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近年、大手のハウスメーカーが和風住宅をラインナップするなど、日本家屋の良さが見直されています。
木や自然素材を使った美しい家は、見ていてどこかほっとするものです。しかし、最近の住宅はほとんどが洋風化し、日本家屋の着工数は多くありません。
しかし日本人ですから、日本家屋には憧れますよね。
そこで今回は、日本家屋が持つ魅力やメリットを詳しく解説します。建てる際に注意すべきポイントも紹介しますので、参考にしてみてください。
日本家屋とは
日本家屋とは、日本の昔ながらの家のことです。よく江戸時代などに出てくるような家が日本家屋になります。
ただ単に和風の家というよりも、「古い家」のことです。和風住宅と勘違いしやすいですが、日本家屋はそれよりも古いものになります。
とはいえ、具体的に日本家屋についてわからない方もいますよね。次項では、そのような方のために日本家屋についてご紹介していきます。
部屋と部屋が連続する大きな間取り
日本家屋を思い浮かべると、ほとんどの方が最初に想像するのは独特の間取りではないでしょうか。
隣り合った部屋を襖(ふすま)で簡易的に区切り、襖を外せば大広間になるのが日本家屋の間取りです。このような間取りは欧米建築には見られない、日本家屋ならではの特徴ですよね。
この間取りができたのは江戸時代で、結婚や葬儀などで親戚友人が大勢集まることを想定して作られています。
またお城など、政治的な行事で大勢が集まる場所も同じような間取りで作られています。大河ドラマなどで、広い日本間のシーンをよく見かけますよね。
おしゃれな目隠し格子戸
玄関や掃き出し窓など、大きな開口部には格子戸がよく用いられます。適度に視線を遮り、柔らかい自然光を取り込むことができます。
カーテンとは違った雰囲気で、和風の雰囲気を感じられるポイントですね。
四季の変化を常に楽しめるのも大きなメリットです。庭木の様子や天気の様子など、日常の何気ない変化を楽しむのが日本家屋の住み方と言えます。
日本家屋といえば、縁側
忘れてはいけない日本家屋の定番と言えば「縁側」でしょう。蚊取り線香を置いて涼む光景は、夏の風物詩として様々な作品で用いられていますよね。
農家の暮らしでは、住民同士がお茶を飲みながら世間話をするコミュニティスペースの役割も果たしていました。
靴を脱いで家に上がることなく、気軽に腰かけて一休みできる休憩スペースとしても活躍します。
様々な役割を持つ縁側は、外観イメージでも日本家屋の大きな特徴となっています。家の中と外をつなぐ橋渡しとして、お客さんを招く明るい家のイメージがありますね。
日本家屋の土間
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土足厳禁の日本家屋において、室内でありながら靴のまま歩き回る特殊な空間です。
床面は、土や三和土(たたき)と呼ばれる赤土や消石灰などを混ぜた硬い素材がよく用いられます。土間のことを三和土と呼ぶのを聞いたことがあるかもしれませんね。
土間は玄関口としてだけでなく、様々な役割を持ちます。
農家の方が靴を履いたまま台所に野菜を運ぶのに便利ですし、作業の合間にちょっと休むこともできますね。従業員のみんなや近所の方と食事をとる空間としても利用されます。
前述したように、冠婚葬祭で大勢の人が集まった時に、たくさんの履物を並べることもできます。
もし、現代の玄関だったら靴があふれてしまいますよね。昔の日本の暮らしに適した、独自の作りと言えるでしょう。
日本家屋の外観・デザイン
日本家屋の外観で、一番強い印象を与えるのは日本瓦ではないでしょうか?土を焼き上げて作る日本瓦は耐久性が高く、現代でも変わらない製法で用いられています。
一面に並べられた美しい瓦は、「これぞ日本家屋」という雰囲気が出ますよね。
壁面には漆喰塗りと、鎧張りと呼ばれる木の板を重ねた工法が用いられます。白く美しい漆喰は、お城の外壁にも多用される日本の伝統的な工法です。
日本人なら、どこかで見かけたことがありますよね?鎧張りには杉板がよく使われ、時が経つごとに濃く変化していく自然の木目を楽しむことができます。
日本家屋の坪庭
家の中心に作られる、坪庭と呼ばれる小さな庭が多くみられるのも日本家屋の特徴ですね。坪庭には2つの役割があります。
光を取り込んで風通しを良くする
1つ目は機能的な役割で、採光と通気をよくする働きです。先に述べた通り、日本家屋の間取りは連続した大部屋になっているため、家の中心に十分な光が届きません。
そこで坪庭を設けて、その周りに部屋を配置すれば採光を確保できます。風の通り道にもなるので、高温多湿な日本の夏も気持ちよく過ごすことができますね。
景観が良くなる
2つ目の役割は、景観をよくするという働きです。下草や庭木を植えて、家の中からでも四季の移ろいを感じるスペースになります。
また、江戸時代の都市部では住宅が密集して、十分な広さの庭を確保できませんでした。プライバシーが確保された坪庭が好んで作られ、盆栽を飾って楽しむスペースとして活用されました。
日本家屋のメリット
古くから日本の暮らしとともに継承されてきた日本家屋には、さまざまなメリットがあります。私たちの暮らしにどのような利点があるのか、1つずつ見ていきましょう。
- どの部屋も外に面している
- 襖を開ければ広い部屋になる
- 縁側から見る庭が素敵
日本家屋には、このようなメリットがあります。日本人のライフスタイルに合っているので、魅力ときちんと理解しておきましょう。
どの部屋も外に面している
建物の外周に廊下が配置される日本家屋の間取りは、ほとんどの部屋が外に繋がっています。
どの部屋も開口部が大きく、太陽の光がたっぷり入ってきます。室内が明るく、冬でもポカポカして温かいのが大きなメリットですね。
すべての開口部を開ければ風通しがとてもよく、初夏ごろは冷房を使わなくても快適に過ごせそうです。
換気がよいので、カビやダニといった有害物質が発生しづらく、シックハウス症候群などが発生しにくいのも特徴です。小さな子供が居る家庭でも安心し過ごせますね。
襖を開ければ広い部屋になる
襖の開け閉めで部屋の広さを変えることができるのは、日本間の大きなメリットです。
普段は6畳の2部屋、親戚が集まるときは襖を開けて12畳の大広間にするなど臨機応変な対応が可能です。昼間は居間として使って、夜は襖を閉めて寝室など、いろいろな使いかたができますね。
現代住宅では夕飯後はそれぞれ部屋に引き上げてしまい、家族のコミュニケーションが乏しいケースがよく見られます。
居間の襖を開けて広く使い、サザエさんのような一家団らんがしやすいのもメリットですね。
縁側から見る庭が素敵
日本の庭は眺めて楽しむのが基本です。走り回ったり、寝転がったりする西洋式の庭とは違う独特の雰囲気がありますね。
楓(かえで)や椿(つばき)などの季節によって姿を変える木が好まれ、四季折々の景色が楽しめるのが特徴です。
楓(かえで)
椿(つばき)
縁側に腰かけて庭を眺めながら日向ぼっこをしたり、夜に晩酌をしたり、いろいろな楽しみ方があります。
縁側に座りながらスイカを食べたり、花火を見たりするのは憧れますよね。
日本家屋のデメリット
独特の構造からメリットが多い日本家屋ですが、デメリットも存在します。注意しなければいけないポイントを押さえて、しっかりと対策をしましょう。
- 広い敷地が必要
- 建設費用が高くなる
- 断熱性や保温性がない
それでは、順番にご紹介していきますね。しっかり、デメリットについても理解しておきましょう。
広い敷地が必要
日本家屋独特の外に面した大きな開口部や、大広間の間取りは柱や耐力壁が配置しづらい構造です。そのため、2階建て住宅にはあまり向いていません。
平屋で設計する必要があるので、2階建てと同じ床面積を確保するには広い敷地を用意する必要があります。
土地取得費用が高くなるだけでなく、広い土地は確保が難しいというデメリットもあります。現代の住宅は2階建てがほとんどですよね。
そのため不動産業者は広い土地を仕入れて、小さく区画分けしてから販売するケースが多くなっています。広い土地は出回ることが少ないため、希望の条件に合った土地を探すのは時間がかかると考えておきましょう。
同時に何区画か売り出されている場合は、2区画まとめて購入できる場合もあります。あきらめずに不動産業者に相談してみましょう。
建設費用が高くなる
現在日本で建てられているほとんどの住宅は、サイディングやコロニアル屋根を使った洋風建築ですよね。
使っている建材は共通するものが多く、大量生産することで建材のコストを下げています。
対して日本家屋は着工数が少ないため、使用する材料のコストが高くなる傾向があります。伝統的な製造工程で職人の手により作られている場合も多く、大量生産できないためコスト削減ができません。
また、家を造る職人の技術も求められます。現代の住宅は工業化された規格製品の組み立てで作られていますので、日本家屋を作れる職人は多くありません。
ベテランの技術を持った職人が必要となり、そのぶん工事費も高くなります。
日本家屋を検討する場合は、施工事例をたくさん持っている経験豊富な業者に依頼しましょう。
材料のルートを確保していますし、いい職人を抱えていれば外注するよりも工事費が安くなります。
断熱性や保温性がない
洋風建築と日本建築では、壁の構造に違いがあります。洋風建築の壁は大壁と呼ばれ、柱をボードで挟んで中に断熱材を入れます。
日本建築の壁は真壁とよばれ、漆喰や土を塗った壁には断熱材が入りません。2つをくらべると、どうしても日本家屋の方が冬の寒さを感じやすくなります。
対策として、洋風の大壁に飾り柱を付けて洋風に仕上げるといった方法があります。ただし建設費は高くなりますので、よく検討したいところですね。
また外壁の仕様次第では、外壁材に断熱性を持たせることも可能です。
外に面した開口部が多いため、窓から寒さが入りやすいという点も注意しましょう。日中は太陽光が入ってきて温かいですが、夜は冷気の侵入経路となります。
対策として、窓はペアガラスや2重サッシにして断熱性を高めましょう。
平屋や広い家を建てるなら日本家屋がおすすめ
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デメリットもある日本家屋ですが、あらかじめわかっていれば対策をとることもできます。土地や資金に問題が無ければ、日本家屋のメリットは非常に魅力的ですよね。
階段が無い平屋住宅は、バリアフリーの観点から見ても有利です。年をとり足腰が弱くなっても住みやすく、メンテナンスを怠らなければ長く住むことができます。
土地代や建設費用は高くなりますが、長い目で見れば安い買い物になるかもしれません。
日本家屋の注意点
家を建てて、実際に住んでみてから「ああ失敗した」と思うのはよくあることです。みなさんも「家は3軒建ててやっとわかる」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
普段馴染みのない日本家屋を建てる場合、なおさら気を付けるべきポイントがわからないものです。ここからは、日本家屋を建てるときに気づきにくい要注意ポイントを紹介します。
家具も和風のものにしなければいけない
家の内外観が和風になると、洋風のタンスや家電はあわない場合があります。畳の純和風な部屋に、真っ白な北欧家具はマッチしているとは言えませんよね?
新しく日本家屋を建てて引っ越す場合は、今持っている家具や家電を買い替えることも計算に入れておきましょう。
タンスや棚などの家具は、木目を見せたナチュラルな仕上げの物がよく合います。木の種類とカラーを揃えると統一感が出てスッキリしますね。
冷蔵庫など、大きな家電は和風にもマッチするようなカラーやデザインの物が販売されています。なるべく落ち着いたカラーの物を選ぶと、和風の雰囲気を壊しません。
今持っている家具や家電が新しく、まだ使いたいという場合はカッティングシートを貼るという方法があります。木目調や和風の柄も販売されていますので、上手に使いましょう。
エアコンの数が多くなる
洋風住宅で近年主流の対面キッチンスタイルは、リビング、ダイニング、キッチンを1つのエアコンでカバーすることができます。
しかし日本家屋では、襖を閉めて使う場合があるため1部屋に1台のエアコンが必要となります。必然的にエアコンの設置台数が多くなってしまいますね。
対策として、室外機1台で複数台の室内機を動かせるマルチエアコンがおすすめです。室外機を置く場所に困りませんし、効率的な冷暖房が可能です。
冷暖房費が高くなる
前述したように断熱性を持たせにくい日本家屋は、冷暖房効率が悪いため光熱費が高くなりがちです。前述したように二重ガラスや外断熱で、建物全体の断熱をよくして効率を上げましょう。
しかし、1部屋だけ冷房をかけたいときは、どうしても襖の隙間から冷気が逃げてしまいます。
これは構造上仕方のないことで、壁に囲まれた洋間とくらべると、どうしても冷暖房費は高くなってしまいます。
資金に余裕があるなら、太陽光発電システムを設置するのがおすすめですよ。
平屋の日本家屋の大きな屋根は、たくさんの太陽電池を設置出来ますので、光熱費を抑えることができます。
設置費用も長い目で見れば十分に元が取れますし、環境にも優しいのでぜひ検討してください。
和風と洋風を合わせた和モダンという選択もあり
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家族の中で、和と洋の意見が分かれる場合もありますよね?そんな場合は最近人気の和モダンテイストにしてみるのもおすすめですよ。
畳、縁側、土間など日本家屋の特徴を、現代風のモダンデザインと組み合わせているのが特徴です。
シンプルですっきりとしたデザインが多いのも特徴で、好き嫌いの少ない万人受けするスタイルと言えるでしょう。
「和風の住宅が好きだけど車は外国車が好き」といった方も、和モダンデザインなら家も愛車も馴染む、素敵な我が家がつくれそうですね。
まとめ
日本の風土にあっている日本家屋はメリットや魅力がいっぱいです。今回の記事で興味が出た方は、ぜひ検討してみてください。
和風建築は土地や住む人によってさまざまなデザインがあり、同じものはありません。
いろいろな事例を探してみながら、好みのデザインをチェックして取り入れるのもおすすめです。楽しみながら、素敵な日本家屋を建ててくださいね。
また、どこのハウスメーカーで日本家屋を建てればいいのかわからない方もいるのではないでしょうか。その場合は、まずは一括資料請求サービスを活用して、多くのハウスメーカー情報を集めましょう。
そしてその中から、日本家屋を建ててくれる業者にお問い合わせするのがおすすめです。無料なので、ぜひ有効活用しましょう!
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
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