しい仕様ですね。
また上で紹介したように、屋根材一体型の太陽光発電パネルを採用していますから、スッキリしたデザインになります。
断熱性能としては、大和ハウスの特徴の一つである充填断熱と外断熱のダブル構造としており、xevoΣと同じ構造です。
その高い断熱性能と太陽光発電システムで、ZEH対応を可能としています。
なお、ZEH仕様とする際には「こどもエコすまい」支援事業の補助金(100万円)の利用がお勧めです。
こどもエコすまい支援事業(国交省)
子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、ZEH住宅に100万円を補助する制度です。
エネルギー吸収型耐力壁(D-NΣQST)が標準装備
ライフジェニックのもう一つの大きな特徴に、エネルギー吸収型耐力壁(制振装置)が標準装備されていることがあり、これもxevoΣと同じで構造です。
耐震性能が最高の3等級だけでなく、制振装置を装備することで、繰り返しの地震でも初期の耐震性能を失わない構造は、住宅の資産価値を減らさない・失わない、これからの必需品と言えるでしょう。
いずれにしても、延べ床面積や選択オプションにもよりますが、大和ハウスのライフジェニックなら、住宅に必要な耐震性能、断熱性能を確保しながら2,100万円前後で建てられることがわかりました。
たとえ、コストを抑えた規格型の住宅でも、これからの住宅に必要な耐震性能や断熱性能・ZEH対応を標準装備している姿勢はさすがです。
諸費用以外を全額ローンとした場合の支払い例
上で述べた諸費用以外の建築総工事算2,700万円を全額ローンとした場合の試算が以下の表になります。参考にしてください。
借入額:2,700万円、借入期間:35年、ボーナス払い:無し |
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借入種別 | フラット35 | フラット35S( 金利B ) | フラット35S( ZEH ) |
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適用金利 | 全期間:1.86% | 〜5年 | 1.61% | 〜5年 | 1.36% |
〜10年 | 1.61% | ||||
6年〜 | 1.86% | 11年〜 | 1.86% | ||
毎月の返済額 | ¥87,513 | 〜5年 | ¥84,132 | 〜5年 | ¥80,836 |
〜10年 | ¥83,692 | ||||
6年〜 | ¥87,069 | 11年〜 | ¥86,159 | ||
年間返済額 | ¥1,050,156 | 〜5年 | ¥1,009,584 | 〜5年 | ¥969,960 |
〜10年 | ¥1,004,304 | ||||
6年〜 | ¥1,044,828 | 11年〜 | ¥1,033,908 | ||
返済総額 | ¥36,755,343 | ¥36,392,853 | ¥35,719,210 |
※表の標準金利(1.86%)は、2023年8月現在の住宅金融支援機構の全額ローンを参考としています。
表の金利Bというのは、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性で、住宅金融支援機構の技術基準に適合したものに適用される金利のことです。
ただし、金利Bの技術基準は、現在のほとんどの新築住宅でクリアしているものですから、不安になる必要はありません。
適用される金利の種別は上記以外に、フラット35S(金利A)、ZEH+長期優良住宅に対応したものもあります。
月々の返済額と返済総額は、フラット35>フラット35S(金利B)>フラット35S(金利A)>フラット35S(ZEH)>フラット35S(ZEH+長期優良住宅)となります。
性能の高い住宅は初期費用としては高くなりますが、金利や補助金で優遇され、結果的にはお得になる仕組みなんですね。
住宅金融支援機構では、現在の金利状況や金利タイプ、そして支払いシミュレーションなどのサービスをおこなっていますので参考にしてください。
住宅金融支援機構:金利・支払いシミュレーション
大和ハウスにこだわる理由
数あるハウスメーカーの中から、そして限られた予算の中で、あえてハイクラスメーカーの大和ハウスを選ぶ理由(メリット)はなんでしょうか。
- 大手ハウスメーカーである安心
- 実績のある安心の構造:耐震構造+制振装置
- 保証とメンテナンス:初期保証30年、最長60年保証
上記は誰でもが知っていることですから、あえて詳細は述べませんが、1955年の創業から住宅を建設し、蓄積してきた技術やノウハウはトップレベルのものです。
また上で紹介したように、コストを抑えた注文住宅でも必要な耐震性能、断熱性能、そしてZEH対応を上位商品と同じ仕様にする企業スタンスも選ばれる理由のひとつでしょう。
一生に一度の高い買い物ですから、できるだけリスクのない選択は当然かもしれません。
規格住宅で自分らしいマイホームにする工夫
限られた予算、そして規格型住宅では一定の制約はありますが、自分らしいマイホームにすることは可能です。
写真はライフジェニックの外観スタイルの一つですが、バランスの取れた外観で、窓のデザインモールがオシャレです。
なお、住宅を魅力的に美しく魅せるアイテムに、外構は欠かせません。写真でも想像できるように、外構の良し悪しで建物のグレード感が大きく異なります。
建物本体では規格型住宅の制約で十分に個性を出せなくても、アプローチや植栽で自分らしいオリジナリティーのある注文住宅とすることが可能なのです。
まとめ
本記事は、「 総予算2,000万円台で大和ハウスの注文住宅は建てられるか 」を主題として述べてきましたが、規格型のライフジェニックなら可能だと結論しました。
確かに、xevoΣやxevoGranWoodに比べると、自由度はありませんが、大和ハウスらしく必要な住宅性能を落とすことなく低価格としているのはさすがです。
もし、予算に余裕があれば、ZEHや長期優良住宅に性能アップすることを勧めます。初期投資の額は増えますが、優遇金利や補助金で長期的にはコストパフォーマンスの高い住宅となります。
ローコストハウスメーカーには、もっと安い規格型商品もありますが、住宅性能を考慮した場合、確実にライフジェニックの方がコストパフォーマンスに優れていると思います。
長寿命化している現在の新築住宅では、可能な限り資産価値を減らさないための住宅基本性能は必要なのです。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
ただ、注文住宅は失敗してしまう方がほとんどです。夢のマイホームで後悔したくないですよね。
※お断り自由・完全無料