突然ですが、あなたは年間にどのくらいの光熱費を支払っているか理解していますか?
エアコンなどの冷暖房代をはじめ、照明・換気・給湯といった必要不可欠な光熱費だけでも、年間で30万円近い費用が発生しています。
これらの光熱費を、住宅の高断熱化と省エネ設備の採用、そして太陽光発電や家庭用燃料電池などを使って、エネルギーの自給自足を行うのが、ゼロエネルギー住宅です。つまり、家庭の光熱費がゼロになるのですね。
そこで今回は、ゼロエネルギー住宅のメリットとデメリットをわかりやすくまとめました。
ゼロエネルギー住宅を建てる際のポイントについても、しっかりと解説していくので、ぜひ参考にしてみてください!
ゼロエネルギー住宅(ZEH)とは
ゼロエネルギー住宅は、通称「ZEH(ゼッチ)」と呼ばれています。
冒頭でも述べましたが、ZEHとは消費エネルギーと創るエネルギーの収支をゼロ以下、つまり自給率を100%以上にする住宅のことです。
- 高断熱仕様で、夏は涼しく冬は暖かい、冷暖房費が節約できる環境を作る
- 省エネタイプの家電製品や給湯システムを効率よく取り入れ、消費エネルギーの節約を行う
- 高断熱化と省エネで削減した上で、必要なエネルギーを、太陽光発電などの創出エネルギーで全てをまかなう
ゼロエネルギー住宅は、石炭やオイルなどの一次エネルギー消費量を削減すると共にCO2の削減にもつながるため、国も力を入れています。
2020年までに、標準的な新築住宅をゼロエネルギー住宅「ZEH」にする目標のもとに推進されており、2030年までには、新築住宅の平均でZEHを実現することを目標にしているんです。
ただし、ゼロエネルギー住宅を建築するためには、300~500万円くらいの初期費用が必要となります。
初期費用にこれだけかかってしまうと、いくら光熱費がかからないといわれても、なかなか決断することができませんよね。
そこで、その負担を少しでも軽減するために、ゼロエネルギー住宅を建築する際の補助金制度を、国が実施しています。
ゼロエネルギー住宅の8つのメリット
ゼロエネルギー住宅には、従来までの一般的な住宅とは違う以下の8つのメリットがあります。
快適に生活できる
ゼロエネルギー住宅である「ZEH」に認定されるためには、高い断熱性能が求められます。
高機能な断熱材を取り入れたり、窓の性能を高めたりすることにより、寒暖差を大きく軽減しなければいけません。
このような工夫により、冷暖房費を大きく節約できるだけでなく、夏は涼しく・冬は暖かい、快適な生活を送ることができるんですね。
また、窓の性能を高めれば、エアコンを長時間つけっぱなしにしなくても、保温性が高まるため、家の温度を一定に保てます。
これにより、気管支ぜん息・喉の痛み・せきといった、不快な症状に悩まされる機会も少なくなるんです。
さらに、高断熱を実現化するためには、気密性が求められます。
汚れた空気は、適切な形で喚起されるシステムが標準で取り込まれるため、アレルギーの原因物質も、大幅にカットできるようになるんですね。
すると、現代人に急増している「アトピー性皮膚炎」「アレルギー性鼻炎」「アレルギー性結膜炎」の改善につながります。
ヒートショック現象を防げる
ヒートショックに関連する死亡者数は、年々増加しています。
暖かい空間から、寒い空間へと移動したときの大きな寒暖差が、血流に大きな影響を与えてしまい、命に関わる致命的な疾患をもたらす可能性が出てくるんです。
このヒートショックに関連して死亡に至るケースは、なんと交通事故死者数の3倍にもなるんですよ。
年齢を重ねれば、これらのリスクもさらに高まるため、特に寒暖差が大きくなる冬場は用心しなくてはいけません。
しかし、ZEHに認定されているゼロエネルギー住宅に住んでいれば、高い断熱性によって寒暖差を小さくできます。
寒い冬でも、ヒートショックによるリスクが大きく軽減される結果につながるのは、嬉しいですね。
光熱費が安い
出典:https://www.yamatojk.co.jp/choose/zeh_merit
いくら家電製品に省エネ効果があったとしても、暑い夏や寒い冬は光熱費も馬鹿になりませんよね。
どんなに性能の良い商品でも、夏場や冬場は電気代が数万円かかってしまうご家庭も多いのではないでしょうか。
しかし、ゼロエネルギー住宅では、上記でもご紹介しているような高い断熱性が実現します。
わかりやすい例を出すなら、魔法瓶の中にいるような保温性があるんです。
また、高い気密性によって、暑い夏でも冷たい空気を逃さないように工夫されているため、エアコンの消費も大きく節約できます。
余った電力を売却できる
ゼロエネルギー住宅では、太陽光発電システムを用いて、自家発電を行います。
つまり、太陽が出ている日中は電気を電力会社から購入する必要がなくなるんですね。
そして、自家発電によって得られた電力を自家消費しきれなかった分は、家庭用蓄電池に貯める、あるいは電力会社に売却することも可能です。
ただし、近年の太陽光発電の売電価格は大幅に下がっており、自家消費型が主流になってきています。
災害時でもエネルギーを賄える
日本は地震大国です。数年単位の短い期間で、震度5以上の巨大地震が発生しています。
地震が発生してしまうと電力会社に大きな影響を与えてしまい、停電に陥るケースも少なくありません。
2011年に発生した東日本大震災での第一原発事故の影響も記憶に新しいですが、昨年の2018年9月6日には、北海道にて全域が停電するといった、「ブラックアウト現象」がおきました。
この影響により、多大な影響を受けてしまった家庭は少なくありません。
今後も、巨大地震が発生すればブラックアウトに陥る確率が非常に高いでしょう。
しかし、ゼロエネルギー住宅なら、万が一の災害に陥ったとしても、エネルギーをまかなうことができます。
電力会社に頼ることなく、自家発電できているからです。
これは、ゼロエネルギー住宅を建てる上での最大のメリットといえるのではないでしょうか。
エコ・地球環境に優しい住宅
電力を発電するためには、一般的に石油や石炭、天然ガスなどが用いられます。
しかし、これらの燃料はCO2を多く発生させ、地球を温暖化させるため、私たちの住まいの環境をも悪化させてしまう可能性が非常に高いのです。
一方、ゼロエネルギー住宅では太陽光などの自然エネルギーを利用しているため、CO2を発生させる心配がありません。
多くの人がゼロエネルギー住宅に切り替えることで、地球の温暖化防止にも役立つのです。
補助金がもらえる
地球に優しいゼロエネルギー住宅は、上記でも触れたように初期費用が発生します。予算内で家を建築したい人にとって、この初期費用は大きな痛手ですよね。
そこで国は、より多くの人がZEHを建てられるように、補助金制度を設けているのです。
上図のように、ZEHに関する補助事業は、国交省、環境省、経産省が連携して行っており、下記のいずれかに該当する方が対象となります。
- ZEHを新たに建築する
- ZEHの新築住宅を購入する
- 今の住まいをZEHに改修する
そして気になる補助金の額ですが、ZEHにはいくつかの種類があり、その種類別で上限額が変わります。
ZEHの種類
補助金の対象となるZEHには、省エネ性能や一次エネルギー消費量の自給率によって、以下のように分類されています。
1.ZEH(ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedを含む)
外皮(屋根・外壁、窓など)の高断熱仕様(断熱等性能等級5)と、一次エネルギー消費量の削減率が20%以上(省エネ等級6)を共通条件としています。
そして、太陽光発電などの創エネによる一次エネルギー消費量の自給率100%以上をZEH、75%〜100%未満をNearly ZEH、75%未満をZEH Orientedとしています。
一次エネルギーとは、電気や都市ガスなどに加工する前の、油・石炭・天然ガスなどを言います。
2.ZEH+(Nearly ZEH+を含む)
断熱等性能等級5以上とし、一次エネルギー消費量の削減率を25%以上に強化したもので、自給率100%以上をZEH+、75%〜100%未満をNearly ZEH+となります。
3.次世代ZEH+(次世代Nearly ZEH含む)
ZEH+に加えて、V2Hや蓄電システムなどの4項目から2つ以上を追加設置することとなっています。
なお、Nearly ZEHは、十分な日射量が期待できない寒冷地や低日照地に対応したもので、ZEH Orientedは都市部の狭小地や多雪地に対応したものです。
各ZEHの補助金額
上記で紹介した各ZEHの補助金額は下記の通りです。
- ZEH(Nearly ZEH、ZEH Orientedを含む)
一般では、定額55万円ですが、「地域型住宅グリーン化事業」の場合は140万円、「こどもエコすまい支援事業」の場合で100万円となっています。
- ZEH+(Nearly ZEH含む)、次世代ZEH+(次世代Nearly ZEH+を含む)
定額で100万円としており、蓄電システムやV2Hなどの追加設備による追加補助金制度があります。
なお、各補助金制度のより詳しい内容は、下記のリンク先で参照願います。
地域型住宅グリーン化事、地域型住宅グリーン化事業 採択グループ一覧
資産価値が高い
出典:https://www.yamatojk.co.jp/choose/zeh_merit
従来まで、家の資産価値は築年数が大きく影響するのが一般的でした。
しかし、築年数だけで資産価値を決めてしまうと、築年数が20年以上経過した住宅に関しては無価値となってしまいます。
これに対し、国は査定方法の改定を徐々に進めているところです。
今後は、築年数を最重要とするのではなく、住宅の質の高さが問われるようになります。
つまり、長期間安心して快適に暮らすことができるゼロエネルギー住宅「ZEH」なら、将来的な資産価値を高めることができるんです。
高く購入した家が、築年数とともに無価値となってしまうのは避けたいですよね。
将来的な資産価値を守るためにも、ゼロエネルギー住宅は検討する価値があります。
ゼロエネルギー住宅の6つのデメリット
メリットの多いゼロエネルギー住宅ですが、当然ながらデメリットも存在します。
ZEHを建築する上で、考えられるデメリットを以下にまとめました。
建設費が高い
ゼロエネルギー住宅には、以下の3つの特徴があります。
- 高断熱
- 省エネ
- 自家発電
この3つの特徴を全てクリアし、初めてZEHに認定されるため、初期費用が高額です。
一般的な新築住宅と比較し、300~500万円は建築費が高くなるんですね。
ただし、上記でもご紹介しているように、この建築費が高額になるデメリットを軽減するための、補助金制度があります。
こちらを活用すれば、建築費が高いといったデメリットを、軽減することができるでしょう。
建てられる業者が限られる
先に述べたように、国は2030年には新築住宅の平均がゼロエネルギー住宅になることを目指しています。つまり、現在ではまだ100%ではなく、全ての住宅会社がZEHを得意としている訳ではないのです。
ですから、慣れない業者に建築を任せてしまうと、後々に不具合が発生する可能性もあります。
住宅会社を選ぶ際には、ゼロエネルギー住宅の建築実績が十分にあるところを選ぶようにしましょう。
発電量が不足や不安定になる恐れがある
ゼロエネルギー住宅の主な創エネ設備である太陽光発電の発電量は、天候に大きく左右されます。また、多雪地や都市の狭小地などの理由で、十分な日射量が期待できない場合もあります。
日射量が多ければ十分な発電量を確保できますが、曇りや雨が続いてしまうと、発電量は下がります。
つまり、発電量が不足や不安定になる恐れが出てくるんですね。これらを補うため、家庭用蓄電池やHEMS(家電・電気設備を最適に制御する管理システム)も推奨されており、追加補助制度も設けられています。
売電価格が下がる恐れがある
売電価格は、以前と比較して大きく下がっています。
2014年時点では約37円/kWhで売買取引されていましたが、2023年時点では16円/kWh(10kW未満の場合)までさがりました。これでは、わざわざ発電量を大きくして売電する意味がなく、自家消費型の太陽光発電が主流になった理由です。
以前は、太陽光発電システムを設置することで余った電力を売却し、その利益で住宅ローンを返済するといった考えがありました。
しかし、これだけ売電価格の価値が下がっていることを考えると、これを実現するのは無理があります。
売電に大きな価値を見出していない方であれば、そこまで気にならないデメリットかもしれませんが、頭の片隅にこのような現実を覚えておいた方が良いでしょう。
間取りに制限が出る可能性
ZEHにして断熱性を強化するためには、断熱性や気密性を重視して、建築しなければいけません。
そのため、窓の大きさや間取りに大きな制限が出てしまう可能性があるんです。
また、屋根に関しても太陽光をシステムを設置する分、形や方角が限定されてしまうこともあります。
制約が出てしまうことにより、従来までの住宅と比較し、自由設計が低くなるのは、かなり痛いデメリットです。
思い描いていた家を実現したいと思っている方には、大きなネックになってしまうかもしれませんね。
設備のメンテナンスが必要になる
ゼロエネルギー住宅を実現させるためには、エコキュートの設置や、太陽光パネルの設置が必要です。
これらの機材は初期費用が高いのはもちろんですが、設備のメンテナンスにも高額な費用が発生してしまう可能性があります。
ZEHにすることにより、資産価値は守られますが、維持していくためのコストが発生する点は覚えておきたいですね。
ゼロエネルギー住宅を建てる際のポイント
ゼロエネルギー住宅を建築する際には、以下の2つのポイントが重要となります。
ゼロエネルギー住宅が得意な業者に依頼する
ZEHは、建築できる業者が限られます。
市場に浸透していない分、高いスキルや十分な知識を持つ業者が不足しているからです。
また、ZEHを建築する上で得られる、国からの補助金をスムーズに受け取るためにも、認定されているハウスメーカーや工務店を選ぶ必要があります。
なぜなら、補助金の申請には難しい手続きが多く存在するため、個人で行うのが難しいからです。
日頃からZEHを取り扱っている、認定業者に依頼するようにしましょう。
必ず相見積もりを取る
思い描いていたゼロエネルギー住宅を手に入れるためには、複数の業者を比較する必要があります。
なぜなら、業者によって提案してくる間取りに違いが出てきますし、建築する上でかかる費用にも大きな差があるからです。
そこで、覚えておいてもらいたいのが「相見積もり」になります。
複数の業者の見積もりをわかりやすく比較できるため、価格の違いも一目瞭然です。
同じ坪数や間取りでゼロエネルギー住宅を建てるにしても、業者によって1,000万円以上の差額が出てしまうことも少なくありません。
事前に情報収集をしよう
ハウスメーカーや工務店によって、得意な部分と不得意な部分は大きく分かれます。
これをわかりやすく比較し、自分が思い描いていたマイホームを手に入れるためには、事前に情報収集をしっかりとしておくことが大切です。
しかし、一つ一つの展示場を回って資料を入手するのは面倒ですよね。
そんな時に役立つのが、「一括資料請求サービス」になります。
一括資料請求サービスを利用すれば、書店で販売されているような、詳細な資料を無料で入手することが可能です。
お金をかけずに、ゼロエネルギー住宅の有益な情報を手に入れられたらお得ですよね!
また、優良な業者も探しやすくなるため、ぜひ便利に活用してみてください。
まとめ
今回は、ゼロエネルギー住宅である「ZEH(ゼッチ)」の、メリットとデメリットをご紹介しました。
ゼロエネルギー住宅は、光熱費の節約や高断熱による快適な暮らしはもちろん、健康にも大きなメリットが得られます。
初期費用が高かったり、メンテナンスが必要だったりするデメリットはありますが、今後幅広く普及されていけば、メリットがさらに大きくなる可能性が高いでしょう。
まずは、ZEHに関しての知識を深めることが重要です。
ぜひこの機会に、一括資料請求サービスといった、便利なシステムを有効活用してみてくださいね。
住宅は一生に一度の高価な買い物です。数千万円単位になるため、できれば値段を安くしたいものです。
実は値段の高い注文住宅ですが、建売よりも安く家を建てられる方法があるってご存知ですか?
建売でもいいですが、せっかくであれば自由に仕様や間取りを選べる注文住宅がいいですよね。
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