家でピアノなどの楽器を演奏する場合、外に音が聞こえてしまいます。特に夜練習する場合、近隣住民に迷惑になってしまいます。
そのような環境では、満足に楽器の練習ができないのではないでしょうか。ピアノなどの楽器を習っているお子さんに、家でも心置きなく練習させてあげたいものです。
そこで、防音工事を行い、防音室にすると気兼ねなく楽器の練習が行えます。ここでは、防音工事を行う際に知っておきたい情報をまとめました。お伝えする内容をもとに、防音工事を行いましょう。
1.防音とは
防音とは、音のエネルギーを抑えることです。そのため、防音工事によって音が伝わるのを防ぎます。つまり、空気を伝わる音の振動を少なくして、聞こえにくくすることになります。
ただし、防音工事は、あくまでも音を限りなく伝わりにくくする工事です。したがって、音をまったく聞こえないようにすることは現実的に不可能といえます。
防音工事を行う際、多くの方がこの部分を勘違いしやすいため、あらかじめご了承ください。
1-1.防音の目安
音は㏈(デシベル:強さの単位)によって表せられます。つまり、この数値が大きければうるさく、小さければ静かになるのです。以下が㏈の数値の目安になります。
出典:プロトラスト株式会社
では、一体どの程度の音量であれば防音できていることになるのでしょうか。一般的に昼間の住宅街の騒音は、40~50㏈になります。
ようするに、外に伝わる音がこの数値になれば、家の外部の音にかき消されるため、防音できているということになるのです。
1-2.音の2つの種類
音には2つの種類があります。「空気音」「個体音」です。空気音とは、空気振動によって伝わる音のことをいいます。
人の声や、ピアノなどの楽器の演奏音などです。つまり、空気を伝って伝わる音のことになるのです。
一方、個体音とは、物体を伝って伝わる音のことです。たとえば、壁を叩いて発生する音や道路を走る車の振動音などになります。
ようするに、建物を伝って聞こえる音のことです。以下の図がそれぞれのイメージになります。
出典:内装建材ドットコム事業部
音を防音するためには、この2つの音を両方防ぐ必要があります。片方どちらかでも防音できていないと意味がないため、必ずそれぞれの音を防ぐ工事を行いましょう。
2.防音の4つの仕組み
防音室を設ける際、音の仕組みを理解する必要があります。どのような仕組みで防音できるのかを知らずに、防音工事は行えないからです。
これから防音工事を行う方は、どのようなメカニズムで防音になるのかを把握しましょう。
2-1.外部からの音を遮断する遮音(しゃおん)
防音室を作るためには、音を遮断する必要があります。これを遮音(しゃおん)といいます。つまり、遮音材などで音を遮断することで外部からの音を聞こえなくするのです。
防音工事において、とても重要なポイントになります。
2-2.音の反響を抑える吸音(きゅうおん)
音を通り抜けさせ、音を反射させない仕組みを吸音(きゅうおん)といいます。音は壁などを反射して広がっていくため、広いスペースだと音がこだましてしまうのです。
そのため、吸音によって音を吸収し、音を反射させないようにします。
2-3.振動を伝わらなくする防振(ぼうしん)
振動が建物を伝わると、音が外部に漏れます。特に、振動が響きやすいのは低音です。また、防音室の場合、外部からの振動が伝わるのを防ぐ必要があります。
そのため、防音室は振動が伝わらないようにしなければいけません。
2-4.振動を抑える制振(せいしん)
振動する物体を抑えることを制振(せいしん)といいます。そのため、制振によって音が伝わるのを防ぐのです。たとえば、冷蔵庫などの電化製品は、振動しています。これらの振動を伝わらなくするものが制振になります。
防音工事を行うのであれば、ここで紹介したポイントを意識しましょう。
3.防音工事の費用や相場
防音工事の費用は、内容やグレードによって異なりますが、100~400万円が相場になります。ピアノなどを演奏したい場合の防音工事の費用は、200万円程度です。
また、レコーディングスタジオなどの本格的なものになると、価格は400万円ほどになります。
防音工事は、用途によって工事の内容や値段が異なるため、以下の用途別の価格を表したものを参考にしてください。
用途 | 価格 |
---|---|
勉強部屋・書斎 | 100万円~ |
オーディオルーム・ホームシアター | 230万円~ |
ピアノ・バイオリン・木管楽器 | 280万円~ |
電子ドラム・金管楽器 | 330万円~ |
ドラム・レコーディングスタジオ | 380万円~ |
ただし、防音工事の値段は、既存の住宅の環境や施工業者によっても異なります。そのため、上記の値段通りに必ずなるわけではないです。あくまでも目安程度に捉えるようにしましょう。
4.防音工事の施工事例
以上でも述べたように、防音工事は種類によって値段や方法が異なります。そのため、あなたが行う予定の防音工事の内容の費用をあらかじめ把握しておきましょう。
それでは、防音工事の施工事例を順番に紹介します。
4-1.ピアノの自宅練習用の防音室
ピアノを家でも近所に気兼ねすることなく練習できるようにするための、防音室になります。ピアノ教室に通っているお子さんがいるご家庭の場合、家でもピアノの練習を子供たちにさせてあげたいのが親心です。
しかしながら、防音室がないとピアノ教室のようなグランドピアノを自宅で練習するのは難しいのではないでしょうか。
近所迷惑にもなり、トラブルの原因になる可能性があります。
とはいえ、自宅でも練習できるピアノでは、弾き心地が変わってきます。ピアノ教室ではグランドピアノで練習できるため上手に演奏できるのに、自宅のピアノではうまく演奏できないという方も多いです。
その場合、防音工事で防音室を設ければ、自宅でグランドピアノの練習が可能になります。
また、冊子(サッシ)タイプの防音窓もあるため、窓を残して防音室を作ることが可能です。
防音工事のリノベーション(リフォーム)を行い、防音室を作り、思う存分子供たちに自宅でピアノの練習をさせてあげましょう。
4-2.映画を自宅で楽しむホームシアター
自宅で本格的な映画を楽しみたい方は、防音に優れたホームシアタールームを作りましょう。夜中でも好きな音楽を大音量で流すことができます。また、映画を見ているときは、その音楽だけを楽しみたいものではないでしょうか。
しかし、外部からの音が入るとせっかくの映画が台無しになってしまいます。
そこで、防音室にオームシアターがあれば、いつでも好きな映画を集中して楽しめます。あなただけの特別な空間を満喫しましょう。
4-3.レコーディングスタジオを作る
ラジオ番組や音声素材の収録をする場合、防音工事が不可欠になります。防音室がないと雑音が気になり、快適に仕事ができないからです。そのため、これから一室をレコーディングスタジオにしたい方は、防音工事を行いましょう。
防音室であれば、内部の音が外に聞こえないのはもちろんのこと、外部の雑音も中に聞こえません。そのため、収録が快適に行えます。
ただ、本格的なレコーディングスタジオの場合、設備の機械音や空調の音までにも配慮した設計ではなければいけません。
そのため、その施工を行えるところに工事を依頼するようにしてください。あまり実績のないところで防音工事を行うと、満足いく工事にならない可能性があるからです。
防音工事の実績が豊富な施工業者に依頼して、完璧な防音室にリフォームを行いましょう。
まとめ
防音室を自宅に設けることで、好きなタイミングに音を気にせず楽器を演奏したり、映画を見たりできます。
ただ、防音工事は専門性の高い工事になります。そのため、できるだけ防音工事に特化したところで工事を行うようにしましょう。
防音工事を行い、あなただけの防音室で思いっきり音楽を楽しみましょう。
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