家の建て替え

旗竿地の建て替え費用は高い?かかる費用や旗竿地で失敗しないためには

旗竿地建て替え

住宅が密集している都市部などでは、特殊な敷地に家を建てている家庭も多いです。その特殊な敷地のひとつが今回ご紹介する旗竿地になります。

旗竿地は土地を効率的に利用する方法としてはおすすめですが、解体工事や建設工事を伴う建て替えにおいては費用が割高になりやすいのがデメリットです。

では、なぜ旗竿地の建て替えは費用が高くなるのか?

そして旗竿地の建て替えにかかる費用相場はどれくらいなのか。

今回はこの2つの疑問を中心に、旗竿地の建て替えに関するお役立ち情報を解説します。

旗竿地は家を建て替える費用が高くなる理由

まずは旗竿地の建て替え費用が高くなりやすい理由から解説します。

作業しにくいため解体工事が割高になる

旗竿地とは、文字通り旗のついた竿のように見える土地のことを指します。以下の図をご覧ください。

旗竿地

ご覧のように「隣の敷地」と示してある土地は公道に面していますが、旗竿地は道路から細長い通路が設けられており、その奥に敷地があります。

不動産業界では「敷地延長」とも呼ばれている旗竿地ですが、このような特徴を持つ敷地での建て替えは解体時の費用が高くなります。

解体費用が高くなる主な要因としては、重機が自由に使用できないなどです。

前述のように旗竿地は細長い通路の奥にあることが多いです。そのため、大型の重機が土地の中に入れない可能性が高くなります。

重機が使用できないとなると、解体はほぼ手作業で行わなければなりません。その結果、解体に必要な作業員の数も多くなりますので、人件費が高騰することになります。

旗竿地の条件によっては建て替えができない

旗竿地の建て替えは費用が高くなるのもデメリットですが、条件によっては家の建て替えそのものが不可能な場合も。

これを「再構築不可物件」といいます。

建て替え出来ない再建築不可物件とは

再構築不可物件とは、その言葉のとおり更地にしたあとに新しい建物を建てられない物件(土地)のことを指します。

では、なぜ再構築不可の物件が出てきてしまうのでしょうか?

隣接している道路が2m以下だと建て替えできない恐れ

再構築不可の物件が存在するのは、建築基準法で規定された条件を満たしていないためです。

建築基準法とは、人が安心、安全に暮らせるように、建物や土地に対してさまざまなルールを定めた法律のことです。

この法律には家の床面積や建物面積の上限など、非常に多くの規定が定められており、そのうちのひとつに「接道義務」があります。

接道義務とは以下のようなルール、義務のことを指します。

建築基準法第43条

第1項 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

第2項 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。

その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの →認定制度

【引用元】東京都都市整備局「建築基準法第43条第2項に基づく認定・許可の取扱い」

上記は簡単に説明すると、家を建てる敷地は道路に2m以上接していなければならないということです。

旗竿地建て替え不可

また、建築基準法が定める道路とは「幅員4m以上」のことを指します。

つまり道路の幅が3.5mで、道路に接している敷地(通路)が1.5mなどの場合は、法律によって建て替え工事を行うのは不可ということです。

ちなみに建築基準法が制定されたのは1950年であり、それ以前に建てられた古い物件や土地は現行の規定に満たしていないことも多いです。

ただし敷地の接道義務があるのは、都市計画が定められた区域が中心であり、その他の地域では適用されない可能性もあります(役所との協議が必要なケース、条例によってルールが設けられている場合もあり)

そのため、現在旗竿地での建て替えを検討している方は、一度住宅会社や工務店などの専門家に相談することをおすすめします。

旗竿地を建て替える費用

ここからは旗竿地の建て替えにおいて発生する費用の相場をご紹介します。

旗竿地建て替えで必要になる主な費用は、

建て替えにかかる費用
  • 解体費用
  • 引っ越し費用
  • 仮住まいの費用

です。

それでは、順番にいくらぐらいかかるのかご紹介していきましょう。

解体費用は1坪3~4万円

家建て替え解体
構造 坪単価
木造住宅 3~4万円
鉄骨造 4~5万円
鉄筋コンクリート造 6~7万円

家の解体にかかる費用は一般的に1坪3~4万円です。つまり30坪の住宅であれば90万円~120万円ほどの費用が発生するということです。

ただし、これはあくまでも目安であり、実際の費用は家の構造(木造、鉄骨造、RC造)などによって異なります。

最も解体費用が安く収まるのが木造住宅であり、次いで鉄骨造(約4万円~5万円)、RC造(5万円~6万円)の順に高くなっていく傾向があります。

前述のように旗竿地は解体にかかる労力が通常より大きいため、場合によっては相場の2倍~3倍ほどの費用がかかる可能性も。

後々、請求される解体費用で驚かないように事前に担当者にしっかりと確認しておくようにしましょう。

引っ越し費用約20~30万円

家建て替え引っ越し費用
家族
家族 2人 家族 3人 家族 4人 家族 5人以上
~15km未満
(市区町村内)
平均80,527 平均93,593 平均116,398 平均138,115
~50km未満
(都道府県内)
平均81,822 平均103,078 平均114,283 平均122,071
~200km未満
(同一地方内)
平均105,918 平均138,112 平均151,298 平均120,111
~500km未満
(近隣地方)
平均114,905 平均177,000 平均183,241 平均318,571
500km~
(長距離)
平均148,949 平均185,867 平均205,932 平均257,122

出典:価格ドットコム

家の建て替えは工事の期間中、仮住まいの家に移る必要があります。この仮住まいへの引っ越しにかかる費用も捻出しなければなりません。

引っ越しは荷物の量や仮住まいの家までの距離が短い場合は、自力で行うこともありますが、2人以上の家族になると業者に依頼する方が圧倒的に多くなります。

引っ越し業者の料金は、荷物の量や引っ越し先までの距離によって大きく変動します

価格表のように建て替え地から距離が離れたり、家族の人数が多かったりするほど料金も高くなる傾向にあるので、注意しましょう。

家族2人以上の世帯であれば、8万円~20万円ほどを見積もっておくとよいでしょう。ちなみに引っ越し業者の中には「建替パック」と呼ばれるプランを提供する業者もあります。

このプランは仮住まいの家への引っ越し作業以外にも、荷物の一時預かりや新居への荷物輸送などがセットで含まれているという内容。

業者やプラン内容にもよりますが、通常の引っ越しプランよりも料金が安くなる可能性もあります。

旗竿地の建て替え費用は相場より高くなるため、少しでも料金を節約したい方は担当者に詳細を確認するのもよいでしょう。

仮住まいの費用

家建て替え仮住まい
項目 費用
仮住まい家賃 8万円 × 8カ月分 = 64万円
敷金 8万円 × 2カ月分 = 16万円
礼金 8万円 × 1カ月分 = 8万円
総額 88万円

ご覧のように、家賃8万円の家に8ヶ月間住むと合計で約90万円ほどの費用が発生します。

もちろんこれはあくまでも一例であり、家賃や敷金、礼金が抑えられた都市部以外の物件などであれば、仮住まいの費用は節約することができます。

旗竿地の建て替えの注意点

旗竿地の建て替えは解体費用が高くなる恐れがありますが、この他にもいくつか注意しておかなければならないポイントがあります。

ここでは、旗竿地の建て替えで知っておきたい注意点をまとめましたのでご覧ください。

旗竿地は家の建設費も割高になる恐れがある

旗竿地の建て替えは、解体費用とともに建設費が割高になることも考慮しておかなければなりません。前述のように旗竿地は大型の重機が入りづらいです。

と、いうことは建築に使う資材を運ぶユニックや地盤改良工事などで使用する油圧ショベルやミキサー車も入れない可能性があります。

このようなケースでは人力に頼らざるを得ない場面も増えるため、人件費などが高くつきやすいです。

また、道路や電柱から遠くなることが多い旗竿地は電気、ガス、水道の引き込み工事にかかる費用も高くなる傾向にあります。

同じ建て替えプランでも一般的な土地と比較した場合、その差額はときに100万円単位になることもあります。

これら複数の要因から旗竿地での建て替えを行う場合は、事前に必ず費用に関する詳細や内訳を確認しておくようにしましょう。

解体と建設を1つの業者に依頼する

建て替えはまっさらな土地に新築するのと違って、解体と建設の2つの作業が発生します。

解体工事、建設工事は別々の業者が行うこともありますが、費用が高くなる旗竿地での建て替えは解体、建設ともに1つの業者に依頼することをおすすめします。

主な理由としては解体工事、建設工事を1つの業者に依頼すると割引が適用される可能性が高いからです。

いわゆるセット価格のようなものであり、これらの割引を上手に利用すれば、旗竿地の建て替え費用を節約することができます。

順序としては建設を依頼する業者を選び、その後解体工事もセットでお願いしたい旨を伝えるのがよいでしょう。

業者をよく比較して安い業者に依頼する

注文住宅相見積もり

旗竿地の建て替えを行う際はできるだけ安く、そして信頼度の高い業者に依頼することが大切です。

まず、費用に関しては何度もご紹介しているように、旗竿地のような特殊な土地での建て替えは割高になります。

そのため、解体や建設に伴う費用を少しでも抑えるために、安い業者探しに時間をかけてみましょう。

また、単に工事費用が安いというだけではなく、建て替えや注文住宅などの建築実績を持つ業者か否かも確認しておくことが大切。

現在は、施工業者の相見積もりサービスなどを提供するWEBサイトも多いため、これらを利用して比較を行うのもおすすめです。

もちろん十分な時間が確保できる方は1社、1社自分で業者に連絡しながら見積もりを依頼することもできます。

まとめ

今回は旗竿地の建て替え費用に関する情報をご紹介しました。

旗竿地は十分な幅が確保された道路から奥まった場所に位置するため、建て替え工事(解体、建設)の手間や費用がかかりやすいというデメリットがあります。

また、場合によっては旗竿地での建て替えが認められないことも考慮しておかなければなりません。

そのため、旗竿地での建て替えを検討している方は、一度施工業者に建て替え可能か否かを確認してみましょう。

もちろん費用が高くなる傾向にある旗竿地の建て替え工事は、安いかつ実績がある業者に依頼することも忘れないでください。

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