ローコスト住宅の基本は、外観・間取りともに形状がシンプルであることです。
一方、ローコストだけを優先して、住空間に余裕や趣(おもむき)のない間取りになっては、生活スタイルもつまらないものになってしまいます。
住生活に便利な機能や家事動線を計画するのはもちろnですが、日々の生活を豊かににしてくれる付加価値などの工夫も必要ですよね。
特に、シンプルな間取りになりやすい規模が小さな住宅ほど、何らかの付加価値空間が必要となります。
本記事では、ローコスト住宅でありながら豊かな生活スタイルや趣のある生活が送れそうな住宅を、間取り別、そして延床面積別に紹介していきます。
これから新築を計画している方が、それぞれの家族構成や生活スタイルに合わせて、どのようなローコスト住宅とするかの参考にしてください。
ローコスト住宅の間取り
ローコスト住宅の間取りプランをご紹介していきます。
間取り数からみる参考プラン
1LDKタイプ:延床面積=45.0㎡(13.61坪)
出典:https://www.mitate-logic.net/lineup/chiisana_hiraya.html
上のプランでは、LDKと寝室をワンルーム化しています。LDKからの直接的な視線を遮る最小限の壁だけを残し、出入り口のドアもありません。
それでも、夫婦二人だけの生活ですから、特に問題はないでしょう。非常に合理的で、スマートな間取りです。
気になる点は、収納スペースがほとんどないことです。北側のカウンター下部が物入れになっているのかもしれませんが、圧倒的に少ないですね。
リビング側と寝室側に配置されたウッドデッキは、コストアップの要因になるものです。
しかし、シンプルな1LDKの生活空間に、ゆとりとバリエーションを与えてくれる付加価値空間でもあります。
延床面積45㎡(13.61坪)の非常に小さな住宅です。
ただ、印象としては合理的な考え方の中にも余裕があり、個性的な生活スタイルを感じさせます。
したがって、万人向けではないかもしれませんが、とても参考になるヒントが数多くあるプランです。いいところを参考にしてください。
2LDKタイプ:延床面積:81.98㎡(24.79坪)
出典:https://searshome.co.jp/plan/hiraya/hiraya0001/
ごくオーソドックスな間取りですが、よく整理されている2LDKです。水回りを1箇所にまとめ、給排水工事の範囲をコンパクトにまとめるローコスト住宅の基本を抑えています。
間取りから想定される家族数は2~3人ですが、キッチンを含めたLDKの広さ20帖は、4人家族でも十分なものです。
個室の収納は十分ですが、パブリック部分に物入れなどの収納スペースがないのが気になります。和室の収納(CL)の一部を玄関ホール側からの使い勝手にすれば解決します。
3LDK/平屋タイプ:延床面積:76.85㎡(23.24坪)
出典:https://www.dh-shimane.com/madori/3ldk/
これくらいの間取りになると、平屋で建てるか2階建てにするかで迷うかもしれませんね。まずは、平屋の場合で紹介しましょう。
このプランで参考となるローコストの要素は、外回りの凹凸を最小限にし、内部間仕切りも通りを揃えていると言うことです。
また、子供室も始めから分割するのではなく、成長に合わせて対応可能とし、初期コストを抑えています。
外回りの凹凸を減らすと外壁面積が最小限になるばかりでなく、屋根もシンプルな形状とすることができます。
また、間仕切りの通りを揃えると壁クロスの面積が減るだけでなく、仕事(施工)の伸びもよくなり、結果的にローコストとすることができるのです。
その他で特徴的なのが、廊下がなく非常に無駄のない効率の良い間取りとなっていることです。階段の必要がない平屋の特性が生かされています。
3LDK/2階建てタイプ:延床面積:131.00㎡(39.62坪)
出典:https://www.tamahome.jp/products/lineup/kirei/kirei/
同じ3LDKを2階建てにした場合の間取りで、標準家族構成(夫婦+子供2人)では、もっとも採用例の多いタイプになります。
このプランの最大の魅力は、合わせて25.2帖と言う広さのLDKです。
そして、ダイニングとリビングとの境界にあるカウンターやリビング内に配置された階段に、生活スタイルを感じます。
なお、このプランでも外周の凹凸を最小限にして総2階建てとしています。
また、1階の水回りを1箇所にまとめ、2階のトイレを1階水回り上部に配置するなどのローコスト化を図っています。
4LDKタイプ:延床面積:120.89㎡(36.57坪)
出典:https://actus-labo.com/kodate-plan/kodate0003/
これくらいの間取り数になると、一般的には2階建てになります。
延床面積の120㎡は最もポピュラーな規模で、各ハウスメーカーでも規格住宅として数多くの参考プランを用意しています。
つまり、ローコスト化しやすい規模ともいえるのです。
個室数が増えると、廊下や通路などの面積が増えがちですが、このプランでは最小限にする工夫があります。
1つ目が、階段の登り口をリビング内に配置し、通路部分もリビング面積に取り込んでいることです。
2つ目は、洗面所などの水回りを利用する際の通路もLDKに取り込んでいることで、非常に効率のよい間取り設計となっています。
なお、2階のバルコニーは、通路用途だけになりがちな階段ホールに多目的空間としての付加価値を与えています。
このホールとバルコニーであれば、生活のワンシーンを演出することができるでしょう。
延坪からみる参考間取り
20坪タイプ:延床面積:60.45㎡(18.28坪)
出典:http://www.m-minoya.com/madori.html
上で紹介した1LDKに比べて5坪ほど大きくなっていますが、大きな違いは適度に収納スペースを確保しているところです。
夫婦二人が暮らす一般的な生活スタイルの場合は、これくらいの規模が必要になります。
25坪/平屋タイプ:延床面積:84.46㎡(25.55坪)
出典:https://eco-sys.co.jp/apart-from-size/
このくらいの規模までは、2階建てよりも平屋の方が廊下の少ない効率の良い間取りとすることができます。
各個室は比較的小さめですが、3LDKを可能としており、収納スペースも揃っています。
また、狭い中にもキッチン後ろには家事スペースと思われるカウンター付きの部屋があり、家事作業に配慮したプランですね。
外回りの凹凸は玄関のみで、間仕切りの通りも揃っており、ローコスト住宅の基本は抑えられています。
25坪/2階建てタイプ:延床面積:85.29㎡(25.79坪)
出典:https://870house.jp/plan/25.php#prettyPhoto
2 階の洋室を間仕切れば3LDKとなる間取りが延床面積25.79坪ですから、よくまとまっていると言えるでしょう。収納スペースも適度に配置されており、過不足のないものです。
家族数を4人とすると、LDKの15.5帖は少し狭いかもしれません。
しかし、2階建ての3LDKを25坪台でまとめているこのプランは、十分にローコスト住宅と言えるでしょう。
30坪タイプ:延床面積:99.36㎡(30.05坪)
出典:https://www.u-casa.jp/e120.html
延床面積30坪で3LDKの間取りは、建売住宅に多いタイプです。
十分な広さとは言えませんが、玄関のウォークイン収納土間、リビングのタタミコーナー、9帖主寝室のWICと書斎コーナーと、付加価値要素が盛り沢山です。
それらの付加価値要素と各個室の広さにメリハリをつけているのが、このプランの特徴です。
バルコニーの長さは十分ですが、奥行きがもう少しあれば、付加価値のある外部空間としても活用できます。
現状では、エアコンの室外機置き場が主用途で、もったいない感じですね。
35坪タイプ:延床面積:114.00㎡(34.48坪)
出典:https://www.tamahome.jp/products/lineup/kirei/kirei/
先の30坪プランとほぼ同様の内容ですが、2階各個室の広さが少し大きめになっており、全体に窮屈感がありません。
また、2階にもトイレを配置しており、現実的です。現代の住宅では、ローコスト住宅でも各階のトイレは必須でしょう。
このプランは上の30坪タイプに比べて4.5坪ほど大きくなっていますが、間取り的にはそれ以上のゆったり感があります。
理由としては、シューズクロークを最小限の大きさにしていることやタタミコーナーを設けていないことなどがあります。
日々の生活を豊かにしてくれる付加価値は重要ですが、それらに必要な面積を取りすぎて、実生活を窮屈にしてしまっては本末転倒です。
外観や間取りにローコスト住宅の考え方を取り入れても、付加価値要素を付け加え過ぎると、高額になるばかりでなく、まとまりのないプランになる恐れもあります。コンセプトをしっかり練り、的を絞った付加価値の選択としましょう。
ローコスト住宅の間取りのコツ
上で紹介した間取り別と延床面積別のローコスト住宅には、共通する点がいくつかありました。
また、ローコスト住宅だからと住空間の豊かさや趣向を諦めることはないとも説明しました。それらを改めて整理してみましょう。
コストを抑えつつも住みやすい間取りにするために
外回りをシンプルな形状とし、間仕切りの通りを揃える
建物外周部の凹凸を最小限にすることで、仮設足場や外壁面積を最小限にすることができます。さらに、屋根形状もシンプルにすることができるため、ローコスト化が図れます。
間仕切りの通りを揃えると、壁面積を最小限にすることができます。また、壁面が揃っていることで仕事がしやすくなります。
つまり、仕事の伸びがよくなり、結果的にコストを抑えることができるのです。
なお、外回りの凹凸が少なく間仕切りの通りが揃っていると、余分な構造材も不要になります。
そして、構造的に効率の良い設計が可能になると共に、構造耐力が向上する良さもあります。
水回りをまとめて配置する
水回りを1箇所にまとめることで、給排水管を短くすることができます。少なくとも、トイレ・洗面・浴室は1箇所にまとめるようにしてください。
なお、2階にトイレなどの水回り設備を設ける時は、1階の水回り設備と重なるような上下位置にすることもローコストにつながります。
ホール・廊下の面積を減らす
延床面積に対する居室面積の割合を上げ、実質的な床面積のコストパフォーマンスを上げることもローコスト住宅にするコツです。
そのためには、ホールや廊下の面積を出来るだけ少なくする工夫が必要になります。
例えば、階段を玄関ホールに配置するのではなく、LDKと一体にすると、階段に至るまでの通路部分もLDK空間となります。
さらに、LDK内に階段を設けることで、家族の移動が把握でき、コミュニケーションが取りやすくなる良さもあります。
必要最低限の収納スペースを確保する
住宅の規模に関わらず、最低限の収納スペースは必要です。たとえば、掃除機などの家事作業道具、あるいは古雑誌などの仮置場など、居住空間からは隠しておきたいものがあります。
つまり、収納スペースの役割には、見せたくないものを隠すと言う役割もあるのです。
どのくらいの収納スペースが必要かは、日々の生活をシミュレーションしてみれば推測できますので、忘れないようにしてください。
生活スタイルに豊かさやバリエーションを感じさせる工夫をする
どのような規模の住宅でも、物理的な機能一辺倒だけでは、満足出来る豊かな生活スタイルは送れません。
日々の生活を彩る、あるいはバリエーションを与えてくれる何らかの装置が必要なのです。
その装置は、ウッドデッキやテラスであったり、バルコニーあるいは吹き抜けであったりするかもしれません。
いずれにしても、例えローコスト住宅であっても、何らかの形で生活スタイルに適した装置(工夫)を付け加えるようにしてください。
それがローコスト住宅の価値を上げるコツでもあるのです。
複数の業者のプランを比較する
ローコスト住宅と聞くと、ローコストハウスメーカーの独壇場と思われがちですが、意外とそうでもありません。
もちろん、坪単価ではローコストハウスメーカーの方が有利ですが、提案内容や住空間の有効性などから、安いと感じるその他のハウスメーカーもあります。
逆の見方をすると、ローコストハウスメーカーの提案でもその内容によっては、コストパフォーマンスの低い、つまり高いと感じる商品もあるのです。
ですから、新築する際にはローコストハウスメーカーを含めていくつかの業者にプランニング依頼して、実質的なコストパフォーマンスの高いプランを選ぶようにしましょう。
資料請求サービスでローコスト住宅メーカーの情報を集める
プランニング依頼するためには、業者選びをしなければなりません。また、ローコスト住宅の情報も集めなければなりません。
それらを個人で集めるには大変なエネルギーが必要で、要領を得ないと的確に選べないばかりか相応に時間もかかってしまいます。
ですから、ローコスト住宅を新築する際の業者選びには、無料の一括資料請求サービスの利用がおすすめです。
建設地や希望する間取り、そして建設予算などの情報を提供すると、それに対応できる業者をいくつも紹介してくれます。
この無料サービスを上手に利用して、納得のいくローコスト住宅を提案してくれる業者を選びましょう。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
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