一条工務店

一条工務店の注文住宅を辞めた理由は何故?よくある事例を徹底解明

マイホームを計画し、ハウスメーカー選びをされている方は、一条工務店の名前を目にしたことがあると思います。

一条工務店は、戸建住宅の年間販売戸数や顧客満足度などのランキングで、常に上位に位置しているハウスメーカーです。上場大手ハウスメーカーが上位を占めている中で、非上場の同社は、異色の存在と言えるでしょう。

そんな頑張っている一条工務店ですが、「 ネット上では一条工務店を辞めてよかった 」という声もあり、同社でマイホームを計画されている方は不安になりますよね。

本記事では、一条工務店の注文住宅の概要を紹介すると共に、同社を選ばなかった、つまり「 辞めた理由 」を徹底解明していきたいと思います。

これから、注文住宅を計画されている方、そして一条工務店を候補にされている方の参考になれば幸いです。

一条工務店って、どんな会社?

一条工務店は、年間の戸建販売戸数で第一位(2021年)、またオリコンによる顧客満足度ランキングでは、総合5位(2023年)、と大手ハウスメーカーを押しのけての堂々たる実績を残しています。

ですが、同社は非上場のせいか、どのような会社なのかはよく知られていません。一生に一度の注文住宅を託す会社を知らなければ、安心して任せられませんよね。

なお、非上場だからと言って、上場会社より格が下とか信用できないと言うことはありません。よく知られているゼネコンの竹中工務店やサッシで有名なYKKも非上場会社です。

会社概要と沿革

一条工務店は、1978年に静岡県浜松市で設立され、GC(グループカンパニー)展開などを経て、後に東京に本社を移転しています。

技術関係では、プレカット工場の導入、「 いえづくり’85プロジェクト 」で最優秀賞の受賞、「 センチュリーハウス 」のシステム認証、免震住宅の第一号の大臣認定を受けています。

 

直近では、耐水害住宅で建築学会賞を受賞するなど、技術開発面でも大きな成果を出しています。

上で述べたように非上場のハウスメーカーですが、その実態は大手ハウスメーカーに負けない実力があると言っていいでしょう。

一条工務店のGC(グループカンパニー)について

同社とGCとの詳細な関係は不明ですが、一般的なFC(フランチャイズ)と同様のものと推測しています。

住宅のFCメーカーは1980年代中頃に流行のように出現しましたが、現在ではそれらの多くが建材メーカーなどに吸収・合併されました。その中で、一条工務店は独立した存在として、唯一成功したGC(FC)メーカーと言っていいでしょう。

一条工務店のGCは全国に8社あり、業界第一位を誇る住宅展示場数を背景に、年間12,000戸以上の販売戸数を誇っています。また、太陽光発電システムの搭載率も大手ハウスメーカーと肩を並べるほどです。

一条工務店の注文住宅の工法と商品の関係

一条工務店の住宅構造には、木造枠組壁工法(構造)と木造軸組工法(構造)があり、それぞれに商品構成されています。

木造枠組壁工法:2×6

  木造枠組壁工法:アイ・スマート

同社の枠組壁工法に採用している枠材寸法は、一般的な2×4(36mm×89mm)よりも大きい2×6(38×140mm)としています。

枠組材をサイズアップするメリットには、高強度になるだけでなく、壁の中により厚い断熱材を入れられる点があります。

画像のように枠組材の幅を利用した140mm厚の高性能ウレタンフォーム、そして構造用面材を挟んで外側にも50mm厚のウレタンフォームを張るダブル断熱構造としています。

この工法による注文住宅商品には、GRAND SMART(グラン・スマート)i-SMART(アイ・スマート)、i-CUBE(アイ・キューブ)があります。

木造軸組工法

  木造軸組工法:セゾン

一条工務店の軸組構造の柱には120mm角が採用されており、壁・床・天井に構造用面材を打ち付けた、いわゆるモノコック構造としています。

柱を一般的な105mm角から120mmにサイズアップすることで強度アップと同時に外壁内に入れる断熱材のサイズをアップすることができます。

断熱材には、一般的なグラスウールよりも性能のよいEPS1号を採用しています。

断熱性能は枠組壁工法のダブル断熱よりは劣りますが、ZEH基準を上回る性能です。

 

木造軸組工法による商品には、グラン・セゾン、セゾン、セゾンA、ブリアール、百年があります。

一条工務店の耐震性能と断熱性能

同社の注文住宅の耐震性能は、最高等級3を基本として、それを上回る社内基準を設けています。合わせて社内に設置している地盤調査研究所によって、地盤強度にあった基礎設計としています。

これらは、同社が長年続けてきている実物大の実験による成果です。

なお、一条工務店の断熱・気密性能は業界トップクラスで、一般的な住宅に比べると突出した成績となっています。

住宅に必要な基本性能は、耐震性能と断熱性能です。この2つが標準で最高レベルで備わっている同社の注文住宅には、安心感があります。

工場生産率80%:ユニット化

一条工務店の注文住宅は、枠組壁工法・軸組工法ともに工場でパネル化されており、その工場生産率は80%となっています。これも、大手ハウスメーカー並みですね。

同社のHPによると、構造部材や住宅設備を製作する工場、そしてそれらをユニット化する工場を合わせると、世界No1の規模でギネスに認定されているとのことです。

名称は工務店とついていますが、やはり規模は大手ハウスメーカーのものですね。

辞めた理由、一条ルールへの誤解

一条工務店を辞めてよかった理由には、担当営業マンの対応や価格が合わなかったなどもあります。ですが、それらは同社に限ったことではなく、他のハウスメーカーでも起こりうることですから、ここではそれら以外の問題点を挙げていきます。

ネットで見る辞めた内容

ネット上で紹介されている、辞めてよかった内容を列記してみましょう。何故そうなるのだろう?と疑問に思うユーザーも多いのではないでしょうか。ですから、その理由も記述しますので参考にしてください。

間取りに関して辞めた理由:間取りの不自由さ

  • リビング上部を吹抜けにしたかったが、建物の幅・奥行きの1/2までと言われた。

吹抜けには、階段部分も含まれるため、リビング階段がある場合などは、プランによってはリビングの上部全てを吹き抜けにできない場合があります。

建物の水平面的な大きさに対して、吹き抜けが一定以上に大きすぎると、地震などで揺れた時に建物が捻れを起こして倒壊する恐れがあるのです。

  • 部屋の四隅に耐力壁が必要で出入り口ドアの位置を変更できなかった。

全ての部屋の四隅ではありませんが、部屋の隅が構造的な区画部分になっている場合、耐力壁が必要になるためです。

  • 窓の数が部屋の種類・大きさで制限される

部屋の大きさというよりも、外壁長さに対して一定の耐力壁が必要になるため、窓の数や大きさを制限する場合があります。

  • 引き戸にしたかったが、断られ開き戸になった

引き戸の場合、引き込む側の壁が薄くなり耐力壁がつけられません。ですから、耐力壁が必要な場所に一般的な壁厚内に収める引き込み戸をつけることはできないのです。壁の外側につける引き戸なら可能ですが、おそらくオプションでしょう。

標準仕様に関する辞めた理由:バリエーションが少なすぎる

  • 床暖房は必要ないのに省略することができなかった

地域によって、あるいはライフスタイルによっては床暖房を必要としない場合があります。実際に標準仕様の床暖房を外すことができないのかは不明ですが、外せたとしても標準仕様のマイナスオプションですから少額になるでしょう。このあたりは柔軟性があってもいいように思います。

なお、床暖房を標準仕様としているのは、先に紹介した木造枠組工法の注文住宅で、木造軸組工法の注文住宅では含まれておらず、オプション扱いになっているようです。

  • 水回り設備は、自社オリジナル製品が基本で種類が少ない。
  • 外装・内装ともにバリエーションが少ない

上の2つは、一条工務店の「 モデルハウスが標準仕様 」のハイグレードで良質な住宅を低コストで提供するための手段ですが、同社の都合もあるように感じます。

  • 2階にもタンクレストイレを付けたかったがだめだった

タンクレストイレは、水道の水圧で洗い流す構造になっていますが、2階の水圧は1階よりも低くなるため、採用できない場合があります。その場合は、タンク式のトイレになります。また、水圧を上げる設備もありますが、コストの問題があります。

以上は、間取りや標準仕様に関して、ユーザー希望に合わなかったために一条工務店を選ばなかった理由の一部ですが、実際にはもっと細かな制限があるようです。

では、なぜそのような制限があるのでしょうか。以下で、もう少し詳しく説明しましょう。

一条ルールへの誤解

一条工務店には、設計する上での一定のルールがあり、ユーザー間では「 一条ルール 」と言われています。そして、その目的は同社のこだわり「 住宅は性能 」にあります。

つまり、先に紹介した耐震等級3を上回る性能や業界トップクラスの断熱性能を維持するためのルールなのです。

ルールの全てではありませんが、ほとんどは建築基準法の木造住宅に関する制限内容で、一条工務店の都合だけで設けている訳ではありません。

 

よく、耐震等級3を標準とする、とあって但し書きにプランによってはできない場合があります、としているハウスメーカーがあります。

つまり、耐震等級3にこだわらなければ、設計の自由度は上がるのです。しかし、「 住宅は性能 」を信条とする一条工務店では譲れないのでしょう。

なお、構造的な間取り制限は枠組壁工法の方が軸組工法よりも厳しい内容となっています。それでも、耐震等級3を確保するためには、軸組工法においても相応の制限があります。

より安全な住宅とするために、むやみに吹抜けや窓を設けない、あるいは耐力壁を減らさない、つまり「 一条ルール 」は、十分な耐震性能を確保するための制限なのですね。

本来、この制限(一条ルール)は、ユーザーのためのものですが、多くはメーカーの都合と誤解されているように思います。

標準仕様の問題とオリジナル商品

一条工務店の特徴の一つに、「 モデル仕様が標準仕様 」というのがあります。特にこだわりがなければ、オプションなしでモデル仕様の注文住宅がマイホームになるのです。

 

同社の内外装材や設備機器のほとんどは、自社工場によるオリジナル製品としています。

 

 

標準仕様と聞いて、最低ランクを想像してしまうかもしれませんが、実際にはハイグレードなものです。

オリジナル商品とするメリットには、独自性を出せること、販売価格を抑えられることなどがあります。しかし、他方では生産ロット(単位)が少なくなると逆にコストが上がるため、バリエーションを増やせないなどのデメリットもあります。

先の辞めた理由にあった設備のバリエーションが少ない、それに対してオプション価格が高いというのも、自社製品の生産量を確保しコストを抑えるためのものでしょう。

一概に悪いこととは言えませんが、内外装や設備に特別なこだわりがあるユーザーには向いていないかもしれませんね。

まとめ

標準仕様で耐震等級3を上回る性能やZEH基準をクリアしている断熱性能などは、一条工務店が考える「 住宅は性能 」を具体化したものです。

そして、「 一条ルール 」は、それらの性能を満足させるためのもので、あくまでもユーザーの安全と資産の保全、そして快適性を考慮したものと言えるでしょう。

また、「 モデル仕様が標準仕様 」とするためのオリジナル商品の多用は、自由に選べないなどの弊害もありますが、良い商品をコストを抑えてユーザーに提供したい、という一条工務店の姿勢とも受け取れます。

事実として、一条工務店の住設備機器のグレードや機能は、十分に魅力的な内容になっています。

いずれにしても、ネット上にある辞めた理由のほとんどは、十分に理解しないままに起きている誤解です。

一条工務店の注文住宅に対する姿勢や一条ルールを十分に理解した上で、マイホームに適しているかどうかを、本記事を参考に判断していただければ幸いです。

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